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2025年11月14日(金)本日の番組表

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2025.11.13黄金色に輝くこだわりのあごだしスープ:上越市「麵屋あごすけ」新潟の人気ラーメン店の舞台裏に密着【新潟】

黄金色に輝くこだわりのあごだしスープ:上越市「麵屋あごすけ」新潟の人気ラーメン店の舞台裏に密着【新潟】
上越市の『麺屋あごすけ』店主・月岡二幸さんに密着
新潟の人気ラーメン店の舞台裏に密着し、店主の哲学を探る「ラーメンの哲人たち」。人気ラーメン店の舞台裏に密着。店主の哲学と人気の理由に迫ります。

今回は、上越市の『麺屋あごすけ』。
2024年にテレビ番組のラーメンランキングで全国一位を獲得。週末は行列ができ、混雑時は3時間待ちになることもある超人気店です。

県外客など、多くの人を引きつけるのは、トビウオでとった“あごだし”を使ったこだわりの「塩ラーメン」。黄金色に輝くあごだしスープと、お皿に盛られた美しいトッピングが特長です。

店ののれんを守るのは糸魚川市出身の店主・月岡二幸さん56歳。東京や中国で中華の料理人として経験を積み、その技法を生かした〝新たな発想のラーメン〟を生み出しています。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「あんなのラーメンじゃないって言う人もいますよ。ラーメンを作っているというより、料理を作っている感じ。こんな味ができるんだとか。常に新しい味にチャレンジしていますね。一杯一杯心を込めて喜びのために作っているだけかな。」


上越ICから車で10分の場所に『麺屋あごすけ』はあります。

朝7時-
店主の月岡さんは開店の4時間以上前に出勤。シェフのような白衣を着るのは、ラーメンを確かな料理として捉える月岡さんの姿勢の表れです。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「自分は料理人だと思っているので、中華料理時代の格好をそのままで。これは僕らの正装ですから、ピッと気が引き締まりますよ。」

まだ薄暗い店内で、ラーメンの仕込みが始まります。まず火にかけたのは、店の命ともいえる〝あごだしのスープ〟。ミネラル水を使い、焼きあご・イリコ・スルメ・アサリ・昆布・シイタケでだしをとります。

開業した23年前はまだ、あごだしを使うラーメン店は少なかったそうです。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「知り合いが佐渡においしい(トビウオ)あるよって言って。だしを取ってみたらすごく香ばしくてうまみがあって。あまり知られていなかったし絶対に使おうと思って『最初にやったろ』って思った。」

佐度のトビウオに出会い、現在のラーメンを作り上げた月岡さん。『あごすけ』という店名もそこから名付けたそうです。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「佐渡の焼きあごから『あご』をもらって、私のあごも立派な『あご』をしているので掛け合わせた。はははははっ!」

続いて仕込むのは、自慢のあごだしスープと合わせる〝丸鶏の上湯(しゃんたん)スープ〟。地元・糸魚川で生産されている地鶏「翠鶏(みどり)」のオスと、純国産鶏「もみじ」の親鳥を使います。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「お客さんとか生産者はもちろんだけど、一番感謝しなきゃいけないのは捧げてくれた命ですよ、鶏さんとか豚さんとか。『いつもありがとう』って心の中で声をかけている。感謝して作るスープっていうのは全然おいしいですよ。」

そこに鶏の足と手羽を入れ、シイタケや昆布などを1日水出ししただしを入れていきます。
さらにこんな食材まで-

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「自家製の“陳皮”って言って(乾燥した)みかんの皮ですね。普通入れないでしょ、みかんの皮なんて。鶏のくさみを消したり香り付けのために入れる。中華料理でよく使うんですよ、煮込み料理とか薬膳でもよく使う。」

中華料理の知識を生かして、ラーメンのスープに薬膳料理の食材を使うのも『あごすけ』の特長のひとつ。中国でポピュラーなナツメや、ライチに似た甘みが特長のリュウガン。さらに、自家製のドライトマトを入れることで、より深みのある味わいになるそうです。

そして、仕上げに使うのが…厨房にぶら下がっている〝巨大な肉の塊〟。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「これは自家製の中国ハムですね、スープだけのために1年ぐらいかけて発酵させます。」

なんと、スープのだしのためだけにハムまで手作りするこだわりっぷり。理想のスープを作るために一切の妥協はありません。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「うちのスープは五味調和を意識しながら作っています。辛い・酸っぱい・甘い・しょっぱい・苦い、これ(五味)を調和しながらゆっくり炊いていくと、すごくパワーのあるおいしいスープができる。まだ研究段階ですよ。まだまだこれから、毎日研究しています。これが合うかなーとかね。」

上湯スープは7時間じっくり火を入れて、翌日に使用します。
スープ作りに続いて行うのは、製麺作業。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「気温や湿度で全然変わってきちゃう。(麺は)生き物なので毎回違いますよ。」

