2025.02.26【特集|にいがた2km】どうなる?新潟市の中心部:“過去最多”進む企業誘致 その狙いは?【新潟】
IT企業の進出が2019年度に比べ4倍近くに
新潟市の中心部を表す『にいがた2km』。このエリアの活性化が取り組まれる中、進められているのが〝企業誘致〟です。狙いと現状、今後の展望を取材しました。
新潟駅から万代~古町を結ぶ【にいがた2km』と名付けられたエリア。
“にぎわい” “ビジネスの拠点” “新しい価値”を作り出そうと、行政を中心に取り組んでいます。
■新潟市民(10代)
「(Q.にいがた2kmって知っていますか?)名前だけは知ってます。活気がある通りになってほしい。」
■新潟市民(70代)
「万代がもっと広がれば、また違ってくるんだろうけど。」
■新潟市民(30代)
「駅前でイベントとかやっているときは、家族で来たりする。良い取り組みなのかなと思う。」
実際に成果は出ているのか。新潟市の担当者に聞くとー
■新潟市都市政策部 宮崎博人政策監
「目に見えて分かる部分で言うと、企業誘致ではビルができて企業が入って新しい若い人たちの雇用の場が生まれているというところは1つの成果。」
県外の企業を呼び込む〝企業誘致〟。
昨年度、県外から新潟市に進出した企業の数は過去最高の23社でした。
■新潟市企業誘致課 宇治麻貴課長
「件数は新潟市として大きな成果だった。働く人が増えることで、街が活性化したりとかにぎわいができたりとか、そういう効果も大きい。」
注目すべきは、その多くが『情報通信系』の企業であること。23社のうち22社がIT企業で、IT企業の進出は2019年度に比べ4倍近くとなっています。22社はすべて『にいがた2km』のエリア内に事業所を構えています。
■新潟市企業誘致課 宇治麻貴課長
「DXを担っていく技術をいろいろ持った企業が新潟でどんどん大きくなることは、地場の企業にとってもツールを使えるので広がりのあるもの。」
その内の1つ、IT企業の「プログレス・テクノロジーズ」。
自動車や医療機器メーカーがパーツを開発するためのデジタル技術を提供しています。本社は東京にありますが、2024年7月『にいがた2km』のエリア内にあるビルに拠点を構えました。
■プログレス・テクノロジーズ 中山岳人社長
「今モノづくりメーカーに必要な人材がなかなか集まらない困りごとがある中で、新潟大学や長岡技術科学大学など人材もいるという色々なものを鑑みて、新潟での可能性を感じて新潟にきた。」
決め手の一つになったのは〝人材の確保〟。
新潟市には大学や専門学校などが多く、すでに新潟大学の学生がインターンとして開発に携わっています。
■プログレス・テクノロジーズ 中山岳人社長
「開発において人材を地方で新たに作り上げて、例えば新潟でデジタルツインの得意な人材が500人そろった開発の専門部隊の基地があるみたいなことができると、なんかとってもいいなと。」
新潟市としても、様々なIT企業が進出することで学生の就職先を増やせることがメリットだといいます。
■新潟市企業誘致課 宇治麻貴課長
「大学・短大・専門学校を合わせると、今在学している学生だけで3万3000人程度いる。いかに新潟で働いてもらう体制を整えるかが非常に大きな課題。」
さらに、企業誘致を後押しするのが〝テナントビルの再建〟です。
2022年以降、3軒のテナントビルが新たに竣工。そのうちの1つが、新潟駅の目に前にある「INPEX新潟ビルディング」です。
■INPEXビジネスサービス 高橋友樹さん
「テナントに利用してもらうスペース。オフィススペースですね。」
築60年が経過し老朽化していた旧帝石ビルを建て替え、2024年7月に地上10階建てのテナントビルが誕生しました。人に反応してつく照明など省エネを意識した設計で、貸会議室や共有のラウンジなどもあります。
■INPEXビジネスサービス 高橋友樹さん
「ご自身のスペースの中で、なかなか静かに会議ができないとかそういった方は、1人であちらのスペースで会議をされている方も中にはいる。」
テナントのうち9割が入居、もしくは契約を終えています。
■INPEXビジネスサービス 高橋友樹さん
「主には、IT系の企業さんが多く入居されています。結果として新しいビルが都市の風景を豊かにしていくこと。そのためには、できる限り地域に根差したビルの運営をしていきたい。」
ビルの建て替えによって街の顔が変わり、企業誘致もしやすくなると言います。
■新潟市企業誘致課 宇治麻貴課長
「街の中にビルの新築があるとプラスの印象をもってもらえる。企業誘致としてもありがたい。」
この日、新潟市の担当者が面会したのはVRなどの開発を行う東京のITベンチャー企業「シナスタジア」。デジタル技術を学ぶ専門学校生などに興味を持ち、新潟市を訪れました。
■新潟市企業誘致課 佐藤愛さん
「にいがた2km型ですと(賃料の)4分の3、75%を3年間とすごく手厚い補助になっている。オフィスを契約した後、1年以内に事業を開始して7年以上は新潟での事業継続が条件。」
情報通信系の企業が『にいがた2km』内の新築ビルに入居すると賃料の4分の3、1年で最大5000万円が補助されます。加えて、市内に住む若者を雇用するための補助もあります。
■シナスタジア 有年亮博CEO
「何とかこのプログラム、すごい魅力的なので利用を積極的に検討したい。」
この補助金には、3年間の期限があります。千葉県などでまちづくりを行い、『にいがた2km』の取り組みにもアドバイザーとして参加する萩野正和さんは、誘致して終わりではなく〝地域に根付いたビジネスを継続〟してもらうことが重要と指摘します。
■株式会社connel 萩野正和さん
「企業が来るのはあくまでもスタートでしかなくて、企業誘致も手段でしかなくて、達成する目的は来たあとから始まる。都市が都市らしく過ごすための手立てを、どういう風にやっていくかというのを考えていかないとつまんないなと思ったら離れてしまう可能性もある。」
新潟市は、IT企業がデジタル技術を使って『にいがた2km』の取り組みに関わる新規事業の提案を進めています。
■新潟市都市政策部 宮崎博人政策監
「本当にサクサク、パソコンで見られるようなサービスがあれば、使ってくれるユーザーが増えればビジネスとしての展開が広がるかも。」
さらに、官民連携のプラットフォームに参加してもらい『にいがた2km』の活性化について考えてもらうなど、新潟に根付いたビジネスの展開を模索しています。
■新潟市都市政策部 宮崎博人政策監
「補助金が手厚いという形で出てきている企業も今までも多い。最近接する企業で特徴的なのは『にいがた2km』という取り組みが面白いと言っていただいているところは大きい。ほったらかしにするわけではなく、新潟の企業さんが『にいがた2km』に参加していただいて、よりビジネスを活発にしたいというのは今後やらなきゃいけない部分。」
〝企業誘致〟が新潟市中心部のまちづくりを加速させるのか、注目です。