2026.04.09【特集】トラブル乗り越え3月にオープン「おかゆスタンド」古い空き家をリノベ【新潟】
新潟市中央区花町にオープンした『米草堂』
新潟市の中心部の古町エリアに3月、県産米のおかゆを提供する新しい店がオープンしました。古い空き店舗をリノベーションして新しい事業を立ち上げる注目の取り組みを取材しました。
新潟市中央区花町(はなちょう)。古町の玄関口ともいえるこのエリアに、3月新しいお店がオープンしました。
名前は『米草堂(こめそうどう)』。
提供するのは、県産コシヒカリと鶏だしを使ったおかゆをベースに、様々な国の料理にヒントを得て考案した「クラフト粥」です。
■お客さん
「(おかゆは)風邪ひいたときに食べるイメージがあったが、どんなときにも食べやすい印象。」
■お客さん
「おいしかったです。種類が何個かあるのもいい。」
■米草堂 荻野高弘さん
「『おかゆで世界を柔らかくする』というコンセプトで、一般的に思うおかゆより幅広いおかゆになる。トマトのおかゆや今日はパラグアイのおかゆ、幅広いおかゆが伝わるといい。」
店を営むのは、新潟市出身の荻野高弘(おぎのたかひろ)さんと妻・はるかさん。もともとこの場所は使われなくなった〝空き店舗〟でした。
■米草堂 荻野高弘さん
「この経験は挑戦しないとできない。」
きっかけは、遊休不動産を活用して新規事業を考える新潟市主催の『リノベーションスクール』。東京の企業に勤務しながら、新潟でリモートワークをしていた荻野さんも参加していました。
■米草堂 荻野高弘さん
「全然事業をするつもりはなく友達を作りに行ったってところが多い。そこから考えているうちにエンジンがかかってきた。」
出会ったのは、築100年以上が経過し数年前に閉業した理容室。近くで働く人や住民をターゲットに健康面も考えて『おかゆスタンド』を始めることにしました。スクールで出会った仲間の力も借りながら、はるかさんとともに資金計画からメニュー作りまで様々な準備を進め、2025年3月に運営会社として「ニモウサク株式会社」を設立。2025年夏ごろのオープンを予定していました。
しかし・・・
「カウンターはできた。」「いや、できていないよ。」
2025年10月―
建物のなかは未完成のまま。
■米草堂 荻野高弘さん
「工事がストップしている。いま新しい施工業者を見つけている真っ最中ですね。」
業者とのトラブルで内装工事などがストップ。オープンを延期せざるを得ませんでした。
■米草堂 荻野高弘さん
「本当に早く営業したくて、売り上げがないことが一番心配。そこはひりひりしている。助走期間だと思って、助走期間が長い方が高く飛べるんじゃないかというところもあるので、そんな思いで取り組んでいる。」
雨漏りを解決するための屋根瓦の工事。歴史的建造物を活用する事業を対象にした市の補助金を活用しました。
■米草堂 荻野高弘さん
「使える瓦は使っていこうという方針でやっていて。古い建物、120年くらいの建物だと時代の積み重ねみたいなところもあると思うので、そこがむしろ魅力につながる部分。」
飲食店の営業許可は得ていたため、11月から2カ月ほど工事中の現場で夜営業『工事現bar』を企画。週に1回、おかゆと酒を提供し多くの人が訪れてくれました。
■米草堂 荻野高弘さん
「おもしろがってくれる人や、そういうつながりができたのは自分たちの励みになった。」
理容室だった1階はオープンキッチンと飲食のスペースに。
■米草堂 荻野高弘さん
「ここ鏡だった。かなり通りが見えるような形になり周りからも見えるので『なんだこの建物は』というか、おかゆ屋さんなのでおかゆを食べる風景を染みていくといいな。」
カウンターは稲の色、壁はコメの色を意識。もともとあった素材も生かしてリノベーションしました。
■米草堂 荻野高弘さん
「他がきれいになると味わい深く見えてくるなと思って、これもなんか味だなと思って。また次の何十年になるか分からないですけど、次の時代に残していきたい。」
2階はシェアオフィスとショールーム。〝同じ釜の飯を食う〟新たなつながりを生み出す空間をイメージしています。
■米草堂 荻野高弘さん
「下でにぎやかだなというのを感じながら、上でまた仕事をしている人もいれば何かを販売している人もいるみたいな。そういう関係でできるといいなと思って。」
助走期間に、新しい事業も立ち上げました。
■妻・はるかさん
「コメを感じるバイオマスプラスチック。」
妻のはるかさんが県内に生産拠点を持つバイオマスレジンマーケティング。プロダクトデザインなどを行う『Konel(コネル)』と協力し、新しいバイオマスプラスチックの開発を始めました。
その名も『2KoMe(ニコメ)』。
コメに加え、もみ殻も使った新しい素材です。
■妻・はるかさん
「よく見るともみ殻が埋まっていて、つるっとした工業的な素材というよりは手触りを感じられるような素材。あえてプラスチックらしさを求めるのではなく〝コメらしさ〟を求めている。」
もみ殻の割合によって、見た目の違う3種類を展開。製品化を目指しています。開発に関わった2社は、ともに米草堂の開業準備の過程で得たつながりです。
■株式会社Konel 湯浅祐佳さん
「新しい素材を開発するという大変さと、一筋じゃいかない開発がすごくおもしろかった。」
■妻・はるかさん
「2KoMeも米草堂がなかったら生まれていない。不思議なつながりだなと思って楽しんでいます。」
3月12日のプレオープンには、新潟市の中原市長も出席。
■新潟市 中原八一市長
「さっぱりしておいしいです。最後にサバの味が伝わってきます。」
リノベーションスクールの事業化第1号として期待されています。
■新潟市 中原八一市長
「風情があったり歴史があったりというエリアに新たに着目して、発展していく可能性を秘めているところが新潟市としても今後の将来にかけるおもしろい試み。」
■米草堂 荻野高弘さん
「エリア全体で盛り上げるからこそ、敷地に価値が出てくる。そういう教えがリノベーションスクールにはあったと思っている。泥臭く泥臭くやっている私たちの姿を見て自分もやってみようかなとか、あいつがやっているなら自分もやってみようかなとそんな風に思ってくれる人がいたら幸せ。」
オープン以降、ランチ営業で訪れる客は20人ほど。オペレーションを強化して、更なる集客を狙います。
■米草堂 荻野高弘さん
「一番最初に盛り上がりのピークというよりは、徐々にお客さんと育てていけるような場所になればいい。おかゆもどんどんアップデートしていきたい。みんなで育てていく場所にスタッフも含めてできるといい。」