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2023.09.18再犯…なぜ再び罪を犯すのか 社会復帰に向けた苦悩 支える取り組み【新潟】

再犯…なぜ再び罪を犯すのか 社会復帰に向けた苦悩 支える取り組み【新潟】
計5回 窃盗の疑いで逮捕 鎌田さん(81・仮名)社会復帰に向けて…
法務省によりますと、2021年、刑事事件で検挙された人は全国で約17万5千人。このうち「再犯」で検挙された人の割合は48.6%にのぼります。
なぜ、再び犯罪に手を染めてしまうのか。刑務所を出て社会復帰を目指す人の声や、再犯者を支援する取り組みを取材しました。

■鎌田さん(81・仮名)
「農薬を2000円くらいの。万引きですこて、それで捕まって。どうしてしたのかなと。金はあるのにと思って。」

81歳の鎌田さん(仮名)。65歳の時に初めて罪を犯し、計5回、窃盗の罪で逮捕されました。前回は、刑務所を出て1年経たないうちの「再犯」でした。

■鎌田さん(81・仮名)
「反省してますわ。もう2度とあんなことはできないと自分では思ってますし。もう2度としないつもりでいます。」

現在は社会復帰を目指し、新潟市内の「自立準備ホーム」で生活しています。
自立準備ホームは、法務省の保護観察所から委託を受けたNPO法人などが運営する施設で、刑務所を出たあと、帰る家のない人が一時的に住むことができます。
鎌田さんが入所する自立準備ホームを運営する村上慶乃介さん(46)。葬儀業を営む傍ら、今年3月に施設を立ち上げ出所者を支援しています。

■自立準備ホーム運営 村上慶乃介さん
「高齢者の貧困を葬儀業の中で見たのがきっかけ、経済的に困窮している人が非常に増えていることを感じていて、それを突き詰めていって自立準備ホームに行き着いた。社会の中で孤立している人たちに対して、何かこう支援ができないかと。」

施設は個室でテレビとベッドがあり、十分な広さもあります。宿泊費や食費は無料で、国が負担。村上さんが大切にしているのは、快適な環境を提供することです。

■自立準備ホーム運営 村上慶乃介さん
「うちの自立準備ホームにいることが、本人にとって幸せであること。そうすれば本人たちもある程度心は満たされて、再犯しなくなるんじゃないかというところで」

施設の職員として行うのが、出所者の生活指導です。ほぼ毎日顔を出し、現在入所している2人とコミュニケーションを取ります。
施設のルールはたばこは決められた場所で吸うこと,酒は飲まないことなど、必要最低限に限られます。


49歳の山本さん(仮名)も窃盗の罪で逮捕されました。

■山本さん(49・仮名)
「新型コロナの時に、もう仕事をなくし、住まいもなくし、全てを失って結局窃盗で捕まって。頼る人もいなければ、相談する人もいないし、お腹が減ったから物をとろう、歩きすぎて靴が壊れて歩けないから靴をなんとかしよう、とかそういう衝動で。」

初めて罪を犯した「初犯」の山本さん。裁判の判決は懲役1年7カ月、執行猶予3年でした。現在は仕事が見つかり、施設で生活しながら自立を目指しています。

■山本さん(49・仮名)
「今夜勤の仕事してるんで、なんだかんだして朝4時か5時頃寝るような感じになってるんで。今もう仕事して収入を得てるんで、ある程度蓄えを作って、アパートを借り、そこで生活スタイルっていうものを築き上げられるようにする準備をさせてもらってる。」

81歳の鎌田さん(仮名)。4カ月の準備期間を経て来月、自宅に戻ることになりました。

■鎌田さん(81・仮名)
「帰りたい。家も土地もあるから、野菜はひと通り作る。ここにいても何もできない。そういうこと考えると、1日も早く帰りたいです。」

自立に向け、歩みを進められる人ばかりではありません。施設のひと部屋に住んでいた、67歳の男は8月末、社会復帰を目前に逮捕されました。

■自立準備ホーム運営 村上慶乃介さん
「無賃乗車ですね。 言ってみれば、自分から捕まりに行ったというか。タクシーつかまえて、警察署まで乗って、着いたところで、自分は無賃乗者だから逮捕してくれと、そのままもう出頭みたいな感じですよね。もうハナから捕まる気でやったという。」

逮捕の前日、泥酔した状態で警察に保護されていました。

■自立準備ホーム運営 村上慶乃介さん
「高齢になってくると、働ける場所もなかったり。そこでやっぱり前科がある人たちというと、雇ってくれるところも少なくなってくるので、そうなるとやっぱりみんなどうしていいかわかんなくなって、結局、自暴自棄になってしまうっていうところがあるから」

村上さんは男と面会するため、警察署に向かいました。

■自立準備ホーム運営 村上慶乃介さん
「数カ月一緒にいたので、やっぱりこのまま何も言葉を交わさず終わってしまうのはちょっと悲しいかなっていうところで」

しかし面会拒否。会うことはできませんでした。

■自立準備ホーム運営 村上慶乃介さん
「ほんとは僕の責任でもあるんだけど、難しいです。こればっかりは。」

施設に届いた封筒。逮捕前に男が申請していたマイナンバーカードでした。
自立準備ホームを始めてからおよそ半年。出所者と向き合う日々が続きます。

■自立準備ホーム運営 村上慶乃介さん
「1人でもそういう本人にとって大切な人がいれば、(再犯は)ぐっと減ると思うんですね。だから僕は、今、自分のホームにいる人たちには自分は1人だと思わないでほしいなっていうのは。施設を出た後だって僕で悩みの相談乗れることがあれば、いつでも聞くつもりだし、何かあった時のストッパーになりたいですよね。」

【解説】
出所者などの自立を支援する施設は更生保護施設と自立準備ホームの2種類あります。新潟保護観察所によりますと県内では、1ヵ所の更生保護施設と21法人・42の自立準備ホームがあるということです。
こうした施設と、委託元の保護観察所、そして退所後の生活をサポートする機関(個人の希望に基づき利用)の3機関が連携し、出所者などの社会復帰を支援しています。
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