地域の伝統つなぐ天神講菓子
越後平野の中央に位置する燕市。
職人の町として知られ金属洋食器の生産量は
断トツの国内シェア9割を誇ります。
「カラン カラン カラン、パンパン」
そんな燕市で古くから続くのが、
学問の神様・菅原道真をまつる風習、天神講。
命日の2月25日にお供えするのは、色鮮やかなお菓子です。
県内30市町村をめぐる、「チカポンの探県日和」。
今回は燕市を訪ねました。
お菓子を求めてうかがったのは、創業90年を越える老舗菓子店。
チカポン「あ、ありましたよ、例のもの、こちら。天神様のお菓子。見てください、これ。とってもかわいいですね」
2月になると燕市内の菓子店に並ぶ、砂糖菓子や生菓子などの天神講菓子。
一体どんな目的で作られるのでしょうか。
更科裕子さん(白根屋)「菅原道真公をおまつりして読み書き、そろばんが上達するようにお供え物を供えて願ったんだと思います」
チカポン「へー」
中でも歴史が古いのがカラフルな粉菓子。
作業中の工房へお邪魔すると、更科さんがあるものを見せてくれました。
更科さん「ちょっといいですか、ごめんなさい」
チカポン「こんなにいっぱいあるの?」
更科さん「創業当時からあるもの。これがないと天神講のお菓子も作れなかった」
粉菓子作りに欠かせない木型。
店ごとに代々受け継がれる木型を使っているため、
同じ天神様でも店によって形は様々。
ひとつひとつ手作りで伝統を守っています。
チカポン「せーの、ポン」
吉川範子さん(白根屋)「はい、もっともっと」
製造担当・吉川さんの指導のもと、私も粉菓子作りに挑戦。
チカポン「おいしくなーれー!」
落雁と白あんを詰め込み、型からはずします。
吉川さん「落ちました」
チカポン「できました!いぇーい」
細部までくっきりと浮かび上がった天神様。
一日乾燥させたら、食紅をつけたブラシで色を付けていきます。
吉川さん「はい、じゃあ、見てみましょう」
チカポン「オープン!」
吉川さん「あ、いいですね」
チカポン「鮮やかな紫色に仕上がりました」
さぁ、ここからが腕の見せ所。
大事なお顔は、慎重に筆で描いていきます。
日ごろ、絵日記で鍛えた筆さばきの結果がこちら!
更科さん「いいじゃないですか、凛々しい眉で。とても素敵です。イケメン!」
チカポン「やはり、ひとつひとつ手作業なので思いも入りますよね。絵ももともと好きだったのでとても楽しかったです」
更科さん「よかったです」
更科さん「流行り廃りに惑わされないように、今まで先代がやってきたことを淡々と続けていく事が大事なのかなと思います」
そんな作り手の思いがこもった天神講菓子を求め、
この時期、多くのお客さんが店に訪れます。
地元の常連客にお願いして、家で飾るところを見せてもらいました。
チカポン「お邪魔しまーす」
全国各地に残る天神講の風習。
天神様の掛け軸の前にお菓子をお供えするのは燕市ならではです。
本間ヨキさん「孫が小さい頃はノートを持ってきて置いていた。字が上手になって頭がよくなるといういわれで」
本間さん「それぞれ自分たちの行きたい学校へいけたから良かったんじゃないですかね」
チカポン「すばらしい!」
チカポン「昔からある伝統を今でも途絶えないように引き継ごうとしている思いはすごくかっこいいじゃないですか。それに触れられたこともとてもうれしかったですし、早く食べたいなと思いました」
チカポン「まだ食べていないんですよ、私。作ってたけど」
白根屋
燕市秋葉町3-8-6
0256-62-2635