2025/08/13
待ちに待った甲子園での戦いは、残念ながら勝つことはかなわなかった。
幸先よく先制点を1回の攻撃で上げる。
いける!
本調子には見えないが、雨木君はいつも通り ここぞ ではヒットを許さない。
4回に1対1と追いつかれるが、次の5回表の堤君の3本目のヒットで、
まだまだ中越に流れがあるように見えた。
怖いのは四球から崩れる事と思った。そして同じ回にエラーが出ること。
なぜか、同じ回に四球とエラーが重なると得点になるのが高校野球
5回裏、先頭打者を歩かせた。
絶対にエラーは許されない!
そんな事は分かってる!
そう全ての選手が思うからこその、何でもないエラー!
甲子園は絶対に許さない。
『負けるとしたら、こういう展開』
投手陣の制球力だけが、心配の種
本田監督もわかっていたはず。
捲土重来
監督!
甲子園の神様がほほ笑んでくれるまで、何度でも何度でもチャレンジしてください。
勝利の喜びは大きくなるばかりです。
この試合最後までベンチで采配する監督の
まなざし
が、澄んでいたことを忘れません。
2025/08/11
雨の影響で、順延になった。
準備期間が短くとも、長くとも、それは両チームにとって同じ条件。
ならば、しっかりとお互い準備を整えての試合こそ 望むところだ。
朝早くの試合や、ナイター
暑さ対策から様々な条件下での戦いを余儀なくされている中で、
あまりその事に心をかき乱されてはならないと。
大切なのは両チームにとって、同じ条件であることを忘れないことだ。
勝負の世界で、環境や条件に負けてしまい、
心乱れて実力を出し切れない事が多々見受けられる。
暑さは和らいでいるが、今度は雨に対する準備が、必要かもしれない。
雨対策は、暑さ対策に負けないくらい大切!
野手の選手諸君も守備につくときは、
濡れたボールで指先が滑らないように、
尻ポケットに乾いた砂を入れたり、ロージンバックを忍ばせたりを怠ってはならない。
千の準備 一の勝負
監督時代に大切にしていた心構えである。
2025/08/05
大学時代お世話になった野球部の先輩夫婦と
9年ぶりに長岡の花火大会を観に行った。
あまりの人の多さに、驚きと戸惑いを感じはしたが、
花火の迫力には今さらながら、圧倒された。
テーマ曲「Jupiter」が流れ、復興祈願花火「フェニックス」が打ち上げられると、
先輩が一言『涙が出るなぁ〜感動した!』と、暗がりの中でつぶやいた。
歌詞の中に
「夢を失うよりも悲しいことは自分を信じてあげられないこと。」
先輩だけでなく、多くの人々が、自分に言い聞かせるように聞いているはず!
何度も戦火で焼け野原になった長岡の歴史、そして中越地震…
その長岡で、中越高校も120年の歴史を重ねてきた。
抽選が決まってすぐに
東京で暮らす教え子から届いたLINEの言葉
積年の想いが、東京の絶対王者を倒す姿を観てみたい!
長岡の思いを乗せて歌いたい
『雪 深し…
いつの間にか覚えた校歌を
2025/08/01
本当に暑い夏が続いている。
かつて 甲子園に初出場して初戦負けのつらさを身にしみて感じたチームは、
2年後新潟大会を制覇し、リベンジの機会を早々に与えられた。
閉会式が終わった直後、個々のインタビューを受ける前に、控室に選手を集合させて言った。
『今日の優勝は、本当に嬉しいよな!
だけど、甲子園の1勝そして校歌を歌うことは、たぶん、この優勝の千倍うれしいはず!
喜ぶのは今日だけにして、明日から初戦の勝利に向けて取り組むぞ!
まだまだ進化を止めるな!』
現地に入ってからも、猛練習
個人ノックで、足腰がフラフラになっても、やめなかった。
連日の猛練習に音を上げる事なくついてきた選手たち。
絶対に勝つ
選手の目の色も変わっていった。
そして掴んだ甲子園での初勝利
校歌を歌いながら涙が止まらなかった。
先日、初の校歌を歌った代の選手たちと一杯やった。
「監督は、厳しかったけど、監督と野球できて良かったです!」
自分より頭が禿げ上がった教え子の言葉に、鼻の奥がじ〜んと痺れた。
ハイボールの大ジョッキで泣きそうな顔を隠して呑んだ。
2025/07/26
雨木君の渾身の低めに切れてワンバウンドしそうなスライダーを、
幾度となく受けてきた仲丸君がキャッチし、打者の背中にタッチアウト!
