2026.06.03【特集|シリーズ知事選】大勝の背景「我々の作戦勝ち」明確な争点なき選挙:検証①花角氏【新潟】
〝県民の信任〟を得たとする3期目で結果を出せるのか注目
現職の花角英世さんが次点に約32万票の差をつけて勝利した今回の『県知事選挙』。背景にあるのは、この選挙における〝争点〟です。陣営の戦略はどこにあったのか、花角さんの選挙戦を振り返ります。
55万4012票を獲得し、3選を果たした花角英世さん。2025年に柏崎刈羽原発の再稼働を認める決断をしてから、初めての県知事選挙で圧勝しました。
■花角英世氏
「(Q.柏崎刈羽原発の判断も今回の選挙で・・・)それも含めて取り組んできたこと、仕事の進め方も含めて評価いただきたいと申し上げてきて、合格点をいただいたと思っています。」
当初、花角知事の再稼働判断に対し有権者の関心が高まるか、知事選の大きなポイントとみられていました。
しかし―
■花角英世氏
「長年の県政の課題だった柏崎刈羽原発の再稼働問題も一つの区切りをつけた。色々な心配がある・不安がある・期待もある、その中で一つの結論を出した。」
花角さんは、避難路の整備など「今後の防災対策への取り組み」を述べるのみで積極的な言及は避けました。再稼働を認めた自身の判断を県議会に諮った手法について野党系の候補が批判を展開し、争点化を狙うなか、花角さんは演説の多くを『経済の活性化』に割きました。
5月17日 新潟市中央区―
■花角英世氏
「企業にせよ、個人にせよ、挑戦する人が集まる新潟にしていきたい。そうであれば間違いなく経済は元気になる。」
5月24日 新潟市江南区―
■花角英世氏
「コメ作りでもしっかり利益を出せる・稼げる元気な産業に育ってもらいたい。」
5月28日 上越市-
■花角英世氏
「成長のための基盤となるインフラ整備は、しっかりやっていかなければならない。」
5月23日、柏崎刈羽原発のある柏崎市でも―
■花角英世氏
「桜井柏崎市長の顔を見ると思い出しますが、長年の県政の課題だった原発の再稼働問題。一つ一つ伺いながら区切りをつけることができました。これからは成長のための県政をしていきたい。」
陣営が狙ったのは『原発の単一争点化の回避』。
選挙戦が終盤になるにつれその傾向は強まり、演説で原発に触れることは減っていきました。
■花角英世氏
「(Q.相手候補は『今こそ信を問う』と訴えている)私は8年間の実績を評価していただきたいとずっとお願いしてきた。」
原発の再稼働を後押しした自民党は、もともと原発に慎重な立場の有権者が自民党から離れることを懸念し、2027年春の統一地方選に影響するという声も党内でありました。花角さんが詳細に語らない中、街頭で地元へのメリットを強調する県議もいました。
■自民党 高橋直揮県議
「原発の特措法が30km圏内に拡大されました。成果が生まれているのは花角知事が難しい判断をし、これから新潟県のためにしっかりと働いていく。それを国が分かっているから新潟県に対してこれだけの力を与えてくれているんです。知らない方がたくさんいるので、あえてそこは触れた方がいいのかなと。すでに再稼働しているので、争点という考え方はない。」
UXの出口調査の結果では、知事に取り組んでほしいこととして『原発』を挙げた人はわずか7%。もっとも多かったのは、知事が訴え続けた『経済・産業振興』でした。
さらに、花角知事が再稼働を容認したことへの賛否では『賛成』が約6割にのぼり、『反対』とする人も36%が花角さんに投票しました。県連幹部の一人はこう述べました。
■自民党県連幹部
「我々の作戦勝ち。」
■自民党県連 岩村良一幹事長
「原発問題も含め総合的な政策の中で、信任を得た選挙だったと口をそろえて誰もが言うのではと私たちはそう考えている。」
今回の選挙で積極的に動いたのは、選挙の実務を担った自民党の県議たち。
■自民党 柄沢正三県議
「どうしても花角さんの票を50万票以上出してもらわないと困る。そうしないと県政は安定しない。」
■自民党 中村康司県議
「糸魚川の経済を活性化させましょう。それができるのは花角候補だけです。糸魚川の経済・県の経済、花角候補に託そうではありませんか。」
自民党県連が見据えていたのは『2027年春の統一地方選』です。県議らにとって知事選で地元の票を掘り起こすことが、自身の選挙につながる側面もあります。
■自民党 帆苅謙治県議団長
「自分の選挙は花角の選挙なんだという連帯感を持ちながら、自分の城を固めていったと。これがボディーブローとして非常に効いた。」
■自民党県連 岩村良一幹事長
「まさに自分の選挙のことのように、非常に熱心な応援をしてくれた。これは必ず来年の統一地方選にもつながっていく。」
結果は約32万票差をつけての勝利でした。投票率は過去3番目に低い47.40%。低い投票率からも明確な争点がなく、盛り上がりに欠けたとはいえ花角陣営の原発争点回避が成功した結果ともとれます。
■花角英世氏
「できるだけ投票してもらいたいという思いはもちろんあるが、それぞれの考えでの投票する・しないだったのでは。投票した方の中で大きな信任をいただいたと思っている。」
原発の再稼働について一区切りとし、『攻めの県政』を訴えた今回の選挙。〝県民の信任〟を得たとする3期目で、どのような結果を出せるのか注目されます。