2025.12.18【特集】UX記者リポートで振り返る「事件・事故・火災」:シリーズ新潟2025④【新潟】
県内で起きた「事件・事故・火災」を振り返る
新潟の2025年を振り返るシリーズ企画。4回目は、警察担当記者のリポートを交えながら県内で起きた〝事件・事故・火災〟を振り返ります。
【聖籠町事件】
■白井希咲記者
「あちらが遺体が見つかったとみられる空き家です。現在も規制線が張られていて、警察による現場検証が続いています。」
■県警 阿部吉晴刑事部長(当時)
「令和6年12月16日、北蒲原郡聖籠町次第浜において死体が発見され、本日 新潟警察署刑事部長を長とする95人体制の捜査本部を設置しました。」
2024年12月―
聖籠町次第浜の空き家の敷地で土の中から、新潟市中央区に住む男性の遺体が見つかる事件が発生。死因は頸部(けいぶ)圧迫による窒息死で、警察は殺人・死体遺棄事件として捜査していました。
2カ月あまりが経過した2025年2月―
死体遺棄の疑いで逮捕・送検されたのは男性の知人で、住居不定・リフォーム業の小山大輔被告(34)でした。
新潟地検は、あわせて計4つの罪で小山被告を起訴。
①男性に対する殺人罪
②空き家の敷地に死体を遺棄した罪
③男性所有の金庫1台を奪った窃盗の罪
④銀行で男性の口座から280万円を2回に分けて引き出し不正に入金させた詐欺の罪
地検は、小山被告の認否を明らかにしていません。
取材を担当した庭山陽平記者は、事件の複雑性を語ります。
■この事件を取材 庭山陽平記者
「小山被告には4つもの罪があり、事件の全体像を把握するのがとても大変。一般市民の方が突然 命・財産を奪われ、そしてその遺体も遺棄されてしまうという非常に凶悪な事件だと感じました。なぜ事件が起こらなければいけなかったのか、引き続き取材していきたい。」
裁判員裁判に向けた第1回公判前整理手続きで起訴内容に争いはなく、裁判の争点は『被告の量刑』となることが明らかとなりました。公判は、年明け2026年1月20日から始まります。
【萬代橋への落書き事件】
少年による犯罪も起きました。
■入澤芽生記者
「萬代橋のうえですが、赤と白のインクでしょうか。文字のようなものが書かれています。」
3月―
国の重要文化財に指定されている『萬代橋』の広場で、縦1.1m×横4.1mもの落書きが見つかりました。
さらに、その3日後-
■入澤芽生記者
「萬代橋を歩いていると、欄干にイラストのようなものが書かれています。」
いずれも『25』と読める数字のようなものが書かれていました。
そして、最初の落書きの発見後から約1カ月後・・・逮捕されたのは、運転免許取得のために新潟に滞在していた神奈川県相模原市の当時19歳の男2人でした。
新潟地検は、文化財保護法違反などの疑いで男を新潟家庭裁判所に送致。その後、少年鑑別所に送る観護措置が決まりました。
しかし、11月に八千代橋で再び-
■柿木哲哉記者
「橋脚の一面に落書きがされています。こちら『clush』とローマ字にも見えます。」
新潟市中心部で悪質な落書き被害は相次いでいます。
【カセットコンロ用のガスボンベ爆発事故】
お盆休み真っ最中の商店街で、事故は突然起きました。
8月―
新潟市本町通りのショッピングセンターで起きた爆発事故。
■入澤芽生記者
「本町通りの商店街です。近くの人によると爆発音がしたということで、店のガラスが割れているのが分かります。」
爆発により、男性2人がケガをしました。原因は、テナントが使っていた卓上カセットコンロ用のガスボンベとみられています。
【ニセ警察詐欺】
県内の特殊詐欺の被害額は、11月末までに過去最悪の11億211万円に上ります。その多くが『警察官をかたる詐欺』です。
7月―
新潟市在住の60代男性の元にかかってきたのは『福岡中央警察署捜査二課の警察官』を名乗る男からの電話。
■ニセ警察官
「これ逮捕になるんですけど。」
■被害男性
「え!逮捕されるんですか。」
■ニセ警察官
「ええ。今回詐欺罪としての逮捕となります。捜査順位というのが振り分けられるんですよ、(ピー)さんの場合は187番目。」
■被害男性
「ずいぶん後のほうになるんですね。」
■ニセ警察官
「そうなんですよ」
『逮捕する』と脅し、さらに『優先捜査』を受けられるよう便宜を図ると話すニセ警察官。そうすることで身柄が拘束されないなどと語りました。
警察によると、この『優先捜査』などの見返りとして金を要求する詐欺が増えているといいます。もちろん『優先捜査』などというものは存在しません。
■県警 菅野麻由子安全安心推進室長
「このニセ警察詐欺は、若い世代の方を含め幅広い年代層の方がターゲットになり、被害が増えているものと思われます。1件あたりの被害もかなり増加していて、過去最悪の状況。」
警察は、知らない番号や海外からの着信には出ないよう呼びかけています。
【三条市本寺小路火災】
今年、県内では10月末までに去年より27件多い『465件』の火災が発生しています。
5月に三条市中心部の飲食店街『本寺小路』で起きた火災は16時間にわたり燃え続け、全焼5棟を含む8棟に被害が出ました。
■柿木哲哉記者
「あちらが火元となった雑居ビルですが、付近の建物を見てみますと密集しているということが分かります。建物と建物の間のスペースは、人1人が入れるかというぐらいになっています。」
■白洋舎 4代目・五十嵐大輔さん
「こちらが現場になります。9月の中旬くらいからやっと解体工事が始まりまして、ようやく少しずつ解体が進んできた状況。」
被害に遭った老舗クリーニング店『白洋舎(はくようしゃ)』の4代目・五十嵐大輔さん。五十嵐さんの店は火事で全焼、クリーニングの機械などが焼け、取り壊すことに。被害額は約3000万円にのぼりました。
しかし、店の再開は諦めませんでした。土地の購入費用など大きな負担もありましたが、5カ月後 もとの店から2kmほど離れた場所に新店舗を開きました。
■白洋舎 4代目・五十嵐大輔さん
「(客から)白洋舎さんがいないと、クリーニングをどこに出したらいいかわからないっていう言葉を聞くとどうしてもね、やらないといけないなと。」
開店当日には、なじみのお客さんも姿を見せました。
■常連の業者
「(火事被害で)心配していたが、無事開店できたのがたいしたもの。」
■白洋舎 4代目・五十嵐大輔さん
「地域のためになるような店、みんなに愛されるクリーニング店を目指していきたい。」
事件取材を担当する司法キャップ・柿木哲哉記者は、この1年を振りかえって-
■柿木哲哉記者
「今年はさまざまな現場に足を運びましたが、市民が突然 事件・事故に巻きこまれている姿を目の当たりにしてきました。なかには五十嵐さんのように、火事後に負担を抱えながら生活をしている人もいます。二度と同じ悲しみを繰り返さないためにも、今後も市民の方々に教訓を伝えさせていただきたい。」