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2026.03.20【特集】100年以上の歴史誇る 上越市「高田世界館」の大改修に密着【新潟】

【特集】100年以上の歴史誇る 上越市「高田世界館」の大改修に密着【新潟】
建物は国の登録有形文化財に指定『高田世界館』
上越市に国内有数の歴史を誇る映画館があります。文化財としても貴重な建物を後世につなごうと行われた大規模な改修工事に密着しました。

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上越市の『高田世界館』。
雁木(がんぎ)の入り口で、古い映写機が出迎えてくれます。明治時代に建てられた建物は国の登録有形文化財に指定され、いまも当時の趣が残されています。

■上野迪音支配人
「こちらが映写室です。」

案内してくれたのは、支配人の上野迪音(うえのみちなり)さん。『NPO法人 街なか映画館再生委員会』に所属し、2014年から高田世界館の運営に携わっています。

■上野迪音支配人
「1950年代の映写機が2台格納されている。いまでも現役で使われている映写機。デジタルの時代なので使う頻度は少なくなっているが、全国の映画館でフィルム映写機が減っていて貴重な設備。」

このフジセントラル映写機を手掛けたメーカーの母体は、かつて国内で軍用機を製造していたといい、精密な装置や鋳造(ちゅうぞう)技術に定評がありました。

■上野迪音支配人
「油が入っているので、たまに回してあげないといけない。電気系統(の損傷)はどうにもならないので専門の業者を呼ぶ。」

現在、高田世界館の上映はデジタル作品が中心ですが、定期的にフィルム作品も上映されています。時が止まったような空間でノスタルジーを感じられる一方、見過ごすことができない問題も・・・。

■上野迪音支配人
「今回の工事は100年が経つなかで、あちこちにほころびが生じている箇所がある。例えばこのような柱にひびが生じていたところも直す。」


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明治44年、高田世界館の前身にあたる芝居小屋『高田座』が誕生しました。その後、映画館に姿を変え115年。修復を繰り返しながら、県内外の多くのファンを魅了してきました。

2026年1月、市の補助金と支援金を活用し、約10年ぶりとなる大規模な改修工事が決まりました。

■上野迪音支配人
「高田の街は、かなり光るものがある。この街並みを守りたい思いがある。こうした空間で映画が見られるのは特権であると思うし、とても誇れること。」


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■作業員
「いま照らしているところの下の衣摺(きず)りは、2~3mm浮いている状態。」

改修のポイントになったのが、ホールにある天井装飾です。

■上野迪音支配人
「高田世界館のシンボル。お客さんも映画を見に来るときは、見上げて写真を撮るのがセットになっている。」

江戸時代、高田藩を治めていた榊原家の家紋が施されている〝天井装飾〟。長い歴史のなかで修復された記録はありません。

天井装飾の修復を担当するのは、工学院大学の田村雅紀教授です。

■工学院大学 田村雅紀教授
「漆喰(しっくい)の白い部分の天井は、文化財や昔の建物で非常に多く使われている。その部分をどうやって残すか。ひび割れ箇所を特定する。どの部分がはがれ落ちそうか分かる。」

一緒に作業する岡健太郎助教は大学の教え子で、2人とも漆喰(しっくい)のエキスパートです。

■職業能力開発総合大学校 岡健太郎助教
「これは、かなりひび割れとしては太い。2mmは建築物だとかなり幅が太い。一番ひどいそこのひび割れは、下から光を当てると上に(光が)漏れる。漏れた光を使って、ひび割れの位置を上にトレースする。そこを基準に何ミリの位置にひびがあると判断する。」

天井裏に上がってみると・・・。

■工学院大学 田村雅紀教授
「いま漆喰(しっくい)を落ちにくくするために、下の漆喰(しっくい)を新たに練り込ませた樹脂を付けて、表面の木と木の間に山をつくって落ちないようにしている。(材質を)新しいものに替えたらいいという話ではない。文化財の指定があると材料を残さなければいけない。その形をうまく残すためにどう保守・補強したらいいか。いままでにない(技術的な)考えを組み込むところがあった。」


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高田世界館の隣にある喫茶店。
経営者の大久保喜和(きわ)さんは、世界館の大ファン。店は『世界ノトナリ』と名付けました。築100年の古民家を改装し、2018年のオープン以来 ファンの憩いの場となっています。

■世界ノトナリ 大久保喜和代表
「(Q.オープンしたきっかけは?)一択。高田世界館が大好きだから。(高田世界館に)自分の指定席があるので、そこが空いていないとがっかりする。残してほしい〝高田の宝〟。」


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2月末、改修工事が完了し、約50日ぶりの営業です。細かいひびは残っているものの、天井や柱は輝きを取り戻しました。

天井装飾は、隙間を埋めたりひもで吊るすなどして落下しないよう強度を高めました。

■常連客(上越市民)
「(休館中は)寂しかった。一度もその間、ほかの映画は見なかった。ここでしか(映画を)見ないので。この雰囲気が落ち着く。」

■常連客(富山県から)
「上野支配人の(作品)選択が自分に合っている。戦争の映画とか、どちらかというと重い映画。だんだん足しげく通うようになった。」

喫茶店を営む大久保さんの姿も。

■世界ノトナリ 大久保喜和代表
「うれしい。感無量。(高田世界館は)癒やしです。」

■上野迪音支配人
「やっと(お客さんが)戻ってきた。(高田世界館は)手のかかる存在。『もう嫌だ』と思うこともあるが、皆さんが大事にしてくれているので私がきちんとしないと回らない。プレッシャーはあるが、大事にしていける体制をつくっていければ。」


令和の大改修を終えた『高田世界館』。
地域の宝を後世に残していきます。
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