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2026.04.10【特集】行政と司法に食い違い「新潟水俣病」長期化裁判の行方は【新潟】

【特集】行政と司法に食い違い「新潟水俣病」長期化裁判の行方は【新潟】
食い違う『行政』と『司法』の判断
新潟水俣病の公式確認から2026年5月で61年となるなか、2026年3月に新潟地裁は原告8人全員を水俣病と認める判決を出しました。行政の判断を否定する結果に、国の基準に沿って認定審査を行った県と新潟市は困惑を隠しません。

一方、長期化する裁判に症状に苦しむ人たちはもどかしさを抱えています。

■新潟水俣病第5次訴訟 皆川栄一原告団長
「症状は治ることはないけど、だんだん強くなってきている。ひとつのことを長く考えると頭がボーッとしてくる。そういう症状がいまは一番つらい。」

新潟水俣病第5次訴訟の原告団長・皆川栄一さん(82歳)。現在も水俣病の症状と闘っています。

■新潟水俣病第5次訴訟 皆川栄一原告団長
「私の症状なんてただ外見から見ると何にも分からないような、手足は電気を発するようにビリビリしているしケガをしても痛みを感じない。」

1965年に公式確認された『新潟水俣病』。
旧昭和電工が阿賀野川にメチル水銀を含んだ工場排水を流し、汚染された魚介類を長期間たくさん食べた住民らが手足の感覚障害や神経症状に苦しめられました。皆川さんは阿賀野川のそばで生まれ育ち、川魚は貴重なおかずでした。

■新潟水俣病第5次訴訟 皆川栄一原告団長
「川魚はほとんど毎日、だってそれしかないんだから。たんぱく質をどこから取ったかというと、阿賀野川の魚しかなかったから。」

皆川さんが体に異変を感じ始めたのは、新潟水俣病が公式確認される前の1963年ごろでした。

■新潟水俣病第5次訴訟 皆川栄一原告団長
「手がしびれてきて頭のなかでセミが何十匹も鳴くような耳鳴りが出てきて、仕事に集中できなくなった。」

第5次訴訟は2024年4月、新潟地裁が先に審理を終えた原告47人のうち26人を水俣病と認定。皆川さんも水俣病と認められ、旧昭和電工に対して1人あたり400万円の支払いを命じましたが、国の責任は認めませんでした。

その後、両者は控訴し、現在も東京高裁で審理が続いています。

■新潟水俣病第5次訴訟 皆川栄一原告団長
「この先も(被害者が)出てくるかもしれないし、一日でも早く解決をして我々のような被害者の思いをさせないよう助けなくてはならない。」


皆川さんがそう願うなか、認定をめぐり新たな動きも-

新潟水俣病第2次行政訴訟。2026年3月12日、新潟地裁は県と新潟市に対し、原告8人全員を水俣病と認定するよう命じる判決を出しました。訴えたのは、阿賀野市や新潟市に住む60~90代の8人です。

原告らは、メチル水銀に汚染された魚などを多量に摂取し、水俣病の症状を発症したとして『認定審査会』に申請。しかし棄却され、2019年に提訴しました。

そもそも認定審査は、国の事務を自治体が代わりに行う『法定受託事務』であり、県と新潟市は国の基準に沿って水俣病かどうか判断しています。国の認定基準では、感覚障害や視野が狭くなるなど複数の症状がみられることが原則として必要である一方、2013年に最高裁は「感覚障害だけの水俣病が存在しないという科学的証拠はない」という判断を初めて示しました。

今回の判決について、弁護団は最高裁の判決を踏襲した形で県と新潟市の審査を「違法である」と判断したとみています。

判決を受け、国は-

■石原宏高環境大臣
「環境省としては新潟県および新潟市の対応を注視したい。(Q.県は国と相談して控訴するか検討したいとしているが?)環境省は訴訟の当事者ではないのでコメントは控えたい。」

この発言を受け、国の基準に沿って審査してきた新潟市の中原市長は苦言を呈しました。

■新潟市 中原八一市長
「ひとごとのような発言内容で我々の苦しい立場が分かっているのかという疑問が生じてしまい、極めて残念な思い。」

制度そのものへの疑問も-

■新潟市 中原八一市長
「私としては、今後どうするべきか・どう対応したらいいのかわからないのが正直なところ。(Q.国に基準の見直しを示してほしい考えか?)これまでも国に対しては認定基準を含めた抜本的な見直しをして、苦しむ方々を救済してほしいと要望していたので、最終的な結論はそういうことになろうかと思う。」

今回の判決を受けて、控訴の可否を検討するために環境省の特殊疾病対策室の森桂室長と面会。

■新潟市 中原八一市長
「法定受託事務は、内容について新潟市が勝手に変更できない解釈でよろしいでしょうか?」

■環境省特殊疾病対策室 森桂室長
「(自治体)独自というよりは全国でやっていくものとして基準を示している。」

国は、認定基準についてこれまでと同様見直しをしない方針です。県と新潟市は、行政訴訟の判決を不服として控訴しました。

■新潟県 花角英世知事
「国がこの事務の考え方を変えない限りどうしようもない。もしこの判決が確定してしまうと審査のしようがなくなってしまう。司法の判断を早く得たうえで国に再検討してもらいたい。」

■新潟市 中原八一市長
「7年がかりで訴えが認められた原告8名の方々に対しては、大変心苦しく断腸の思いでの決断。新たな認定基準が示されない限り、新たな被害者を救済できなくなる影響を考慮し、控訴せざるを得ないと判断した。」

新潟地裁の判決で水俣病と認められた原告8人のうち、すでに2人が亡くなっています。皆川さんが団長を務める第5次訴訟の原告も平均年齢は75歳を超え、これまでに39人が判決を待たずに亡くなっています。

■新潟水俣病第5次訴訟 皆川栄一原告団長
「こうして長引くと、一年に亡くなる人がいままで以上に出てくる気がする。原告皆さん一人一人がこれだけ闘って悩んできているのだから。」

食い違う『行政』と『司法』の判断…。
審査制度のはざまで平行線をたどる国と自治体。ただ、早期解決を願う被害者たちに時間はありません。
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