その日の天気によっても麺の出来が変わってくるため、水の量や練る時間で調整します。小麦粉は、県産小麦「ゆきちから」の全粒粉ともっちりとした食感が特徴の「もち姫」をブレンド。ラーメンの種類によって、麺を作り分けているそうです。

時刻は午前11時すぎ-
開店の25分前になるとすでに10人以上の列が。ホールも厨房も慌ただしくなってきました。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「いける?大丈夫?じゃお願いします。はーい行きましょう。」

午前11時半、開店です。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「いらっしゃいませー、どうぞー。」

多くの方が注文するのは-

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「お待たせしました、鶏塩上湯麺です。」

〝あごだしスープ〟と〝上湯スープ〟のWスープで作る看板商品「鶏塩上湯麺(とりしおしゃんたんめん)/1200円(税込み)」。

上湯スープが入った丼に麺を入れたら、あごだしスープをそっと注ぎ込みます。さらに、あご油。ドライトマトの粉末とゆずの皮を乗せます。トッピングのチャーシューは、炭火で焼いた鶏もも肉と低温調理の胸肉の2種類。具が別盛りなのは、スープの味がにごらないようにするためです。

繊細な『あごすけ』のラーメンに惹かれて女性客も多く来店します。
なかには県外から出張中に来店した方も。長崎と横浜から出張中の2人。あごすけのファンだという男性は、長崎から年に2回は来店するそうです。


そして、『麺屋あごすけ』もうひとつの看板メニューが「とんこつらーめん」。
濃厚なとんこつスープに妙高産コシヒカリの米粉と豆乳を加えることで、滑らかな味に仕上げてあります。このとんこつらーめんも、もちろん〝あごだし〟とのWスープ。

中でも人気は、「特製塩とんこつらーめん/1450円(税込み)」。
特製は、4種類のチャーシューがのった豪華版です。


その唯一無二の味を生み出すのが、徹底した〝あごだしの温度管理〟。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「あごだしに関しては100℃まで上げない。一番ベストは85℃だと思っているんで。」


〝あごだし〟は沸騰すると香りとうまみが飛んでしまうため、使う分だけを小さな鍋に移してベストな温度までゆっくりと温めています。他の作業をしていても、常に温度には細心の注意を払います。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「温度が一番大事なんですよ。お茶だってそうでしょ、いろいろな温度で味が違う。あごだしもすごく繊細なので沸く一歩手前で香りとうまみがベストな状態、一瞬しかないそこを狙っています。」

さらに、あごだしをそーっと丼に注ぐのもおいしくするためのこだわりです。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「丼の中で(スープを)二層にしてあるんですよね。下に動物性のスープ(とんこつスープ)、上の方にあごだしをのっけて最初にあごの香りと味を感じてもらいたい。そのあとに混ざりあっていく。色んな味を1つの丼の中で味わってもらいたいなということなんですよね。」

開店から1時間半が経過したころ、1人の女性がやってきました。上越市在住の常連さんで、あごすけの創業当時から通っているという主婦。ラーメンの味はもちろんですが、それ以外にも訪れたくなる理由があるそうです。

■創業当時から通う常連客
「よく子どもたちと一緒に来ていたので、それが成長して子どもも1人で食べに来るようになって。子どもとともに成長していった。あごすけのラーメンで大きくなった感じ。なくてはならない、(地元に)欠かせないラーメン屋さんですね。」

地元の方の思い出が詰まった場所としても『あごすけ』は愛されています。
ランチタイムのピークを過ぎると、ファミリーも多く来店します。昼営業は午後2時半までですが、この日は午後3時に終了。県内外から多くの方が来店しました。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「遠いところはもう様々ですよね。北海道から九州から来る人もいる。一杯一杯感謝を込めてですよ。」

全国各地のファンをとりこにする、月岡さんのラーメン。その確かな技術は、長い料理人人生で培われました。
実家が中華料理店を営んでいたこともあり、高校卒業と共に中華料理の道へ。東京や中国で中華の料理人として経験を積み、2002年に『あごすけ』をオープンしました。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「ラーメンはもともと食べ歩くのが好きだった。中華料理もいいけどラーメン店をやってみようかなと、軽いノリだった。でも出来ると思った、自信がすごくあったから。」

しかし、思い切って飛び込んだラーメンの世界はそれほど簡単なものではありませんでした。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「いやー(想像と)全然違いました。中華料理より難しくて、これは『ただものじゃないぞ、ラーメンは』って思った。ラーメンの場合はこの一杯にすべての表現を集約させなきゃいけないので、やったはいいけどお客様の反応が『あれっ?』と思って。失礼ながら当時は下に見ていたんですよ、ラーメン屋さんを。とんでもないですよ、とんでもない。相当なものですよ、ラーメン屋さんの技術は。そこから始まったんですよ、ラーメンの修業が。」

