• 現在のお知らせはありません。

2025年07月01日(火)本日の番組表

UXニュースNEWS

2025.06.30【柏崎刈羽原発】“全員匿名”異例の「公聴会」柏崎市と刈羽村の住民ら対象で初開催、識者「前代未聞」【新潟】

【柏崎刈羽原発】“全員匿名”異例の「公聴会」柏崎市と刈羽村の住民ら対象で初開催、識者「前代未聞」【新潟】
1回目の公聴会は柏崎市と刈羽村の住民らが対象
全員が「匿名」で意見を述べる異例の『公聴会』となりました。柏崎刈羽原発の再稼働について、県民の意見を聞く1回目の公聴会が29日に開かれました。多様な意見が聞かれた一方、その形式には疑問視する声も上がっています。

県庁の一室で大型モニターを囲む県の担当者と報道陣。意見を述べる公述人がどこにいるかは明かされず、画面に顔を出すのは了承を得られた人のみ。それ以外の人は、すりガラスのように加工された画面や黒い画面から声のみで考えを述べます。
これが、花角知事が再稼働判断のプロセスに挙げる『公聴会』の方式です。初回は柏崎市と刈羽村の住民らが対象でした。

■県商工会議所連合会推薦60代(再稼働に賛成)
「現在、発電所構内には6300人の方々が働いている。雇用において、これだけ地域に貢献している企業は地元を見ても他に例はない。」

■柏崎市在住70代(再稼働に反対)
「柏崎刈羽原発は2007年に中越沖地震で甚大な被害にあっている。被災原発をさらに稼働するということは大変危険なことだと思う。」

公述人は、一般公募の8人と各種団体の推薦を受けた8人の合わせて16人。賛否の内訳は、賛成が7人/条件付き賛成が2人/反対が5人/明言なしが1人、再稼働に『疑義がある』とした人が1人でした。賛成意見を述べたのは、経済団体などの推薦を受けた公述人です。

■県商工会議所連合会推薦50代(再稼働に賛成)
「雇用の創出・若者の定着やUターンの促進・地元企業への波及効果など、(柏崎刈羽原発は)地域経済にとって、必要かつすでに当たり前の存在になっている。新潟県として、再稼働の判断に時間をかけるべきではないと思う。」

■県経済同友会推薦50代(再稼働に賛成)
「火力発電の燃料はいずれも暴騰しているため、家庭用・産業用ともに電気料金を値上げした。電力料金の高騰は、国内企業の大きな足かせ。」

反対派からは、事故への不安や東電の適格性を問う声が上がりました。

■刈羽村在住80代(再稼働に反対)
「福島事故を起こし、その間にさらに不祥事を繰り返す東電には、本当に運転適格性はあるのでしょうか。東電の運転適格性を信じることはできません。」

■県トラック協会推薦50代(再稼働に反対)
「(福島県で)帰宅困難地域の復興のための仕事にいろいろ携わってきた。あんな思いをこの地域の人にはさせたくないというのが本音。」

条件付き賛成の立場からは、避難道路の建設が条件となることや経済的メリットを求める声がありました。

■柏崎市在住40代(条件付き賛成)
「使っていない電気のために、原発を再稼働しても何もメリットはない。もし電力が安くなるのであれば、多くの市民が賛成の意見になると思う。」

顔を出して意見を述べたのは、半数の8人でした。


異例の形式となった公聴会。しかし当初、県は全ての公述人について一切顔を出さず「音声のみ公開」とする方針でした。

■花角英世知事
「自由な発言をできるような環境にしてあげる必要があるということで、基本的には内容が分かればいいので音声(のみ公開)ということにした。」

誰が発言しているのか全くわからない公聴会で良いのか?報道各社が疑問の声を上げ、市民団体も会場での一般傍聴を可能にするよう要請するなど県への批判が高まりました。

結局、同意が得られた公述人のみ公開という形になりましたが、行政法が専門の武田真一郎・成蹊大学教授はこうした手法を疑問視します。

■成蹊大学法学部 武田真一郎教授
「こういう公聴会は〝前代未聞〟。公的に意見を述べる場合は、自分の名前で責任をもって陳述するのが原則であるはず。公述人のプライバシーや人格的利益を保護する場合には、公述人の情報を秘匿する場合があるかもしれないが、原発再稼働の賛否はどのいずれにも当たらない。」


原発再稼働をめぐって、残る要件は『地元の同意』のみ。知事は「県民の意思を聞く場」として、公聴会と県民意識調査を実施する考えです。
では、聞き取った意見をどうまとめるのか?UXの取材には、こう述べています。

■花角英世知事
「(Q.県民の意見をどう整理するのか?)〝総合的な判断〟としか言いようがない。」

■成蹊大学法学部 武田真一郎教授
「公聴会は、示された意見を政策に反映させるための手続きが不明確。本当に県民の意見を聞きたいなら、じつは住民投票を実施するのが一番効果的な方法だったはず。賛否が明確に示される。」

多様な民意を把握したいとする一方、公聴会の場にも姿を見せない花角知事。県民が納得する形で民意をくみ取れるのか、厳しい目が向けられています。
ページのトップへ