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2025.09.03【特集】ニーズ高まる〝極早生米〟『新潟135号』とは、年内に品種登録の申請へ【新潟】

【特集】ニーズ高まる〝極早生米〟『新潟135号』とは、年内に品種登録の申請へ【新潟】
8月中に収穫が可能な暑さに強い〝極早生〟品種の候補『新潟135号』
農業の大規模化に伴い、収穫が早い〝極早生〟と呼ばれる品種のニーズが高まっています。県は来年秋の本格販売を目指し、暑さに強い新たな品種を開発しています。

柏崎市にあるJAの直売所『愛菜館』。
販売されたのは、収穫が早い品種『葉月みのり』です。値段は5kgで4080円。去年に比べ1200円高く、過去最高に。

■購入者
「農家さんのことを考えたら、今までが安かったのかなという気持ちはあります。」

一方、こちらの店頭に並んだのは『五百川』。コシヒカリの突然変異で誕生した品種です。価格は5kgで約4300円、現在の需給バランスから去年より1割ほど高い値段設定になりました。

葉月みのり・五百川どちらも極早生の品種です。県産米の主な品種は『コシヒカリ』や収穫が遅い『新之助』、早生には『こしいぶき』や『ゆきん子舞』、その早生よりも収穫が早いのが〝極早生〟です。

県が今開発を進めているのが、8月中に収穫が可能な暑さに強い〝極早生〟の品種です。
その品種の候補が『新潟135号』。新潟県農業総合研究所・作物研究センターが2009年から人工交配して、多くの種類の中から1つに絞り込みました。県では、2026年産からの一般栽培と販売を予定していて、今年は農家の協力を得て県内13カ所に展示用の田んぼを設けています。

■専業農家 鈴木暁雄さん
「この苗が新潟135号の苗になる。」

25haの田んぼでコメを栽培する新潟市西蒲区の専業農家・鈴木暁雄さん(44)。今年初めて新潟135号の作付けを行いました。

■専業農家 鈴木暁雄さん
「ニュースで新潟県が新しい極早生の品種を作るというのを聞いて。県に問い合わせて栽培してみたいと聞いたら許可が出たので作ることになった。」

鈴木さんは、いち早く収穫できる極早生に魅力を感じたと話します。

■専業農家 鈴木暁雄さん
「みなさんにいち早く新米を食べて頂けるというのと、他の品種とあわせて作期が分散されるので、刈り取りの時期がずれる。」

県は、極早生の品種を開発する理由として、収穫時期の異なる品種を栽培して作業の分散や異常高温へのリスクの低減を図ることをあげています。

■県農産園芸課 瀧澤明洋参事
「異常気象への気象リスクへのヘッジと能力の分散という観点から、コシヒカリよりも早く刈れるタイプで高温耐性の品種のニーズの声を頂いていたので、そういう声には合致できる。」

5月に入り、鈴木さんの44aの田んぼで『新潟135号』の田植えが行われました。

■専業農家 鈴木暁雄さん
「順調に育っているので、あとはこのままスクスク育ってくれることを願っています。」

『新潟135号』の特徴は、8月中の収穫が可能で食味がこしいぶき並みであること。さらに、新之助並みに暑さに強く草丈が倒れにくいなど納得の評価を受けています。


6月、柏崎市ではコメ農家が集まり、極早生『葉月みのり』の指導会が開かれました。県やJAの担当者から、肥料をまくタイミングについて指導があったほか、新潟135号の紹介がありました。

■柏崎地域振興局担当者
「丈は短くて高温耐性があって作りやすい特徴があるので、『こしいぶき』や『ゆきん子舞』そういったところに変えて、早生でも品質が落ちないところで取り組んで頂ければ。」


柏崎市でコメを栽培するファーミングスタッフの安野広明さん。『新潟135号』はここまで順調に育っていて、今後はどの程度収量が取れるのか確認していきたいと話します。

■ファーミングスタッフ 安野広明さん
「高温がかなり例年続いているので、新しい品種で高温耐性をもった種を植えるというのはやっていかないといけない。」

柏崎地域では、葉月みのりの栽培が定着しています。
参加者に『新潟135号』の印象を聞いてみると―

■参加者
「データがあまり出ていないので、それが出てから。柏崎は葉月みのりという極早生品種もあるので。」
■参加者
「今、見た感じだと作りやすそう。ただ早植えに関して対応できるかどうか。」


鈴木さんの田んぼでも順調に育っていました。品質や収量次第で、来年度は既存の早生品種から一部を切り替えることにしています。

■専業農家 鈴木暁雄さん
「倒伏の心配がない。台風がきてもそんなに怖くない。」

しかし、県内は7月に入り連日記録的な暑さとなり、雨が降らない日も続きました。一部の地域では、稲が枯れる被害も発生しました。
黄金色に実った稲『新潟135号』の刈り取りが行われました。暑さに強い新潟135号。早くもその真価が問われる年となりました。

籾摺り(もみすり)した玄米を見た鈴木さんの反応は―

■専業農家 鈴木暁雄さん
「粒が大きくてしっかりしていていいですね。もう少し白いのが少ないのを期待していたが、今年の気象条件だと厳しいかもしれない。」


新潟市西蒲区、JA新潟かがやきの倉庫に並んだ新米のコメ袋。早生品種の『ゆきん子舞』や酒米の『五百万石』と共に、『新潟135号』の検査が行われました。検査員がサンプルを抜き取り、水分量や色・粒が整っているかなどを調べました。

■JA新潟かがやき経営管理委員会 遠藤一雄副会長
「他の地域に比べると用水には十分に水が来ていたので、高温のところだけ心配な部分があったが、玄米を見ると高温の影響は少なかったのではないか。」

この日の検査では、新潟135号はすべて一等米でした。今シーズンは、その他うるち米として販売される予定です。

■県農産園芸課 瀧澤明洋参事
「7月の気温が高くて渇水の状況、早生・極早生には厳しい環境だったが、今のところ稲姿や収穫の感触だとけっこういいのではという声を頂いている。」

気になる名称ですが―
年内には、国のほうに品種登録の申請を出す予定だということです。今後は、希望した農家に種を販売し、来年度は400ha程度の作付けを目指していきます。

■県農産園芸課 瀧澤明洋参事
「来年の今ごろは135号に新しい名前がついた。店頭でお買い求めになられる段取りを進めているところ。」
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