納得のいくラーメンが作れない。その悔しい経験から、月岡さんの飽くなき探究心が生まれたんです。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「日々もう作りまくったんですよね。失敗は成功のもとで、やるしかない何度も何度も何度も。絶対に繁盛するまでは逃げないと思って。」


定休日になると、新たな食材を求めて生産者のもとへ足を運ぶことも多いそうです。この日、やってきたのは上越市内の、水産加工場。お目当ては、爬虫(はちゅう)類のような顔をした見慣れない魚。月岡さんが新メニュー開発のために選んだ〝新たな食材〟です。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「エソですよね、エソ。だしに使おうと思って。」

エソは、もともと西日本の海で獲れ、高級かまぼこの原料に使われる魚。海水温の上昇などで近年 新潟県でも水揚げされるようになり、こちらの会社ではだし用の焼干しに加工しています。

月岡さんがエソに注目した理由には、ある背景が-

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「オープンから佐渡の焼きあごを使っていたんですけど、今はゼロ、獲れない。海の温度が変わっちゃって。だから今は九州から焼きあごを取り寄せている。でもせっかく新潟でやっている限りは地元のものも使いたいなと。エソのだしは見た目と違ってすごく上品なんですよ。すごく甘くて、アゴよりうまみが濃いと思います。」

さらにこの日は、エソとおからを発酵させて開発中の「みそ」も見学。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「あーじゃあ魚醤のみそ版だ。本当にいいにおい。うちはみそラーメンやっていないけど、これだったらいいかもしれない。これいいね。」

こうやって生産者のもとへ直接足を運ぶことも大切にしています。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「やっぱり生産者さんしか知らないことっていっぱいあるので、それは貪欲(どんよく)にいつもアンテナを張って新しい(食材)ないかなと探している。どの食材と合わせようかなと考えているとワクワクしてくる。」


その3日後-
翌日の仕込みをしているかたわらで、新メニューの試作が始まりました。仕入れたエソは、1日水出しにしてキレイなスープに。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「香りいいね。」

エソだしに合わせるのは、糸魚川で生産されている地鶏のうまみを凝縮した〝鶏白湯スープ〟。
どんなラーメンを作るのでしょうか。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「娘鶏麺(ニャンチーメン)というラーメン。女性に食べてもらいたいのを意識しながら、鶏のコラーゲンだったりとか。そういうのもあっていいでしょ、女性に向けたラーメンというのもね。」

トッピングのテーマは「秋」。味付けタマゴは桜のチップと紅茶の茶葉・ザラメで燻製(くんせい)にして、スモーキーな香りをプラス。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「秋になると昔はみんなでたき火したじゃないですか。そのときのにおい(の思い出)があるんですよね。燻製(くんせい)は秋ってイメージが私にあって。」

トッピングのチャーシューは、炭火で焼いた鶏肉とカモ肉の2種類。カモ肉の下には、中国の伝統料理「大根モチ」を敷きます。
さらに、こちらは何でしょうか。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「これはね、キンモクセイ。もうジャムになっているんですけど、さらにキンモクセイのお酒の香りをつけようと思って。」

ラーメンの具材としてはあまり見かけない食材を次々と使って、新たな味を模索します。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「ばっちり、いい香りしています。食べたことのない味は自分も食べてみたい。実験もかねて、楽しいでしょ見たことないの。」

構想から約1カ月かけて、お店の新メニューが完成しました。

その名も「娘鶏麺(ニャンチーメン)」。
スープは、エソだしと濃厚な鶏白湯のWスープ。トッピングには、キノコソースやキンモクセイのソースを添えて秋らしさを表現しました。

店を構えて23年目。新メニューの試食は何度経験してもワクワクします。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「エソだしがおいしい。(スープは)あっさりしているんだけど、ちゃんとコクもあるし。バッチリだ。」


まだ食べたことのない、新しい味を追求し続けることが月岡さんのラーメン哲学。

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「研究し続けて前に進まないとダメなんですよ、停滞は衰退ですから。常にその気持ちを忘れないでやっていかないと。悩みながらどうやったらいいかな?どうやったらおいしくなるかな?それはもう常につきまとっていますよね。悩むから上に上がれると思う。(食材を)合わせたときにわかることもあるし、難しいし、だからおもしろいんだろうね。」

独自のラーメンを研究し続けて、県内を代表する繁盛店へと成長させた月岡さん。

最後に気になっていたことを聞いてみました。
「なぜ2号店を出さないんですか?」

■麺屋あごすけ店主・月岡二幸さん
「あんまり興味がないかな。ここでラーメンを出して喜んでくれるお客さんを見たい。(お客さんに)笑顔になってもらいたいんですよね。笑顔だってことは幸せになるじゃないですか。そこで役に立てる、うちのラーメンでね。それが私の一番の願いなんですよね。そのためにやっているので。どうやったら笑顔になるか考えながら、新しいラーメンを作ったりチャレンジしています。それひとつだけですよ、笑顔だけ。」

上越市のラーメンの哲人、その挑戦はまだまだ続きます。
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