2024.09.10【特集|LGBTs】迎えた結婚式:戸籍上は女性同士『ふうふ』として新たな一歩【新潟】
祝福受け新たな一歩
羽賀風真さん(29)と長谷川玲奈さん(31)。9月初め、家族や友人に祝福され、結婚式を挙げました。
■風真さん
「私たち2人は、これからも人生のパートナーとして支え合い、笑顔いっぱいの家庭を築いていきます。」
2人は、性的マイノリティーの人たちを指すLGBTsの啓発団体のメンバーです。2022年に性的少数者のカップルを公的に証明する“パートナーシップ制度の導入”を、地元の三条市に要望。制度が始まり、最初に証明書を受け取りました。
風真さんは、幼いころから体の性と心の性が異なることを感じていたといいます。
■風真さん
「かわいいものよりも、かっこいいものが好きとか。ほんとに小さい頃、幼稚園とかそのくらいのときから違和感っていうのはずっとあったなという風に思っていて。違和感の正体がわかったのが、高校一年生のときでした。」
『高校の制服を、スカートからズボンに替えたい』母親に打ち明けました。
■風真さん
「一緒に勉強していこう、一緒にやっていこう、という言葉を両親からもらいました。」
2人は4年前、共通の知人の紹介で知り合いました。出会ったころに、風真さんがトランスジェンダーであることを知った玲奈さん。会話を重ねるにつれ、距離が縮んでいったといいます。
■玲奈さん
「結婚はできない人なのかなと思って、そういう(好意的な)感情にならないようにどこか自分の中でしていたんですが、でもそういうのを取っ払ったらすごく好きだなって思って。いつの間にか関係なくなっていました。」
戸籍上、女性の風真さん。日本では同性婚が認められないため、将来への不安がありました。2人で選んだのは、法律婚に最も近いと感じた『パートナーシップ制度』でした。
■風真さん
「長い目で見ても、結婚ってやっぱり難しいのかなって、本当に付き合った当初から思っていて。公的に認められていないっていうのが心の中でどこか不安な部分があったので、そういうところを解消していきたいと思って。」
パートナーシップ制度は、県内6つの自治体が導入していて、9月2日から県も受け付けを始めました。証明書を受け取ることで、県営住宅の申し込みや一部の給付金制度などをスムーズに利用できますが、法的な効力はなく扶養に入ることや相続の権利は認められていません。
■風真さん
「特別扱いされることもあるけれど、特別とかではなくて、ごく当たり前に生活しているただの1人の人間なので、みんながそういった意識を持ってくれるとみんなが過ごしやすいんじゃないかと思っている。」
結婚式の3日前、式場を訪れた2人。当日、出席する人たちを迎える飾りつけを持ち込みました。
■風真さん
「玲奈ちゃんの方が自分の意見を持っていて言う。こっちの方がパワーバランスが強いと思われがちなんですけど、(自分が)口数が少ないゆえにこっちに聞いてくれるので。」
■玲奈さん
「結局、決定権はこっち(風真さん)にある気がします、嫌なことは嫌だっていうし。」
2人で迎える、運命の日―
■風真さん
「自分が新郎として結婚式を挙げることができる日が来るって思ってもみなかったし、不安もあります。緊張というか、でもきっと楽しいんだろうなと思って楽しみにしています。」
結婚式、当日。
■風真さん
「両親に今まで育ててくれた感謝であったりとか、小さいころから私のこれまでの変化とか成長を見守ってくれた感謝を表して、いい式にしたいなと思います。」
ドレスを着た玲奈さんと、初めての対面・・・
■風真さん
「足音で緊張するって(笑)よろしくお願いします。」
■玲奈さん
「お願いします。」
両親とも、顔を合わせました。苦難を乗り越えて、迎えた門出―
■風真さんの母
「女の子として生まれて、どんどん変わっていく途中で名前も変えることもあったし、私の思いも重なってこの時不安だったなとか何とかならないのかなとか、お互いぶつかり合ったこともいっぱいあったので。それで今日の日があるんだなと思って心から喜べたし、本当に二人が幸せそうだったのでとても感動してうれしかったです。」
披露宴では、親族や友人・同僚などたくさんの人から祝福を受けました。
■風真さんの叔母
「小さいころからずっと見てきたので、この日を待っていたので。」
〝夫婦〟という言葉。
式で流したムービーでは『だれとでも〝ふうふ〟になれる』そんな思いから、平仮名を使いました。
■風真さん
「世の中の〝ふうふ〟とは少し変わったかたちかもしれません。しかし、他の〝ふうふ〟と何一つ変わらない二人の人生のストーリーを進む唯一無二の〝ふうふ〟です。私たち二人は、これからの人生のパートナーとして支え合い、笑顔いっぱいの家庭を築いていきます。」
■玲奈さん
「私たちらしい式ができたと思うので、誰でもできるんだよっていうところをたくさんの方に知っていただけたらなって。」
■風真さん
「それ(性的マイノリティー)を理由に、自分の幸せを手放したりとか、あきらめたりとかそういうことが無いような世界にしていきたい、なってほしいなと思います。私たちらしく楽しく、私たちが目指す世の中をどんどん広げていきたいなと。そして仲良くしていきたいなと思います。」