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2026.07.02【特集】妙高市で進む大型リゾート建設「キャパがない」不安抱える住民の本音【新潟】

【特集】妙高市で進む大型リゾート建設「キャパがない」不安抱える住民の本音【新潟】
杉野沢地区の宿 40年前は約130軒→現在約20軒(鴨井さんによると)
妙高市で進む大型リゾート開発は、いよいよ4月からホテル建設の仮設工事が始まりました。経済効果を期待する地元関係者や行政は急ピッチで準備を進めます。

一方で、町の変化を不安視する住民もいます。開発をめぐるさまざまな声を取材しました。


■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「100%山の湧き水で作っているコメ。高温の夏でも湧き水なのですごく冷たい。すごくコメにやさしいのではないかなと。」

鴨井茂人さん。開発が進む妙高市・杉野沢地区の区長です。民宿を営みながら、コメ作りにも力を入れています。杉野沢のコメは2025年から『月からのおくりもの』というブランドで売り出しています。

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「観光米として来た客がお土産として買ってくれるようになるのが一番いいよね。それが一番広まるのに早い。」

妙高市の杉ノ原スキー場を舞台に進む〝リゾート開発〟。シンガポールを拠点とする外資系ファンド『ペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)』が10年で約2000億円とも言われる巨費を投じ、世界的なマウンテンリゾートを目指す一大プロジェクトです。

■PCG ケン・チャンCEO
「この信越地区をひとつの魅力的な地域として、国内も海外も客がどんどん来ていただきたい。」

仮設工事が始まった杉ノ原スキー場。第一弾として建設するのは、イギリスのホテル大手『IHG』が展開する高級リゾートブランド『シックスセンシズ妙高』。地上7階・地下1階、スイートを含めた全57室と分譲型のレジデンスも設けます。

2028~2029年のウィンターシーズンに第一期の開業を予定。ホテルの備品や食材は、半径160km圏内の地域資源を活用する方針です。

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「ホテルが開業したあかつきには『このコメを出したい』という話はもう来ています。(外国人は)意外に塩おにぎりが好きなんですね。」

地元をPRする絶好の機会。しかし、区長として大きな悩みもあります。

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「自分の家の周りの家がどんどん人がいなくなっていく部分は地域の人たちもよく言うが、不安は隠せない。」


4月上旬-
住民に対し、PCGや妙高市が完全非公開で説明会を開きました。

■基本的には賛成 地元住民
「安全にかつ迅速にやりたいと思うという説明だった。地元民が現状を維持、もしくはそれ以上。それ以下になったら絶対にね・・・。」

■基本的には賛成 地元住民
「外国人や移住者など、そういう人たちが地域に対してどのような影響が出るかが私は心配。」

開発が公になって以来、土地や空き家を求める問い合わせが殺到。金額も跳ね上がり、住んでいる家を売りに出す住民も少なくありません。

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「この開発は、我々にとって賛成なのか反対なのかと言うと本当に50-50。いい部分と悪い部分がはっきりしている。」

開業予定は2年半後。不安の声もある一方で動きは加速しています。県は6月、事業者や自治体との連携をスムーズに進めるため新たな組織を立ち上げました。

■花角英世知事
「事業者側の着手やスピードがもう少し後かなと考えていたが、かなり早い段階で動き始めている。急いでやった方がいいねと。」

鴨井さんは-

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「まず地域のみなさんが納得してスタートを切っている状態ではない。そのなかで若干、行政・市・県が足踏みが速いかなという部分は感じている。」

6月に開かれた第2回リゾート開発・活性化協議会。事業者や行政からは、二次交通の充実や観光コンテンツの醸成に向けた方向性が説明されました。

一方、地元からはそのスピード感に違和感を訴える声も・・・。

■妙高ツーリズムマネジメント 中嶋正文会長
「コンテンツづくりも大事だと思うが、やはり我々の地域で安心安全に客を迎える上で一緒になって問題を解決しないと、せっかくいいものができても客に迷惑がかかったり、地元の住民がかなり大変な思いをしているのが現状です。」

違法駐車や騒音・タクシーやライドシェアの人材確保など、地域が向き合うことになる課題をぶつけます。

■妙高市の担当者
「プラスの面とマイナスの面、両方の問題をきちっと把握した上で、来年度にそのための対策を予算化・事業化すべく検討している。」

地元自治体はこの開発をどう受け止めているのか。
妙高市のトップは-

■妙高市 城戸陽二市長
「ビッグニュースで地域経済からしても起爆剤だと率直に思っている。経済を少しでも維持・発展させるためには、ほかの力が必要だと思う。インバウンドに頼るところは大きい。」


6月20日-
市の職員が住民の意見を聞くとして、区長の鴨井さんのもとを訪れました。

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「事業・リゾート開発において、杉野沢のメリットって何ですか?」

■市の担当者
「言葉に詰まっていますね…。」

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「まずそれがないと、たぶんこのプロジェクトは全然うまくいかないと思いますよ。地元との温度差がありすぎて。」

鴨井さんによると、40年ほど前に約130軒あった杉野沢地区の宿は、いまは約20軒だといいます。

■市の担当者
「いままで日本人の観光客も減ってきているなかで、新たな客層が生まれてくるのはひとつ・・・。」

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「それで杉野沢へのメリットって何?これ以上入らない(宿の)キャパがない。観光客が増えようがない、キャパがないところに客だけ来ても・・・。」

■市の担当者
「新たな人口流入というか観光業に携わる人や農業など、そういう人が増えてくれる方向に持っていければメリットになってくる。」

鴨井さんの心にあるのは、地元で暮らし続けたいという住民の思いです。

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「地元は興味の範囲で動けない。地域が無くなる可能性がある。去年・一昨年くらいまでは2カ月に1軒の割合でいなくなっていた。それがこの4月に一気に5軒減った。あくまで犠牲になっているのは、杉野沢地区だということを頭に入れてほしい。」

妙高市は全庁横断のチームを立ち上げて、地元住民が過ごしやすい環境づくりや制度設計に向けて動いています。『開発』と『暮らし』の共存に向けて模索が続きます。

■妙高市 城戸陽二市長
「私たち(行政側)もそういう世界は初めてだし、当然住民も初めてなところもある。妙高からすると大きな分岐点にもなろうかと思うので、そこは全庁的に何ができるのか考えないといけない。」

■杉野沢地区の区長 鴨井茂人さん
「地域住民が納得する形で開発が進むといいなと。この地で一生過ごすと思っている人にとってみると、すごく環境が変わる。そのなかでいままで通りの生活を作れる、やっていける体制づくりを区でしていかないといけない。」
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