2025.02.25【特集|新人隊員に密着!人命救助の最前線】冬山遭難で人命救助「県警レンジャー部隊」訓練に密着【新潟】
今年度配属された新人隊員の鈴木滉大さん(22歳)
冬山での遭難。その時、現場で救助にあたるのが『県警のレンジャー部隊』です。人命救助の最前線で活動する隊員たちの知られざる訓練に密着しました。
1月、南魚沼市の八海山でバックカントリースキーをしていた男性2人が、道に迷い遭難。通報から約17時間後、2人は救助されました。
今シーズンも県内で相次ぐ、冬山の遭難。
その際、救助にあたるのが『県警機動隊のレンジャー部隊』です。県警航空隊と連携して、ヘリコプターで現場に向かう〝人命救助のスペシャリスト〟です。
県警の警察官約4200人の中からレンジャー部隊に選抜されるのは、わずか20人ほどです。今年度配属された新人隊員の鈴木滉大さん(22歳)。
■県警レンジャー1年目 鈴木滉大隊員
「今まで地域警察官、制服を着てパトカーに乗っていたが、自分からなりたいと希望して少数しか選ばれないというのを聞いていたので、選ばれた時はシンプルに嬉しかった。」
この日は、阿賀野市の五頭山で冬山の救助を想定した訓練。氷点下の環境で約4kgの装備を身につけて活動することもあり、体力が求められます。
トップバッターは鈴木隊員。到着したヘリコプターに乗り込んで訓練スタートです。着陸できない想定で、ヘリコプターから地上へ。短時間で救助する人に器具を装着し、一緒に上空へと上がります。
■県警レンジャー1年目 鈴木滉大隊員
「ミスをなくすために1つ1つ確認するところは、しっかり気持ちを切らさないようにしています。最後、要救助者を機内に引き込む際に少しバランスを崩してしまったところがあったので、そこが一番、要救助者自身も不安になったりするところだと思うんで、もう少しスムーズに機内に収容できたらよかったかなと思いました。」
指導する隊員も、鈴木さんの取り組みを評価します。
■県警航空隊救助係 星野翔太指導員
「何事にもまじめに愚直に取り組む隊員だと思っております。現場に行った時も自ら率先して積極的に意見を出してくれますし、非常に頼りになる隊員だと思っております。映像を確認しましたが、現場でも安全に救助していたので訓練の成果が出ているなと思いました。」
厳しい訓練の合間、ほっとできる昼食の時間。
■県警レンジャー1年目 鈴木滉大隊員
「カップラーメンとコンビニのおにぎりです。」
■先輩隊員
「(1年目の隊員は)言ったことは直して訓練してくれますし、大きなミスもなく訓練しているので頼もしい後輩です。」
■県警レンジャー1年目 鈴木滉大隊員
「みんなで協力しながら頑張ってます。」
レンジャー部隊が出動するのは、冬だけではありません。春は山菜採り、秋はキノコ狩りなど1年を通して山での遭難に対応し、昨年度は71件の出動がありました。
鈴木さんが初めて冬山での救助にあたったのは、今年の元日。
■県警レンジャー1年目 鈴木滉大隊員
「その現場は、結構パウダースノーで雪が積もっていて、腰ぐらいまで埋まるような場所だった。」
その時の現場は、南魚沼市の平標山。バックカントリーでスノーボードをしていた男性2人が、山頂近くで動けなくなり救助に向かいました。映像に記録されていたのは、鈴木さんの声かけです。
■県警レンジャー1年目 鈴木滉大隊員
「一番、要救助者が不安・怖いと思っている。まず着いてから『大丈夫ですよ』という声かけが大事と頭に入れていたので、着いてから『大丈夫ですよ、もう少しですよ、頑張ってください』という声かけは意識していた。」
通報から1時間半ほどで、無事に救助されました。
■県警レンジャー1年目 鈴木滉大隊員
「一緒に出動した隊員との連携。ヘリのパイロットだったり機内操縦士と連携して救助することができたので、ミスなく救助できたのがよかったかなと思います。」
冬山遭難での出動は依然多く、県警は注意を呼びかけています。
■県警航空隊救助係 星野翔太指導員
「やはり、夏山と違って冬山は危険度がかなり上がると思います。なので、自身の体力・知識・技術に見合った山を選定して、冬山レジャーを楽しんでもらいたいと思います。」
人命救助の最前線で活動する、レンジャー部隊。
1人でも多くの命を救うために、日々の訓練に臨みます。
■県警レンジャー1年目 鈴木滉大隊員
「2つとしてまったく同じ現場がない。これから現場を経験して、さらにレベルアップしていきたいなと思います。」