その瞬間に甲子園の扉は中越高校に開かれた。
お立ち台の上、本田監督は最後の質問
「甲子園ではどんな戦いを見せてくれますか?」に、
少し間をおいて答えた。
「甲子園は正直言って、沢山負けてきて、個人的には怖いところです。」から始まった。
甲子園で負けたことのない監督には、絶対に言うことができない。
本当に正直な言葉、いや言霊。
私には
甲子園で負けることによって得た素直な心と、
その上に立った1勝に対する強い信念を感じさせる言葉だった。
自分の心に正直になり、
自分(監督)の強さだけでなく、
弱さも選手に共有してもらってこその信頼関係なのだ。
それは、簡単なことではない。
たくましくなった選手たちが、手綱を離した監督に甲子園の勝利をプレゼントする。
なんだか甲子園が、益々楽しみになってきた。
本田監督には申し訳ないけど…。
2025/07/24
準決勝第1試合
中越高校対関根学園の戦いは、左右のエースが、継投した中越高校に軍配が上がった。
春の大会から、石山君の調子が上がらない中、孤軍奮闘してきた雨木君の左腕に初回から疲れが見える。
同じ中学、同じシニアチームそして2人で中越高校への進学を決めた。
切磋琢磨する中で、常に励まし合いながら…。
どちらかが調子を落とした時、バックアップして来た真の仲間。
遂に石山君が、万感の想いを胸にマウンドに上がった。
唸りを上げて、今までの借りを返す剛速球がミットを叩く!
148キロ 電光掲示板が復活の数字をたたき出す。
監督の、選手たちの信頼を取り戻すのに、言葉など何の意味もないと、彼はわかっている。
信頼に満ちた男たちの(監督や部長を含めた)
7年ぶりの甲子園への挑戦は決勝へと歩を進めた。
2025/07/22
ベスト8の激突は、意地と意地のぶつかり合い。
最後まで食らいつく。
まだ、勝負の行方は分からない。
積年の想い
去年の屈辱
這いつくばってでも、しがみついてでも
一歩も引かず、下を向かず、
灼熱のグラウンドで選手の魂と魂がぶつかり合う。
甘っちょろい感情や少しの生意気さも、これっぽっちのカッコつけも許してはくれない。
石にかじりつくようにして得た勝利の味は、
何ものにも代え難い最上級の味がする。
倒れても、踏まれても
その味を求めた戦いが
明日からまた続く。
勝ったチームも、負けたチームもだ!
2025/07/19
うだるような暑さの中、ベスト8をかけた戦いが始まった。
新潟明訓 対 村上桜ヶ丘の一戦は、共にプライドと意地をかけた 負けられない戦いだ。
負けること
世の中に出た時、負けた経験は何にも増して必要な経験だと思っている。
甲子園大会までを含めたら、全国のただ1校を除けば、全てのチームが負けて終わる。
高校野球とは、言い換えれば、負ける為にやっていると言えるのである。
だとしたら
負けに負けたらいけない!
負けの意味を問い、かみしめ、歯を食いしばって、新たなスタートを切る。
村上桜ヶ丘の選手諸君
負けに負けるな!
3年生は新たなステージで、1、2年生は来年に向けて
勝利を得れなかったために、得ることができる事が必ずあるはず。
私の財産は、負けに負けなかった事だと、ひそかに思っている。
2025/07/16
長きにわたり、新潟県の高校野球をけん引している強豪同士の戦い
この夏の戦いは、中越高校に軍配が上がった。
バーチャル高校野球の放送もあるけれど、やはり好カード、
開始の1時間30分前には、早くも長蛇の列ができた。
それにしても強烈な暑さだ。
甲子園の様に銀傘があれば…。
どんなに暑くとも、リアルの迫力と、野球場の緊迫した空気感を味わいたい。
高校野球ファンの心も熱いのである。
ふと、記者席のとなりの部屋をのぞくと、両校の前監督、
鈴木さん、大井さんが小さくなった背中を寄せるように、
一緒に試合を見つめておられた。
どんな話をされているのだろうか?
どんな思いで見つめておられるのか?
