2025.03.28【特集|ジャズ喫茶】昼と夜で表情変えて 心に響く音これからも:60年続く「ジャズ喫茶」【この町で~愛される老舗~|新潟】
ジャズを愛する人が集う特別な場所『ジャズ喫茶 SWAN』
新潟市西堀通で60年続く『ジャズ喫茶』。人々が惹かれるジャズの魅力と、父から受け継いだ店を守るマスターの思いを取材しました。
ここは、ジャズを愛する人が集う特別な場所-
NEXT21から歩いて5分、新潟市西堀通に店を構える『ジャズ喫茶 SWAN(スワン)』。
2代目マスター和田孝夫さん。先代の父から受け継いだこの店を守ってきました。
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「父親が(店を)始めて手伝ってるうちに、ジャズ好きのお客さんに感化されて、すっかりジャズに染まってしまった。」
ジャズを鑑賞することを楽しむ喫茶店『ジャズ喫茶』。会話はひかえめに・・・ただゆっくりと音楽に耳を傾けます。
店の一角には、ジャズ喫茶ならではの部屋が-
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「若い人にはDJブースじゃないかというような。ここでお客さんがね、リクエスト、『ああいうレコードを聞きたい』とか『こういうCDをかけて』みたいな。時々ありますから、ここから選んで。」
レコードやCDは約4000枚。使うスピーカーは50年ものです。
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「アンプ類も毎日、もう1日10時間はかけている。家庭用というよりも、プロ用というか。やっぱりジャズっぽい音が好きなんで、柔らかいよりもちょっとパンチの効いたのは良い。」
心に響く音が、店内を包み込みます。
■5、6年前から通う客(70代)
「音ですね、ダントツ違います。すごいスピーカーですよ。やっぱり一番落ち着く。本読んだり、ただ読んでるふりをして、結構うたた寝してますね。気持ち良いもんだから。」
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「自由に演奏できる音楽。聞き方ももちろん自由ですけれども、その人の個性が出る。ずっと聞いてても飽きない。同じ曲でも色々な人が演奏すると全然違ったりするから。すごく面白いです。奥が深いというか。」
『ジャズ喫茶 SWAN」のはじまりは、1964年。先代の父・徳治さんが、当時働いていた飲食店を譲り受けジャズ喫茶としてオープン。孝夫さんは高校卒業後、店を手伝うなかで継ぐことを決めました。
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「お客さんにつくってもらったお店。例えば4人掛けの席のところに1人か2人入ってても無理やり相席で『ちょっとそのお客さん座らせてよ』みたいな感じで、ぎゅうぎゅう詰めにして。」
妻・和子さんとの出会いも、この店でした。
■2代目マスターの妻 和田和子さん(75)
「高校生の頃から(スワンの)お客さんだったの。」
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「ジャズを聞きながら本をずっと読んでいた。見てて綺麗だな、お手伝いしてもらうともっといいなと。結婚すれば、ずっとお手伝いしてもらえるなと。」
■2代目マスターの妻 和田和子さん(75)
「スワンが好きだったんだと思う。スワンの中にこの人がいたから。」
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「セットなわけよ。セット。」
マスターおすすめの1曲を選んでいただきました。
■富山詠美アナウンサー
「柔らかく優しい曲調ですね。自然と静かになるかも。」
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「おしゃべりも止まってしまう。」
スワンのもう1つの魅力は〝ジャズの生演奏〟。
20年ほど前からマスターが始めました。
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「楽器を習い『ジャズを演奏してみたい』というアマチュアの方もいた。」
「その人たちの演奏の場所みたいのがほしいなというのがありましたね。(Q.マスターが参加されたりも?)私は全然。もっぱらヤジを飛ばす。」
週末、金曜日の夜。この日は“セッションライブ”。
ホストとなる人たちが開催し、お店に訪れた人が飛び入りで参加します。
■音楽歴28年
「誰でも気軽にプレイヤーとしても参加でき、聞くだけで素敵な時間過ごせます。心の拠り所というか、これが無いとやっていけないというか。」
■音楽歴38年この日のホスト
「ジャズの私の人生のつくりあげた全てがスワンに詰まってると思ってます。新潟で生まれて、スワンに育てられて。いわゆる“スワンの申し子”みたいだと自分では自負してます。」
昼と夜-
スワンは表情を変えてお客さんを楽しませます。
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「夜は夜でね、雰囲気がある。生演奏の魅力を目の前で、ハラハラドキドキしながら。初めてのお客さん同士で一緒に演奏する。スリルとかも楽しめるとおもしろいなと思います。」
スワンだからこそ生まれる〝ジャズ〟がここにはありました。
■2代目マスター 和田孝夫さん(78)
「父親がつくってくれたので、ジャズをずっと流し続けていたいなと思ってます。お客さんが来てくれて『あれは良かったね』と喜んでくれる、それがある限りは続けていきたい。」