2025.11.20【特集】〝ケーキの美しさ〟の秘密は?おいしさと美しさを追及-ものづくりの町にあるケーキ店【新潟・燕市】
人気の秘密は-
燕市吉田に25年以上親しまれているケーキ店があります。〝おいしさ〟とともに〝ケーキの美しさ〟も追求するオーナーシェフの情熱にカメラが迫りました。
色とりどりのケーキの前で目を輝かせる子供たち。燕市吉田にある『パティスリー・アンジュ』です。フレッシュな素材を活かしたケーキの数々。季節をケーキで表現するオーナーシェフの長田孝宏さん。見た目の美しさと味は比例すると考えています。
■パティスリー・アンジュ 長田孝宏さん
「おいしそうな第一印象と、食べてもおいしいケーキが理想。」
ホテルでパンとお菓子作りを学び、1999年に25歳の若さで独立。妻の正子さんが接客と店づくりで長田さんを支えます。
■長田さんの妻・正子さん
「シェフは接客や人付き合いが苦手。私たちでフォローして、シェフがお菓子作りに集中できるように気をつかっている。」
26年前に夫婦でスタートしたお店。スタッフは15人に増えました。
夜-
閉店からしばらくして、厨房(ちゅうぼう)に明かりがともりました。チョコレートケーキの表面に粉やほこりが付着しないように、空気が落ち着く夜を待って一人で仕上げます。新作のケーキ作りも夜か定休日がほとんどです。
こうして生まれたのが、季節限定のチョコレートケーキ『グランショコラ』。カカオ分80%のビターチョコレートムース・木いちごのコンポートサフランを使った滑らかなクリーム、そしてダックワーズショコラチョコレートに酸味やクリーミーさが合わさり、複雑で豊かな味わいが口いっぱいに広がります。
こうした新しい味に出会いたいと多くの人たちが訪れます。こちらの親子は、クリスマスケーキの予約に来店しました。
■高校3年生
「来年から関東に進学する。家族で過ごす最後のクリスマスになるので、特別にクリスマスケーキを買いに来た。」
物心ついたころから、家族との大切な時間はアンジュのケーキと一緒だったといいます。こちらは、長男のバースデーケーキを買いに来た4人家族。赤ちゃん連れの親子のお目当ては、ご褒美ケーキです。
■来店客
「よく来ます。月に2回くらい、種類が豊富で味がおいしいです。」
■来店客
「アンジュでケーキを選んでお家で食べた。」
■長田さんの妻・正子さん
「うれしいこととか、お祝い事、自分へのご褒美、達成感があったときに来るお客さんが多い。皆さん幸せをまとってほっこりした感じ。私たちも幸せな気持ちになります。」
断面の美しさと直線的なフォルム。ここにも〝秘密〟がありました。
厨房(ちゅうぼう)の奥に置かれた金属加工に使うような機械。正確に美しくケーキをカットする『シェフカット』と呼ばれるフランス製の機械です。
凍らせた生地をセットします。あらかじめ入力したデータを読み出すと、ケーキを正確に繊細にカットしていきます。
よく見ると…ノズルの先から勢いよく水が出ているのがわかります。価格はなんと3300万円。2024年、県内ではじめて導入しました。
あっという間にツリー型にカットされました。手作業ではまねできない完璧な仕上がりです。
これまでケーキのカットを一切従業員に任せなかった長田さん。機械の導入で、美しさを保ちながら自分の時間を増やせると考えたのです。
発想が豊かになり、新しいアイデアが生まれるきっかけにもなりました。
■パティスリー・アンジュ 長田孝宏さん
「いまのレベルの中ではやれる事はやっているつもり。この仕事は一生勉強だと思うので、心から納得のいくものにはたどり着かない。」
■長田さんの妻・正子さん
「4年後の30周年を目標に進化を続けたい。」
眠っているときも、夢のなかでお菓子を作っていると笑います。