将来、この部屋で現監督が同じように仲良く
文理対中越戦を観ていてほしい。
地球温暖化も、野球人口減少も、その他の様々な変化に打ち勝って、
高校野球が続いてほしい。
二人の小さな背中が、そう言っているように思えた。
今年の夏の戦いは、中越の勝ちだった。
2025/07/11
第2シード 北越対加茂暁星の注目の一戦は、終盤まで手に汗握る試合となった。
同門(日体大)というだけでなく、合宿所で同じ部屋、同じベットの上下対決
同じ釜の飯を食って、切磋琢磨 鍛錬の日々
そんな間柄だからこそ、負けるわけには行かない。
下馬評や、秋春の戦績からしたら、北越の優位は動かない。
でも、どんなに特別に上手い選手がいなくても、秋春に結果が出ていなくとも、
甲子園を目指した夏の大会だけは、毎日積み上げてきた鍛錬の日々が、
強豪にもひるまない力を勇気を与えてくれる。
3年生を中心に今年も必ず素晴らしいチームを作れる。
押切監督は、その事をよく知っているのだ。
北越も、昨年までとは違って、粘り強く1点、また1点と、相手投手からひねり出すように奪っていく。
綺麗に取れなくてもしぶとく、しぶとく。
甲子園をたぐり寄せるには、この粘り強さがどうしても必要だ。
押切監督の、とびっきりのエールを受けて小島監督の甲子園への挑戦が始まった。
二人の監督を包むように一瞬さわやかな風が吹き抜けた。
2025/07/10
開会式が終わり、いよいよ甲子園を目指した熾烈な戦いが幕を上げた。
好試合が期待された、糸魚川対関根、文理対開志の
2試合はいずれも僅差の勝利で関根と文理が勝った。
大会の序盤にこうした僅差の勝利をあげたチームは、強い。
勝負強さと落ち着き
せった試合がくれるごほうびは大きいのだ。
今、目の前で繰り広げられている新向南商(連合チーム)対敬和学園の試合も1点をあらそう好試合となっている。
この連合チームの主将を務め捕手をやる山口くんは、小学生の頃からよく知っている近所の子。
連合チームの難しい舵取りをしながら、好きな野球を続けて来た。
甲子園への道は確かに遠いかもしれない。
この試合ですら勝てるかどうか?
でも
この試合が彼を成長させてくれることは間違いない。
仕事をし、家族を愛し、やがて父親となる。
『あきらめずに、最後まで頑張れ! 食らいついていけ! 大丈夫お前ならできる』
そんな言葉を、かけてあげられる優しい父親に
5回の表を終わって2対2
スタンドで応援する両親と変わらぬ気持ちで、試合を見つめる自分がいた。
2025/07/07
長く現場にいて、選手との関り方、話の聞き方が随分と変わってきたように思う。
若いころは、選手が話しかけてきてくれても、高校野球界の固定観念や、
先入観に元ずくアドバイスしかできなかったように思う。
50歳位からは、選手の言葉を聴き理解することが、出来るようになった。
相槌、復唱、要約をしながら文字通り親身になって相談に乗れるようになった。
最近は、さらに、聴くことから、傾聴できるようになってきたように思う。
『態度、表情、しぐさ』などから言葉にならない “ことば” を聴けるようになった。
年寄りの大きな武器は、こうした相手軸で話を聴きアドバイスできる余裕があることのように思うのだが…。
大会を前にして、選手は大きな不安と、葛藤の中にいる。
指導者の(部長や第三顧問も)一言一言が、大きな意味を持つ日々が続く。
夏は総力戦なのである。
2025/07/03
『いいから、やれ‼』
長岡商業高校野球部の応援スタンドに掲げられる大断幕である。
応援のメッセージとしては、いささか場違いな感があるが、
当時監督であった佐藤忠行監督(現 開志学園高校女子野球部 監督)に、
由縁を尋ねると部員3人+マネジャー2人しかいない代の生徒たちが、
常に指導の中で私が言っていた言葉を、横断幕として残していったものだと教えてくれた。
コロナ禍で甲子園大会がない状況だけでなく、環境の変化や、社会の変化。
そんな野球を継続する意義を、見失ってしまいそうな中、
練習を継続し、いっさいの言い訳を排し、日々の練習に集中する。
くじけそうな心に届いた、強烈な一言
『いいから、やれ‼』
きっと最初は、冷たく響いたことだろう。
しかし、問答無用の練習が、彼らの体と心を鍛え上げていく。
きっと、やり切った選手の心には、爽やかな満足感と監督への信頼感が残ったのだろう。
それゆえの横断幕。
目標がなくなったとしても、目的を見失うことがない指導力に、拍手を送りたい。
各チームの横断幕
そこにも、選手と監督そして、チームを支える人たちの思いが込められている。
いつまでも変わらぬ心で選手たちを見守っているのだ。
2025/07/01
抽選会が終わって、今年も夏の大会が秒読みの段階となった。
選手だけでなく、保護者、OB、いや地域の日頃応援している人たちにとってもこの時期は、
ヒリヒリとした、まんじりともしない夜をおくることとなる。
監督のヒリヒリ感は、そうした関係者のヒリヒリ感とは比べ物にならない程強い。
どんなに平静を装っていても、ふとした沈黙の隙間に、
ヒリヒリとした空気となってにじみ出てしまうものだ。
笑顔と多弁も、
監督がヒリヒリ感から自身を守ろうとする常套手段であることを、
同じ経験を積み重ねてきた自分には、よく分かる。
勝ち負けじゃない負けから学ぶことが大切
解っている
そんなことはわかっているのだ!
でも…。
今日もまんじりともしないまま、秒読みの朝が来た。
監督の皆さん!そのヒリヒリ感を存分に味わってください。
いつか、ヒリヒリしたくとも出来ない日が来ます。
心から皆さんを応援しています。