深刻化する地場産業の担い手不足。
働き手の高齢化が進み、年々耕作放棄地が増える農業。
そして宿泊業は今、人手不足に悩んでいます。
新潟の経済を支える産業で起こる担い手不足。
渦中の現場を訪ねました。
三条市下田地域。渓流沿いにたたずむお宿「嵐渓荘」。
創業は昭和2年。
木造3階建ての本館は国の有形文化財に登録されています。
老舗旅館が抱える悩み、それが慢性的な人手不足。
コロナ禍でも人員削減はしなかったものの、定年退職などで従業員が1割減少。
採用活動に力を入れますが、思うように求職者が現れない状況。
現在、従業員の平均年齢は49歳。
ベテランの働きに支えられています。
たとえ予約制限をしてでも、サービスの質を落とさないことが嵐渓荘の誇りです。
続いて、高齢化が特に深刻な農業。
その解消のため奮闘する人物を追いました。
燕市 吉田本町(もとまち)。
ここで米ときゅうりの栽培をしている一軒の農家があります。
「ひうら農場」の代表、樋浦幸彦さん。
ひうら農場は、鎌倉時代からおよそ800年も続く歴史ある農家。
昔からの美しい田園風景が残る燕市でも
農業従事者の高齢化が進み、深刻な問題となっています。
年齢別の割合を見てみると
2010年、78%だった60代以上の割合は、
2020年には9割近くまで増加しています。
この地域の農業を守るため、20年以上前から
新規参入者を増やす試みをしてきたという幸彦さん。
そのひとつが、栽培している“もとまちきゅうり”のPRです。
新たに、もとまちきゅうりのブランドロゴを作り、
地元の飲食店とコラボメニューを開発するなどして知名度向上に努めました。
さらに、キュウリの収穫体験や小学校での講演活動を通じ
若者が農業と関わるきっかけを積極的に提供してきました。
いまだ種まきの状況ですが、ことし、新たな農業の担い手が現れました。
幸彦さんが頑張る姿を間近で見てきた長男の彦哉(げんや)さんです。
ひうら農場には後継者が誕生したものの
農業全体の担い手不足はまだまだ解消されていません。
樋浦さん親子のチャレンジはこれからも続きます。