2025.10.17【特集】全焼したクリーニング店「親父越え目指し」再起へ、4代目の思い(三条市中心部の火災から5カ月)【新潟】
被害を受けた創業85年のクリーニング店・4代目の思い
2025年5月、三条市の飲食店街「本寺小路」で8棟が焼ける火事がありました。被害を受けた創業85年のクリーニング店が営業を再開。
継続を決めた店主の思いとは-
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「9月中旬くらいからやっと解体工事が始まりまして、ようやく少しずつ解体が進んできた状況。」
五十嵐大輔さん(51)。三条市の老舗クリーニング店『白洋舎(はくようしゃ)』の4代目です。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「だいぶ跡形もなく昔の状態が分からなくなっている。」
2025年5月-
三条市の飲食店街「本寺小路」で起きた火災。ビルの1階に入っていたバーから出火し、約16時間後に鎮火。白洋舎を含む5棟が全焼するなど、被害は8棟に及びました。
白洋舎では、クリーニングの機械などが焼け、被害額は約3000万円にのぼりました。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「中を見るとうなだれてしまう。焼け残った洋服もあるし、そういうのを見ると無念、悔しい。」
現場では、9月中旬から解体作業が進められています。
五十嵐さんは、同じ場所の再開は厳しいと判断しました。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「ここで商売して、地域の方々に元気な姿をもう一度見せたかった。」
それでも、店の再開を諦めることはありませんでした。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「『白洋舎さんがいないとクリーニングをどこに出したらいいか分からない』っていう言葉を(客から)聞くと、どうしてもやらないといけないと(思いが)湧いた。」
現場から2kmほど離れた場所に移転。
新たに中古や新品の機械を購入し、内装もリフォームしました。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「じつはこれ(カウンター)、お金がかからないように安いところで発注して全部自分で組み立てた。すごく(思いが)湧いてくるんですよ。『ここでお客さんが来たら、ああしよう こうしよう、こういうふうにお客さんと話をしよう』とか、それがいま楽しみ。」
機械やリフォームの費用には保険金を充てますが、土地の購入費用などに600万円ほどかかる見込みです。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「苦しいっていうか、借金をしないと再スタートが難しい。」
白洋舎の客は、約8割が集配を利用しています。他のクリーニング店を間借りして、火災から1週間後には集配を再開させました。この日も車で個人の客や会社を回ります。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「(客と)世間話をしたり孫の話をしたりとかして、結構楽しんで配達している。」
こちらの美容室も8年ほど付き合いがある常連です。
■常連客
「(Q.五十嵐さんの笑顔がいい?)笑顔がいい!」
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「そんなことない!褒めちゃダメだ。」
■常連客
「クリーンな笑顔が最高です。」
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「洗濯王子になれるようにがんばります。」
■常連客
「なかなか(店舗に)行けなくて、一人で営業しているのですごく助かります。またこうやって頑張っているからありがたい。」
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「この会話があっての仕事をもらえて、こっちが逆に元気になるっていうか本当に楽しい。」
9月中旬からは、新たな店舗で作業を始めました。
五十嵐さんの父親で、3代目の寿一さん(82)です。今回の移転をきっかけに、五十嵐さんから店を継ぐ意思を伝えられました。
■白洋舎3代目 五十嵐寿一さん
「いまのところはよかったんじゃないかなと私はそう思っています。お金のほうに困るかもしれないけど。頑張ってもらいたい、くれないと困る。」
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「親父から引き継いだこのクリーニング屋を守っていきたい。後生に受け継いでいきたい思いもありますね。早い話『親父越え』それを目指して頑張っていきたい。」
10月15日-
迎えた店舗のオープン日。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「うれしいですね、涙が出そう。やってよかったなって思いますね。(Q.まだ開店前ですが?)しんみりしちゃった。」
店内に飾られていたのは、火災前の「本寺小路」が描かれた絵。知人から贈られたそうです。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「(Q.飾った理由は?)本寺小路は、火事が多い場所なんですよ。火事の怖さを忘れないでほしいし、いつまでも発信者でいたいという思いがある。」
開店後、常連客らが駆けつけ再開を祝いました。
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「(店舗で仕事を)見せたい、どんどん見てもらって、仕事場も見てもらって、みんなにクリーニング業を知ってほしい気持ち。」
◆顧客(業者)
「そうですね、すてき すてき。」
「(火災で)どうなるのかなと心配してたけど、無事こうやって開店して大したものだなと。」
■大輔さんの同級生
「みんなが気軽に集まっておしゃべりしながら『持ってきたよ』なんて言えるアットホームな店になれば。」
■白洋舎4代目 五十嵐大輔さん
「(火災で)いろんな人から応援していただきましたし、恩は返していかないといけないと思っています。地域のためになるような店、みんなに愛されるクリーニング店を目指していきたい。」