2025.03.19【特集】約50年の歴史に幕…テナントの決断は:新潟市の地下商店街「西堀ローサ」【新潟】
50年余りの歴史に幕 それぞれの決断は・・
新潟市の地下商店街『西堀ローサ』が3月末、50年余りの歴史に幕を閉じます。退店を余儀なくされたテナントは〝古町を離れるのか〟それぞれの決断を追いました。
閉店を知らせる張り紙が目立つ『西堀ローサ』。
先週末、タオル店の「ラビック」も営業の最終日を迎えました。
■ラビック 折笠雄司社長
「古町にも50年くらいいるから寂しいなと思うけれど、時代の流れで仕方ないなと思う。」
1976年に、新潟市の古町地区に開業した地下商店街『西堀ローサ』。大和や三越など周辺のデパートとともに賑わい、1991年度の売り上げは年間50億円に達しました。ラビックは大和新潟店で営業していましたが、15年前の閉店に伴い西堀ローサに移転。今回再び、退店を余儀なくされました。
■ラビック 折笠雄司社長
「(次の店も)古町でやりたいなと他の店とも相談したりしていたが、やっぱり・・・現状は厳しいものがあって、人通りもほとんどなく。」
現在の売り上げは、ピーク時の4割ほど。折笠社長は悩んだ末、50年以上商売してきた古町を離れることを決めました。イベントに出店しての販売に限ることも考えましたが、会社を継ぐ息子の拓磨さんの後押しで、2.5kmほど離れた場所に規模を縮小した店舗を構えることにしました。
■ラビック 折笠拓磨さん
「今、時代錯誤なのは正直分かっている。インターネットなどの販売などが多い中で、いいものを自分の口で伝えていきたいと言うのがあって、そうなると店舗を残すという選択になりました。」
この日は、イベントが開かれ西堀ローサも賑わいを見せます。
■ラビック 折笠拓磨さん
「本日をもって西堀ローサ店閉店となります。ぜひ一度、お立ち寄りください。ありがとうございます。」
開店から1時間が過ぎたころ、常連客が駆け付けました。
■常連客
「やっぱり店員さんの人柄がよかったですね。ものもすごいたくさんありますし、全然お店もなくなっちゃってちょっとさみしいですね。」
こちらの女性は、大和新潟店に勤めていて40年以上、ラビックに通っています。
■常連客
「昭和56年入社です。」
■ラビック 折笠雄司社長
「何年だろうね。」
■常連客
「ちょっと計算できない。また次もお会いできると思っているので、買いに行きます。」
イベントが終わると、人通りはほとんどなくなりました。店に通い始めて50年になるという女性は、孫と自分用にタオルを買いました。
■常連客
「買いましたね。これ全部ここのだもの。最後だと思うと余計にね。」
古町に住んでいるという女性は、移転先に通うのは難しいと話します。
■常連客
「堀之内(移転先)なんて自分が行かれないしさ、こういうお店でないと私たちは買い物できませんもの。」
新しい店の連絡先を伝えて、見送ります。
閉店30分前。
最後のお客さんは、拓磨さんの妻と娘たち。この店で過ごす最後の時間です。
そして・・・
■ラビック 折笠雄司社長
「幸せ者ですよ。今度は新しいお店で頑張っていくと息子と一緒にね、その気持ちが一番です。」
古町地区に店をかまえて30年。レコード店の『KINGKONG』。
2月16日に西堀ローサでの営業を終えました。移転先は、古町にこだわりました。
■KINGKONG 長井瞳店長
「西堀ローサの前もずっと古町のどこかで続けてきたレコード店なので、ローサがなくなっても古町がいいなというのはうちのオーナーの気持ちとしてあって、私も同じ気持ち。地下から地上に上がって、また皆さんに来ていただけるという気持ちでいっぱいです。」
コンセプトは“音楽のスーパーマーケット”。演歌やジャズ・J-POPからクラシックまで、中古レコードが並びます。幅広い年齢層が、こだわりのレコードを求めて訪れます。
■常連客
「もう閉店間近なので、なんか無いかなと思ってこんなのを買いました。子供のころから、噴水があるころから知っています。さみしい。」
■常連客
「こんなところあるんだと思ったら、その矢先に閉まるのでさみしい。次は若い人も来やすい場所になるといい。」
KINGKONGが大事にしているのは、訪れる人との“コミュニケーション”。この日は、常連客からケーキの差し入れがありました。
■常連客
「スタッフさんが良くしてくださるので、ちょっとしたお土産。素晴らしいお店です。」
■KINGKONG 長井瞳店長
「古町だからゆっくりじゃないですか、だからおしゃべりも盛り上がるし、お客さまもスタッフがこういう人みたいなことを段々理解してくれて関係性が築かれていくというのはすごく思う。」
西堀ローサの営業が終わった後も、古町とともに歩みを進めます。
■KINGKONG 長井瞳店長
「古町の特徴を気に入ってもらえて来てくださっているなっていうのは印象としてあるので、小さいお店が集まっていて巡るという良さがあるので、それをみんなで打ち出していけばいいんじゃないかなと思う。」