2025.09.11“水を張らないコメ作り” 生産コスト大幅減「直播」の新技術【新潟】
農業法人「ベジ・アビオ」が取り組んでいる新技術『“節水型”乾田直播』
田植えを行わない『直播(ちょくは)』と呼ばれる方法で、栽培に挑戦する新潟市の農業法人を取材しました。
農業法人『ベジ・アビオ』が管理する新潟市北区の田んぼ。今年、高温耐性に優れる『にじのきらめき』をある方法で試験栽培しています。
■ベジ・アビオ 加藤和彦さん
「こちらが〝節水型乾田直播〟の田んぼ。従来は苗を作って移植する形だったが、こちらは直接 種もみをまいている。」
通常の稲作では、まず土を起こし、水を張ったうえでハウスなどで育てた苗を植えますが、『直播』では種もみを直接田んぼにまきます。
水を張った田んぼに種をまく方法を〝湛水直播(たんすいちょくは)〟。乾いた田んぼに種をまくことで、さらに代かきの手間も省いたものが〝乾田直播〟です。
ベジ・アビオが取り組んでいるのは乾田直播の中の新たな技術『“節水型”乾田直播』です。
■ベジ・アビオ 加藤和彦さん
「(乾田直播では)芽が出た後に水を張るが、(節水型だと)水を張らずに適宜走り水で水を流す程度。水の管理がなくなって、大幅に労務費用が削減できる。」
農林水産省の試算では、生産コストの6割が削減可能に。栽培過程で水を一切張らないため、作業時間も大幅に減らせるメリットがあります。一方で、直播は生育が安定しないことや収量が減るなどのデメリットもあります。
農水省によりますと、県内の乾田直播の栽培面積は288.4haと全体の約0.25%にとどまっています。
■ベジ・アビオ 加藤和彦さん
「バイオスティミュラントという新しい資材があり、ビール酵母や菌根菌。夏場の暑いときに水を張らなくても保水する技術などアグリテックを使ってチャレンジしている。課題を克服しながら、担い手不足を解消していく技術になっていけばと思う。」
稲刈りは、9月末~10月上旬にかけて行う予定で、収穫したものは新潟食料農業大学の食堂で販売するということです。