2026.02.19【特集】自らの体験「いま生きているのは」骨髄バンク登録者増加へ 活動する女性の思い【新潟】
ドナー登録者を増やす活動をする新潟市・伊禮咲緒さん(34)
血液の病気で骨髄移植などが必要な患者のために、ドナーを募集して移植までの調整を行っているのが『骨髄バンク』です。現在、ドナーとして協力を名乗り出ている人は56万人います。
しかし、実際に移植を受けられるケースは、移植を待つ患者の5割ほどにとどまっています。ドナー登録者を増やそうと、懸命に活動する新潟市の女性を取材しました。
■伊禮咲緒さん
「献血にご協力お願いします。骨髄バンク登録会も行っております。」
新潟市の伊禮咲緒さん(34)。日本骨髄バンクの登録者を増やす活動をしています。気温は2.1℃、平日の日中ということもあり人通りもまばらです。
■伊禮咲緒さん
「寒いです。手袋持ってこればよかった。目をあわせてくれない人も多いので、声かけてもらえるとうれしい。」
白血病などの病気で血液を作り出す造血幹細胞の移植を待つ患者は、現在 国内外に1768人います。日本骨髄バンクは、こうした人たちのために造血幹細胞を提供するドナーを募集し、医療機関などと調整を行う唯一の公的機関です。
全国のドナー登録者は、56万5402人。一見 十分な人数が集まっているように見えますが、提供者と患者との白血球の型が合う確率は〝数百から数万分の1〟といわれ、希望する患者の5割程度しか移植を受けられていないのが実情です。
■伊禮咲緒さん
「これだけ医療が進歩しているのに、それでも助からないという方がいるのは危機的状況だと思っています。私が発信することで、そういう(登録の)きっかけになってくれれば。」
伊禮さんは、ドナー登録者を増やして移植が実現する確率を上げたいと考えています。その思いの背景には、自らの体験がありました。
■伊禮咲緒さん
「いま生きているのはドナーさんがいてくれたおかげしかない。ドナーを待っている患者さんはたくさんいるので、命をつなげられるように頑張りたい。」
15歳のとき、伊禮さんは血液の病気にかかりました。白血球などの血液成分が生産されない『再生不良性貧血』。病気のため、高校も中退しました。
■伊禮咲緒さん
「鼻血が止まらなくなって、意識がもうろうとした症状が急に出てきた。自分自身でもよくわからない。なにが起きているんだという受け入れられない自分がいましたね。」
2カ月後に退院し快方に向かっていましたが、19歳のとき症状が再燃。週に1回 輸血を受ける生活を送りました。
医師のすすめで骨髄バンクに患者として登録。21歳でドナーが見つかり、骨髄移植を受けました。現在 症状は落ち着いています。
■伊禮咲緒さん
「(提供受け)ずいぶんと前よりは楽に生活できるようになった実感はあった。命のバトンじゃないがつないでもらったので、いろいろな人の手助けになれば。」
20歳の男性が登録にやってきました。ドナー登録の条件は、健康状態が良好で年齢が18歳以上54歳以下であることなどです。
登録は、説明を聞いた後に窓口で2mLの採血を実施するだけ。15分ほどで終わりました。
■登録した男性(20)
「自分がもし適合できる患者がいるのであれば、その人の助けになるかなと。登録して適合する人が増えてほしい。」
■伊禮咲緒さん
「1人でも登録があったのでよかった。地道な活動なので、1人でも多くの方に登録していただければありがたいなという気持ちでやっている。」
登録後、白血球の型が一致する患者がみつかれば骨髄バンクから連絡がきます。1~2時間程度 検診などを受け、最終的な提供意思を確認。さらに健康診断を受け提供に至ります。
提供は腰の骨に針を刺し、赤血球などの基となる造血幹細胞を含んだ液体を採取する方法と、腕の血管から造血幹細胞を採取する方法の2つがあります。
ドナーに選ばれ提供するまでには平均2~4カ月ほど。4~7日の入院と複数回の通院が必要となります。
■伊禮咲緒さん
「(マッチしても)お仕事やいろいろな関係で都合がつかない方もいるので、たくさんの方に登録していただければ、それだけ提供できる方の割合も増えますので登録者が増えてくれれば。」
伊禮さんは、新潟市で鍼灸(しんきゅう)師をしています。この日施術を受けていたのは常連の50代女性。腎臓の難病で体に痛みがでるため、おきゅうで和らげます。
■50代女性
「施術していただいた後、かなり楽になる。毎回きてよかったなと思います。同じような病気をした人にしかわからないこともあるので心強い。」
骨髄の移植前、薬の影響で嘔吐(おうと)を繰り返していた伊禮さん。症状を改善するために、ほとんど毎日 鍼灸に通っていました。
■伊禮咲緒さん
「鍼灸を受けたら楽になったりすることが多かった。同じように何かで苦しんでいる人に、手を差し伸べられたらいいなと思って目指しました。そういった方の力になれると生きがいになっているなと思う。」
■伊禮咲緒さん
「こんにちは、よろしくお願いします。(Q.今日はどんな活動を?) 今日はZoomによる配信の講演会をしていこうと。若い世代に1人でも多くの人に『骨髄バンク』がどういうものだろうと、まずは知ってもらうことが大事。」
骨髄バンクには、課題があります。
ドナー登録している人の半分以上が40~50代。55歳になるとドナー卒業となるため、若い世代が登録しなければ移植ができない患者が増えてしまうかもしれません。
■伊禮咲緒さん
「新潟県がそれがとくに強く40~50代がかなり多いと。20~30代が提供することも多いので、ぜひ若い方に知っていただきたい。」
この日は、10代の専門学校生にオンラインで講演をしました。
■伊禮咲緒さん
「ドナーさんが提供してくれなければ私の人生なかったなと、感謝という言葉でしかあらわせない。患者さんのために、自分ができる範囲で何かできることないかなとちょっと考えてみていただけるとありがたい。」
学生たちは-
■専門学校生
「薬を服用しているので(登録)できないが、何かちがう形で(貢献)できたらなと。」
■専門学校生
「私の友達も(骨髄バンクを)全然知らないと思うので、いまInstagramやTikTokとかSNSで広げられれば。」
■伊禮咲緒さん
「身近に感じてもらえてうれしかった。自分の人生を誰かのために力になれたらと思っています。」
『骨髄バンク』に登録する際、これまでは献血ルームなどで採血をする必要がありましたが、綿棒を使って自分で口の中の検体を取って郵送する「スワブ登録」という方法が2026年1月から始まっています。こうした方法の普及で登録者が増えることが期待されます。