2023.03.07東日本大震災から12年 柏崎刈羽原発停止から10年余 運転技能低下への不安【新潟】
【訓練】原発の中央制御室などを再現「BWR(沸騰水型炉)運転訓練センター」
東日本大震災、そして福島第一原発の事故から間もなく12年が経ちます。柏崎刈羽原発は、全ての原子炉が停止してから10年以上が経過しましたが相次ぐ不祥事もあって再稼働のメドは立っていません。その中で不安視されている運転員の技術低下の現状を取材しました。
「BWR(沸騰水型炉)運転訓練センター」。電力会社などが設立した原発の中央制御室などを再現した訓練施設で、柏崎刈羽原発の運転員が外部電源が喪失した想定で対応を訓練していました。
過去に原発で起きたトラブルを参考に1人の運転員が年間50~60通りのシナリオを経験します。
訓練後はインストラクターから指導を受け、運転員同士が意見を交わします。
■運転員
「悩んでいたところもあったので進言して確認すべきでした」
「悩んだらすぐ口に出して。周りが考えるから」
「操作の手が追いついていないところを確認して早くフォローに回ればよかった」
柏崎刈羽原発は2012年の6号機を最後に全号機が停止。運転員は発電の業務に携われていません。
■柏崎刈羽原発 当直長
「原発が起動していれば東京方面に電気を送り出すのが最大のミッション。今はどちらかというと受電所。電気をもらいながら核燃料の冷却をメインに通常業務を実施している」
現在、柏崎刈羽原発の運転員およそ260人のうち3割超が原発を運転したことがない未経験者になってしまいました。6・7号機に限ると半数に上るといいます。
■運転員
「起動する際に必要になる機器の運転状態を若手の運転員は理解していない。起動した際の異常を発見できるかどうかが課題」
こうした状況に不安を募らせる県民もいます。東京電力が開いた説明会では。
■住民
「東京電力には原発を運転するだけの人材がいないのではないか」
柏崎刈羽原発の稲垣所長は技術継承に取り組んでいると強調します。
■柏崎刈羽原発 稲垣武之所長
「ベテラン運転員がしっかりシミュレーター訓練等を通じて教える。火力発電所に行って実際に動いている機器を経験してもらう。そういった訓練を計画的に行っている」
原発でも使われる蒸気タービンの点検などは稼働している火力発電所での訓練で経験不足を補おうとしています。
■火力発電所 ベテラン運転員
「点検する時の注意事項になるがバルブは高温高圧。いつ蒸気が噴き出すかも分からないということを心にとどめて点検にあたってもらいたい」
この日、柏崎刈羽原発の若手運転員は異常の見分け方や点検の道具の使い方などを教わりました。
■運転員
「運転員が現場を把握して訓練を積んで適切な対応をとることで福島第一原発のような事故は防げると思っている。資格を持った人間としては怖くても取り組まなければいけない」
東電は相次ぐ不祥事からの信頼回復とともに原発の運転技術の維持と継承も課題となっています。