2026.04.16【特集】74歳ピアニスト 老いて輝く『ボランティア』時々『介護』の日々【新潟】
親の介護とボランティア活動を両立する男性ピアニスト
人生100年時代に向けて、老後をいかに有意義に過ごすかが課題です。新潟市で、親の介護とボランティア活動を両立する74歳の老いて輝く男性ピアニストを取材しました。
音楽の生演奏を楽しめるお店『木もれ日の店 よっ家(ち)』。男性が電子ピアノでBGMを奏でています。
新潟市に住む若林修さん(74歳)。ギターを持った男性が転職で大阪に旅立つ2時間前にやってきました。若林さんも演奏に加わります。ギターのコードを見てキーを確認。聞いたことがある曲ならどうにか演奏できるといいます。
■転職で大阪に旅立つ男性
「いつも素晴らしい演奏をしてもらい感動。今日もばっちりでした。」
■ピアニスト 若林修さん(74)
「全部は正確にできないが、ある程度予測してやっている。」
次に合わせるのは、ブルース好きなmurajiiさん。murajiiさんと演奏したことで、自分勝手に演奏せず相手に合わせる大切さを学びました。
若林さんが本格的にピアノを始めたのは54歳のころ。ジャズバンドに誘われたのがきっかけでした。誰からも教わらず独学で覚えたといいます。演奏代などの報酬は一切受け取っていません。音楽好きや高齢者が集う憩いの場を続けてもらいたいという思いで、店主を支えています。
■よっ家店主 渡辺芳子さん
「(メニューが)すべて500円はいまどきおかしいと思うけれど、うちはこれが当たり前。」
利益が出ない状況を見かねた常連客を中心に、皿洗いや後片付けなど手分けして協力しているといいます。若林さんは2025年、建設コンサルタントの会社を退職。いまは年金暮らしです。3人の娘を育て、6人目の孫がもうすぐ生まれます。
しかし、還暦を過ぎたころから大病との闘いが待っていました。膀胱(ぼうこう)がんなど3度の大きな手術を経験。家族や周りの支えもあって乗り切ってこられたといいます。
■ピアニスト 若林修さん(74)
「酒をやめようと病室で決めた。それから飲んでいない。本当は飲みたい。」
禁酒したのは、義理の両親のためでもあります。月に一度、介護のため金沢市に向かいます。介護の合間に、義父のたっての願いを聞いて居酒屋に連れていきます。
■若林さんの義父
「98歳。」
■常連客
「98歳すごいね。」
普段は、デイサービスの利用やヘルパーの支援を受けながら95歳の奥さんと2人で暮らしていますが、通院の付き添いや買い出し、そして家の片付けなど1週間ほど若林さん夫婦が同居して世話をしています。焼酎のお湯割りとノンアルコールビールでカンパイです。
■ピアニスト 若林修さん(74)
「月に1回来たときに、人のいるところに連れていくと気持ちもよくなる。奥歯が痛いはず。明日9時に歯医者を予約してある。」
片道300kmを超える運転は体にこたえますが、本人が希望しない施設には入れたくないと世話を続けています。そのかいもあってか要介護度が改善しました。
■ピアニスト 若林修さん(74)
「要介護3だった。いまは健康な方向にランクが上がって、要介護2になった。すごいですよ。(98歳になって)回復している。」
若林さんがリーダーを務める『やすらぎジャズバンド』。
「新潟ジャズストリート」などのイベントを中心に活動していますが、2025年秋から本格的にボランティア活動を始めました。新潟市のボランティアバンクに登録。依頼があった高齢者施設などで演奏活動を行います。新潟市では、高齢者を中心に800人を超えるボランティアが登録しています。
■新潟市生涯学習センター 籠島結実子さん
「自分の好きなことを地域の方に演奏とか指導とかを通してお伝えして、それが喜ばれるのが皆さんうれしくて、こちらからの依頼も快く引き受けてくれる。」
若林さんは、ボランティアをしたいという自分の気持ちにうそ偽りはないか、3年間自問自答を繰り返したといいます。
■ピアニスト 若林修さん(74)
「金沢市の義父母と一緒、そうしたい。誰かのためにしてあげるではない、私がしたい。自分を正直に認めてあげよう、そう思って始めているのが音楽とかボランティア。」
バンドのメンバーが集まりました。高齢者施設で演奏する昭和歌謡のレパートリーを増やすためです。
■ボーカル 大ちゃん(70代)
「これから10年間、何をやろうか考えていたときだった。いままで見たことのない世界に挑戦してみたいと思った。」
■ボーカル タミー(60代)
「父母が生きていたら演奏を聴かせてやりたかった。」
■マンドリン あっちゃん(60代)
「楽しそうに聴いてもらえるので、ボランティアはうれしい。」
■ドラム トミー(70代)
「この年になったらいつどうなるかわからないので、好きな音楽をやれたら幸せ。」
■ピアニスト 若林修さん(74)
「こんなにも人に喜んでもらうことが、自分たちにもうれしいということを身をもって皆が感じた。(ボランティア活動を)またやろう、またやろうになっています。」
老いて輝く『ボランティア』、時々『介護』の日々が続きます。