2025.06.12【特集|UX単独インタビュー】残り任期1年 花角県政の現在地-花角知事に聞く<前編>【新潟】
前編:人口減少、子育て政策、若者の流出について
2026年6月9日の任期満了まで1年を切った花角知事が、UXの単独インタビューに応じました。県政が抱える課題にこれまでどう向き合い、今後はどのような道筋を示すのか。2回にわたってインタビューの模様をお伝えします。
【前編:政策編】
人口減少問題を中心に聞きました。
2018年。前任者の不祥事で空席となった知事の座に名乗りを上げたのが、国土交通省の官僚だった花角英世さんでした。
■花角英世さん(2018年当時)
「新潟に戻ってきた。これから新しいチャレンジをするぞ。」
「この『新潟県民丸』という船を、前に進めなければならない。かじ取り役、船長の役を任せていただけないでしょうか。」
元官僚として『国とのパイプ』をアピールした花角さん。自民・公明の支援を受けて、野党系候補に競り勝ち〝戦後10人目の公選知事〟に就任しました。
前回の知事選は大差で再選し、2期目も終盤に差しかかった今、『新潟県民丸』はどのような地点にいるのか。
そして、どこへ進めようとしているのかを聞きました。
■岡拓哉アナウンサー
「2018年当初は財政難からのスタートでしたね。」
■花角英世知事
「就任の前までは分からなかったことであり、就任して県政の状況を色々と確認していく中でこれは大変だと。」
県債残高は、年間の歳入額を大きく超える約2兆3300億円(2023年度末)。徐々に減らしていますが、2023年から県債の発行に国の許可が必要となっています。
■花角英世知事
「職員の給与カット、給与だけじゃなくてボーナスも含めて年収ベースでカットした。関係の業界への補助金なども見直し、色んな政策を見直して影響を受けた方々もいたと思うが、皆さんの協力で何とかめどがついたという状況。ただ、今でも色んな投資事業にはキャップ(制限)がかかっている。借金をこれ以上増やせない。」
―<人口減少について>――
■岡拓哉アナウンサー
「そんな中で全国的な傾向でもあるが、人口減少は本当に大きな問題だったと実感していると思いますが。」
■花角英世知事
「『だった』という過去形ではない。今まさにその渦中にある。新潟県で生まれた子どもが1万人を切ってしまった、昨年。」
■岡拓哉アナウンサー
「最新の数字が現状207万人。人口がどんどん減っていくと、新潟県への影響がどんなところに出てきますか?」
■花角英世知事
「縮んでいく社会。至るところにその影響が出てくる。現状でも例えば“医療”、それから“交通”。バスや鉄道といった公共交通を維持するのが難しくなっている。さらに教育も小・中・高、統廃合がどんどん進めざるを得ない。」
病院の統廃合や高校の再編など整理を進める一方、力を入れてきたのは-
■花角英世知事
「子育てしやすい環境、子育てに優しい環境づくりということを、ずっと政策の課題『重要課題』に掲げてきたつもり。今年度の予算で市町村への支援の交付金を作った『放課後児童クラブ』。」
県が、今年度の予算で目玉に掲げた『放課後児童クラブ』への補助。運営する市町村の事業を支援します。
新潟市中央区にある『沼垂ひまわりクラブ』。市立沼垂小学校に通う児童のうち、約170人が利用していて増加傾向にあるといいます。補助について聞きました。
■保護者
「上の子を預けていた時よりも金額が下がったので、すごく助かっている。」
■保護者
「すごく助かっているとは思います。」
評判は上々ですが、物価高のなかこんな声も-
■保護者
「学校でかかる費用がもっと負担が減ればいい。」
さらに-
■保護者
「小学校よりも下の学年の遊ぶ場所はいっぱいあるが、小学生になると児童館とか安心してどの天気でも遊べる場所は少ないかなと思う。」
―<子育て政策について>――
■岡拓哉アナウンサー
「子育て環境の県民満足度が『どちらかといえば子育てしやすい』という人も含めて45%。評価は?」
■花角英世知事
「主観的な満足度が、もう少し上げていきたいと思う。」
■岡拓哉アナウンサー
「目標が70%。ここに達するためには、またさらにというのは?」
■花角英世知事
「色んな経済的支援やサービスの充実、次々と手を打っていきたい。」
―<若者の流出について>――
人口減少が止まらない新潟県で、特に深刻なのが〝若者の県外流出〟です。なぜ、若者は県外を目指すのか。5月に新潟市内で開かれた『就職フェア』を訪ねました。
県内企業が出展した催しですが、参加者からは「まだ迷っているとの声」も-
■大学3年生
「県内・県外決められてないんですけど、これから色んなイベントに行って決めたい。」
■大学3年生
「関東か県内という感じ。」
理由を尋ねると-
■大学3年生
「県外の方が発展している地域があったり、新しい店などいっぱいあったりして魅力的な部分がある。」
■大学3年生
「新潟に残った方がいいのかなと思いつつも、挑戦したい自分もいるので迷っている。東京の方が選択肢が多いので。」
■花角英世知事
「就職ですよね。こちらは非常になかなか改善していくのは難しい、時間がかかる。(県内企業には)自社の働く環境の良さなど、仕事の魅力みたいなものを伝えていく。その努力をやってほしい。それを県としても関係機関と一緒に応援していく、支援していきたい。そうすることで、新潟で働くことを選択してもらえる。」
県が今年つくった将来ビジョン『県総合計画』では、人口が減るなかでも成長力のある社会づくりを掲げた花角知事。
―<展望について>――
最後に展望を聞きました。
■岡拓哉アナウンサー
「新潟の強み、どんな強みを今後生かしていきたいですか?」
■花角英世知事
「新潟は様々な可能性など、いいもの・豊かさがあると思いますよね。人を引きつける魅力という意味でも、経済的な産業の力という意味でもたくさんの潜在可能性はあると思っている。伸びようとする、大きくしようとする力を、背中を押すことで走ってもらいたい。」