2026.08.26【特集】「身寄りのない高齢者」孤独の先は 国が支援強化へ【新潟】
身寄りのない高齢者を取り巻く環境を取材
特集は『身寄りのない高齢者』についてです。
65歳以上の一人暮らしの方の数は、2000年には約300万人でしたが、2025年には約815万人、そして2030年代後半には約1000万人を超えると予測されています。戸籍上の親族がいない方はもちろんですが、家族や親族がいても様々な事情で関わりを拒否され、社会から孤立するケースも少なくありません。
■岡拓哉アナウンサー
「身寄りがないことで、生活する上での不利益があるのでしょうか?」
■庭山陽平記者
「保証人になる人や緊急連絡先になる人がいないことで、アパートを借りられない、介護施設に入所できない、入院ができない。亡くなった後の火葬や納骨など、後じまいをやる人がいないなど問題は多岐にわたります。」
■岡拓哉アナウンサー
「家族のやってきた役割を誰が担うのかが問題になっているということですね。」
■庭山陽平記者
「こうした中、国として身寄りのない高齢者への支援を強化していく動きもあります。今回、家族に代わり、入院や賃貸契約に必要な身元保証、死後の遺品整理などのサービスを提供する男性に密着し、身寄りのない高齢者を取り巻く環境を取材しました。」
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村上慶乃介さん(49)、新潟市で葬祭業を営んでいます。3年前に身寄りのない高齢者をサポートする事業を始めました。
■村上慶乃介さん
「ひとつは緊急時対応サービスという契約で、契約金が最初だけ1万1000円かかって、そのあとは毎月5500円がベースとしてかかってきます。」
提供するのは、家族の代わりとなるサービスです。緊急時の駆けつけや日常の見守り・葬儀や遺品整理を代行する死後事務のほか、介護施設などの入所に必要な『身元保証』を請け負っています。
見守りサービスでは、自宅にセンサーを設置して人の動きを確認します。
■村上慶乃介さん
「この紫の線がセンサーの前を何かが動いている信号。このグラフが止まってしまうと動いていないという判断になるわけですね。」
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■ケアマネジャー
「緊急時の対応がやっぱり緊急連絡先。そこが今ないので、そこをぜひお願いしたらどうなのかな。」
83歳の小島さん。親族はいますが、かかわりを拒否されています。
■小島さん(仮名・83)
「最近歩けなくなって体力が落ちてきた。余計に弱気になっちゃうもん。そこまで長く生きたいとは思わないですね、はっきり言ってね。」
サラリーマン時代は、大手総合商社に勤務。海外での仕事も経験しました。
■小島さん(仮名・83)
「人に比べて、はるかに前向きだろうなという若いころの自負はあったんですよね。」
■ケアマネジャー
「そういう人生を送ってきた中でいま一人になって。それじゃあ、うつのようになるよなと思いながら。」
■村上慶乃介さん
「1人でいるとね不安になりますよね、その気持ちはすごく分かりますね。」
緊急時の駆けつけと見守りの契約を結びました。
しかし・・・。
■村上慶乃介さん
「血中酸素の値がだいぶ危ないレベルになってしまって、それで救急搬送になったみたいですね。」
契約を結んでから半年-
誤嚥(ごえん)性肺炎で亡くなりました。
■村上慶乃介さん
「枯れるように亡くなったので、食べていなかったですね。」
■ケアマネジャー
「1カ月食べていなかったですもんね。」
■ケアマネジャー
「結局連絡って取れないんですかね、息子さん。」
■村上慶乃介さん
「ちょっと分からないですね。」
■ケアマネジャー
「電話出ないですかね。」
小島さんが過ごしていた、自宅です。
■村上慶乃介さん
「ここに食事広げて、お酒飲んで、ここ座ってテレビつけてっていう感じでしたね。」
生前、自宅の売却を希望していたため、村上さんが不動産業者と話し合いを進めていました。土地の買い手が見つかり、代金は息子に相続されます。
■村上慶乃介さん
「自分が出た後はきれいにしないと近所の人も困るし、相続する人も困るからちゃんときれいにしましょうという話をして動いたんですよ。」
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6月、身寄りのない高齢者への支援の強化を盛り込んだ改正社会福祉法などが成立しました。日常生活の金銭管理や入院・入所の手続き、死後事務などを公的に支援する新たな仕組みです。十分な資金がない人など条件を満たす人は、無料または低額で利用できます。
期待の一方で、高齢者の身寄り問題に詳しい研究者は、新たな制度が始まったあとも課題は残ると指摘します。
■日本総研シニアスペシャリスト 沢村香苗さん
「(法改正で)身寄りがないことが初めて。困る原因と定義されたことがすごい大きい。だが、定義されたという、まだその段階。有効な打ち手をみんなが打てないでいる方がすごく大きな課題だと思うので、今後は例えば何歳になったらお墓を決めましょうとか、何歳でどういう備えをすべきかみたいなことは、もう少し世の中的に国などが周知していった方がいいと思う。そうじゃないと、何を作っても結局住民が使わず終わってしまって状況が変わらないので。」
2028年6月までの新制度開始を目指す中、支援を最大限活用するための制度設計の具体化が急がれます。
■村上慶乃介さん
「1人で生きていくっていうのは、どうしても身寄りの部分で他の人に比べてハンディキャップがあるということも知ってもらわないといけないし、そのために自分自身、ある程度費用がかかるということも認識していかなければいけない。その両方を同時にやっていく必要があると思う。」