2026.06.26【特集】人口2人の集落をまるごと楽しむ「一村貸し」の宿【新潟・糸魚川市】
糸魚川市の中心から約20km「市野々集落」
山あいの集落に滞在し、その自然と暮らしを体験してもらう『一村貸し』というスタイルの宿が糸魚川市にあります。小さな集落の魅力を伝える新しい試みです。
糸魚川市の中心から約20km。標高約400mの山あいにある市野々(いちのの)。通年で暮らすのは、1世帯2人という小さな集落です。2026年1月、築200年を超える古民家を活用した宿『堂道(どうみち)』がオープンしました。
宿を営む永田伊吹さん。東京の設計事務所で働いていましたが、仕事で縁があった糸魚川市に地域おこし協力隊として移住しました。
■「堂道」を営む 永田伊吹さん
「市野々集落に初めて出会ったのが2年半くらい前。集落の方が一生懸命この集落を未来に残そうという活動をされてきたことがきっかけで、いまもここに田んぼが残っていたり、この美しい景色が保たれていると聞いて、より一層何かここでできないかという思いが強くなって。」
2025年4月のプレオープンからこれまでに約80組が宿泊。年齢層はさまざまですが、県外からの客が大半です。この日は、神奈川県に住む宮澤さん夫妻が訪れました。
■「堂道」を営む 永田伊吹さん
「見上げるとかやぶきの屋根が見えるような建物になっておりまして。」
8年ほど空き家だった古民家を、そのたたずまいの良さを残しながら半年かけて改修しました。
■夫・春彦さん
「あまりこういうところに来たことがないので、これから3日間非常に楽しみ。」
『堂道』の魅力は、古民家の外にも広がります。永田さんは市野々の集落全体を〝宿〟と捉え、ひとつの村をまるごと楽しむ『一村貸し』という滞在スタイルを提供しています。
■「堂道」を営む 永田伊吹さん
「ちょうどここから見ると段々になっているのが見えてきれいなんですよ。」
季節ごとに変わる風景や受け継がれてきた暮らしぶりを永田さんは伝えます。
■「堂道」を営む 永田伊吹さん
「ここ僕の好きな景色があって。糸魚川で酒蔵は5つあって、そのうちの1つがここの湧き水を使って造っています。」
夫の定年退職を機に全国を旅しているという宮澤さん夫妻。ネットで見かけた『一村貸し』という言葉にひかれました。
■夫・春彦さん
「『一村貸し』という言葉自体が意味が分からないじゃないですか。ホームページとかを見ておもしろそうだと思って。」
夕食の準備。永田さんも協力して宿泊客自ら作ります。
■夫・春彦さん
「(Q.旅先で料理というのは?)キャンプ行ったときくらい。不思議な体験。」
野菜もコメも地元産にこだわっています。コメを炊くのは、さきほどの湧き水。
■「堂道」を営む 永田伊吹さん
「囲炉裏で焼いたりとか湧き水を使った調理は、来てやっていただく方がより味わい深いものになるんじゃないかなって。集落の方が普段からやっているのを追体験していただいている。」
完成しました。
ごはんの味は-
■宮澤さん夫妻
「粒が立っています。」
■「堂道」を営む 永田伊吹さん
「おコメも日本酒も水に恵まれたエリアだからこそ味わえるものが、ここにずらっと並んでいる。」
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かつては40戸近くの民家があった市野々。2人だけとなった住民の1人が齊藤義昭さん(85)です。80年以上、うつろいを見守ってきました。
■齊藤義昭さん
「心の底からふるさとだと思って。このふるさとをなくしたくない。」
集落から人が去り、成り行きに任せるしかないと思っていたときに永田さんと出会いました。
■齊藤義昭さん
「通年で住まなくても伝燈(永田さんの会社)にどんどん人を連れてきてもらって、泊まってもらってこの堂道を利用してもらえばちょっと伸びないか、残せないかという気持ちで協力したいと考えている。」
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翌日は、みそ造り体験。
教えるのは、糸魚川で70年以上続く渡辺麹店です。
■宮澤さん夫妻
「(Q.力いりますか?)いります。全然つぶれない。(Q.まずどんな料理に使いたい?)まずはみそ汁です。野菜焼いてつけてもおいしいかもしれない。」
■渡辺麹店 渡邉友望さん
「半年後に自宅にお届けする際に『こういうことあったな』と思い出すきっかけにもなればいいと思う。」
集落の暮らしを味わう『一村貸し』。市野々の自然が訪れる人を癒やします。
■宮澤さん夫妻
「今回は非常に青がきれいで良かったが、別の顔も見てみたい。のんびり過ごすことができて良かったです。普段の生活を忘れた。」
■「堂道」を営む 永田伊吹さん
「一番最初に集落に来たときにきれいだなと思った景色には人の意思があって、その意思がこの風景をつないできたというところに感動した。(一村貸しが)こちらに住んでいなくても、一度訪れた方がいろいろと関わる方法のきっかけになったらいいなと思っている。」