2023.08.31乗客ゼロの新幹線走る 特産品だけを乗せて東京へ 物流変化に対応するための実証実験【新潟】
乗客はゼロ 特産品を乗せて東京へ
上越新幹線の新潟~東京間で乗客を乗せず、荷物だけを運ぶ列車が初めて運行されました。物流の変化を背景に、これまで人を運ぶことに特化していた新幹線の新たな可能性に注目が集まっています。
31日、朝早く新潟市東区にある新幹線の車両基地にいくつもの白い箱が到着しました。
その中身は黒埼茶豆やノドグロなどの新潟の特産品。新幹線を使った荷物の試験輸送で乗客を乗せない列車にが積み込まれ、東京に運ばれます。12両のうち4両に荷物が乗せられました。
荷物だけを運ぶ新幹線を運行する背景には物流を取り巻く環境の変化があります。
CO2削減のために自動車への依存度を下げる必要があるほか、来年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限規制が設けられます。労働環境が改善する一方で、輸送力の低下が心配されているのです。
■JR東日本マーケティング本部 堤口貴子マネージャー
「新幹線は輸送時間が高速であるし、時間も安定している、天候にも左右されない大きな利点がある。ここにマッチする商品をしっかり運んでいきたい。」
新潟を出発して1時間後、列車は越後湯沢に到着。30日、十日町市で収穫したばかりのトウモロコシと枝豆が積み込まれました。
関係者にとっては輸送のスピードも魅力です。
■十日町地域地場産業振興センター 岩船眞人さん
「新幹線で運ぶことで付加価値が付いて、時間が速いですから。荷物がお昼ごろには上野で販売できる。」
列車は一路東京を目指します。そして正午前、およそ300kmの新幹線の旅を終えた新潟の特産品は東京の車両基地に無事到着。首都圏各地のスーパーや駅ビルに運ばれていきました。
JR東日本は来年度以降の本格的な事業化に向けて、新幹線を使った荷物の試験輸送を続ける方針です。