2025.03.26【特集】オペラ歌手目指していた女性がイタリアで不審死「自殺ではない」両親の思いを取材【新潟】
自殺ではない 訴え続ける両親の思い
2021年にイタリアで新潟市出身の女性が不審な死を遂げ、現地の裁判所は「不自然な点がある」として捜査当局に再捜査を命じました。
自殺ではない-
訴え続ける両親の思いを取材しました。
新潟市出身の坂田雅美さん。イタリアで、オペラ歌手を目指していました。
■雅美さんの母 坂田道子さん
「これが野外劇場、ここで歌いたいっていう夢があったんですね。すごい数の人が世界中から集まってくるから、(イタリアの)ヴェローナの人口より多くなると雅美は言っていました。歌への熱意は強かった。」
■雅美さんの父 坂田隆一さん
「(気持ちの)100%のうち99.9%はイタリアで歌いたいと。それが唯一無二の希望だったと思う。」
音楽短大に進学後、オペラ歌手を目指し20歳で単身イタリアへ。
その後、20年以上現地で生活していました。
しかし、4年前・・・
■雅美さんの母 坂田道子さん
「毎年正月にメールがあった。日本時間0時に合わせて必ずメールが入っていた。それが2021年は元日のメールがなくて、どうしたんだろうと思ってメールを送ったが返事がなかった。」
1週間後、道子さんが雅美さんの携帯に連絡を入れるとー
■雅美さんの母 坂田道子さん
「おかしい、どうしたんだろうと思って娘の番号に電話したら、知らない男性と女性が電話に出た。雅美じゃない。「MASAMI is dead」「雅美は死んだ」と言われて、片言の日本語で「マサミ シンダ」「リョウジカンニ デンワスル」と。」
雅美さんは、自宅で首をつった状態で死亡しているのが見つかりました。現地の警察は「自殺の可能性が高く、事件性がない」と判断。
しかし・・・
「マサミは自殺ではない。殺されたと思う。」
通訳を介してそう連絡してきたのは、雅美さんの自宅近くに住む男性でした。男性によると、亡くなった日の2日後、雅美さんとトレッキングに行く約束をしていたといいます。
■雅美さんの母 坂田道子さん
「120ページぐらいの書類が弁護士から原文で送られてきた。その中に(亡くなった時の)写真が何枚か入っていて、これは絶対に自殺でないとその時に確信した。」
両親は警察に〝再捜査〟を依頼。
雅美さんの死亡から2年半が経った2023年6月に出た結論は、再び「事件性なし」というものでした。
そこで、現地の法医学者に検証を依頼し、抗告。2024年4月、裁判所は「不自然な点がある」として容疑者3人の名前を挙げ、捜査当局に再捜査を命じました。
■雅美さんの母 坂田道子さん
「寝る前に10個ずつ折り鶴を折りました。雅美の再捜査が始まって進展するように。進展していなかったから、何とか進展してほしい。」
そして、先月-
■雅美さんの母 坂田道子さん
「2月8日に弁護士を通じて通訳の方から連絡をもらった。『立件を見送りたい』『抗告は20日の間にしてください』。」
雅美さんが亡くなってから4年以上が経ち、捜査当局が出した結論は〝立件見送り〟でした。
■雅美さんの母 坂田道子さん
「気持ちは変わらないけれど、あまりにも長すぎて。精神的にちょっと私自身が自信をなくしているというか。わかりません、私もどうしていいか。」
今回の再捜査では、現場に残っていた指紋やDNAの検証が行われたものの、物的証拠が乏しかったといいます。
■雅美さんの父 坂田隆一さん
「(お骨は)ここにある。ずっと置いてあります。そんなことをしたらいけないのかもしれないけれど、雅美の進展が『これで終わり』と言われるまでは、やはり置いておきたい。」
両親が求めるのはただ1つ〝真実の究明〟です。
■雅美さんの母 坂田道子さん
「あれだけ大好きで、憧れていたイタリアなんですよ。もっとちゃんと対応できていれば、もっと早くに解決して良い報告ができれば。私としては本当に申し訳ない。」
雅美さんの両親は、2月27日に現地の弁護士を通じて裁判所に抗告しました。「長い時間がかかるかもしれないが、もう少し頑張ってみようと思う」と話しています。