2025.12.22【柏崎刈羽原発】県議会で関連予算案を可決で知事を「信任」再稼働に「同意」:閉会後の知事・与野党・市民は【新潟】
閉会後、記者団の取材に応じた知事は
『原発再稼働を受け入れる』新潟県としての判断が正式に示されました。県議会は22日、柏崎刈羽原発再稼働に関する補正予算などを賛成多数で可決。これにより花角知事が示した再稼働容認の判断を県として認めることになりました。
知事は、23日にも経済産業大臣と面会し、再稼働容認を正式に報告します。
■岡拓哉アナウンサー
「県議会開会1時間前です。傍聴の特別受付が設けられ、すでに50人以上が列を作ってそのときを待っています。原発再稼働、そして知事の信任へ、県議会での最後の論戦です。」
午後1時、本会議が始まりました。
県は、12月議会に原発の安全対策に関する広報費用など3142万円の補正予算案を提出。この採決をもって知事の判断への賛否を問うとしてきました。自民党などが提出した知事を信任する付帯決議案とあわせて、県としての再稼働に対する結論が出されます。
採決に先立ち、野党系会派などは県民意思の確認を県議会に委ねた知事の手法を批判しました。
■未来にいがた 大渕健県議
「(知事が)自ら表明してきた『信を問う』このことについて公約違反であります。信を問うことについて言葉を弄(ろう)して議会に擬装したやり方は、知事がいずれの判断を下そうとも判断以前の問題であり、到底県民の納得や理解を得られるものではないと考えます。」
■リベラル新潟 小泉勝県議
「6カ月後の県知事選挙あるいは県民投票によって再稼働の是非を決め、真に県民の信を得るべきであります。花角県政は岐路に立っています。民意を尊重するのか、政治的シナリオに従うのか。」
そして、採決-
■議長
「賛成の諸君の起立を求めます。起立多数、寄って本案は可決されました。」
賛成34、反対16(欠席2)で可決されました。
知事を信任する付帯決議については-
■自民党 髙橋直揮県議
「花角知事は職を賭す覚悟を示したうえで、県議会に意思の確認を行ったものと理解しております。県知事職を続けていくことの是非については〝是〟。すなわち県知事の職務を続け、今後のかじ取りを担っていくべきという意味で〝是〟という意思を表明するものであります。」
■無所属 馬場秀幸県議
「(県民は)原発の再稼働が自分たちの気持ちから離れて、政治家に決められてしまうということを懸念していました。そういう状況の下で知事は『県民に信を問う』という言葉を発しました。県民に対する背信行為であり、政治に対する信頼を地におとしめた。」
■議長
「賛成の諸君の起立を求めます。起立多数、寄って本案は可決いたしました。」
■傍聴人
「県民生活もこれで終わりだよ!」
「裏切り者!」
閉会後、記者団の取材に応じた知事は-
■花角英世知事
「(Q.『信任された』ということでいい?)はい。そう思っている。できるだけ早く経産大臣に会って、いただいていた(再稼働の)理解要請の返事をしたいと思う。併せて返事をする前の前提として、(国への要望の)7つの項目をしっかり確認したい。」
再稼働をめぐる議論が終わり、いま思うことは-
■花角英世知事
「最終的にこの結論に至ったという意味で、感想的に言えばずいぶん時間がかかったという感情を持っている。」
『県民の信を問う』と述べながら、自民党が過半数を占める県議会に自身の判断をゆだねた理由は-
■花角英世知事
「(Q.当初から県議会で『信を問う』ことを考えていた?)真の問い方にも色々あるとは思っていた。そもそも私はくり返し県議会で言ってきたのは『県民の意思を確認する』ということ。本当に決めていなかったが、ここに至るところで決断した。」
「(Q.『県民の分断を避けたい』と言ってきたが避けられた?)そういう方法を選んだつもり。」
野党は来年の『知事選』で対抗馬を立てる意向に傾いていますが、3期目に挑むのか。
■花角英世知事
「(Q.来年の知事選への意向は?)それはまた、今後考える話。」
県民意識調査で賛否が分かれるなか、知事の信任を押し切った自民党は-
■自民党県連 岩村良一幹事長
「いま議会だけでなく非常に長い期間この問題に取り組んできて、熟議・議論が尽くされた結果と考えている。」
再稼働しても電力は首都圏へと送られます。
再稼働による地元の〝恩恵〟は?
■自民党県連 岩村良一幹事長
「とくに(電力)移出県としての新潟、これからも一都八県との交流や取り組みについても十分に注力する。県議会側も取り組みを応援していく。大いに期待している。」
閉会後、すぐさま自民党県議団の元を訪れた花角知事に次の戦いに向けたエールも。
■自民党県議団 帆苅謙治団長
「難儀な1年だったと思うが、来年はひとつゆっくりと・・・。しかしながら5月にも何かあるようですので、我々もしっかりとそれぞれの後援会をまとめて頑張ってまいります。」
■自民党県連 岩村良一幹事長
「私どもは知事に次の選挙にもぜひ出ていただきたい。出ていただけると信じて期待した上で取り組んでいきたい。」
一方、野党は-
■未来にいがた 大渕健代表
「多勢に無勢で権力を持っている側の知事と、最大会派数を持っている側の議会が結託をして結論をもって進めてきたこと。非常に無力感を感じている。」
■リベラル新潟 小泉勝幹事長
「もう決まってるわけじゃないですか、最終日待たずしても。もうシナリオが出来上がっている。いま我々の思いと県民の怒りと思いを、ボルテージものすごく上がっているところをこれで終わりにできないと思う。」
来年の知事選については-
■未来にいがた 大渕健代表
「今後については様々、考えていかなくてはならない。」
■リベラル新潟 小泉勝幹事長
「我々と同じ気持ちを持った知事を誕生させなければいけない。原発はもう残念ながら止められないんだけど、新潟県をよくするためには知事を変えなければいけないんじゃないかという思いはある。」
傍聴席の市民は-
■傍聴していた市民
「やはり知事は非常に不誠実な態度を県議会にかけて、どんどんその姿勢を強くして大変その点について怒り。」
■傍聴していた市民
「県民としては、それ(可決)は認められないと思います。みんなで話し合ってこの日本のエネルギー問題をどうしていくのか、民主的な方法で考えていってもらいたい。」
東京電力・新潟本社の柿澤代表は-
■東京電力新潟本社 柿澤幸彦新代表
「県民の代表である新潟県議会において知事の判断について議論が尽くされ、知事の信任が決議されたことについて厳粛に受け止めている。今後のことについては、今後しっかり決めてまいりたいと考えてございます。」
知事は23日に上京し、赤沢経済産業大臣に再稼働容認を回答します。関係者によりますと、東京電力は24日にも6号機の使用前確認を原子力規制委員会に申請し、2026年1月20日前後の再稼働を目指しています。