近年、認知症高齢者が行方不明になるケースが増加。
ここ数年は過去最多を更新し続け、社会問題になっています。
そんな行方不明者の捜索に登場するのが「警察犬」。
人間の3千から6千倍(※諸説あります)ともいわれる嗅覚を使い対象者を探し当てます。
しかし、現場で立てるようになるには日々の訓練が欠かせません。
今回は、あまり知られていない警察犬の一日を覗きました。
現在、県内では13頭の警察犬が活躍しています。
実は警察犬には2種類あり、
県警が直接訓練する「直轄警察犬」が2頭。
民間の有志が委託を受けて育てる「嘱託警察犬」が11頭。
出動は年間100件ほどだといいます。
まずは県警が育てる「直轄警察犬」の訓練所にお邪魔しました。
西区小新西にある「新潟県警察学校」。
その一角に、設立から44年を迎える警察犬訓練所があります。
警察犬係の遠藤さんと吉田さん。
実は専任の担当者はこのお2人のみ。
警察犬が暮らす犬舎に案内してもらいました。
シェパード犬のイドゥナ号(11歳)
人間でいうと70歳ほどですがまだ現役。
そしてラブラドールレトリバーのディディ号(4歳)。
元気で甘えん坊な性格です。
午前8時、訓練開始。
担当者が「ふせ」や「待て」などの号令を出して従わせる「服従訓練」や
5種類の異なる臭いをかぎ分ける「臭気選別」。
足跡のにおいを辿って対象者を追跡する「足跡追及(そくせきついきゅう)」。など
現場を想定した様々な訓練を行います。
ベテラン警察犬のイドゥナ号はこれまで約460件の捜査に帯同。
引退後はこの場所で最後まで面倒をみます。
長年協力してくれたパートナーへの務めだと言います。
警察犬係長の遠藤さんは「我々のところに縁があって来てくれたからには、能力を高めてあげて、皆さんに貢献できるように頑張っていきたい」とおっしゃっていました。
続いては民間で育てる「嘱託警察犬」のもとへ。
長岡市宮内に嘱託警察犬のジョイ号(9歳)と飼い主の金井さんがいます。
県内では現在11頭が活動中の嘱託警察犬。
原則、飼い主が住んでいる警察署から要請を受け、
行方不明者の捜索など管内で起きた事件の捜査に協力します。
嘱託警察犬になるためには、県警が毎年実施する審査を通過する必要があります。
しかも、一度合格すればいいわけではなく、毎年更新しなければ続けられません。
そのため、日々の訓練は欠かせず、金井さんは自宅の庭を整備して訓練場にしました。
訓練方法はインターネットなどを使い独学で身に着けたといいます。
ジョイ号はこれまで、およそ20件の捜査に協力。
そのときは必ず金井さんも一緒に行きます。
警察犬は社会に貢献したいという思いのもと
犬と人とのたゆまぬ努力で成り立っていました。