2025.11.05【特集|最終日に密着】柏崎市「そばよし」感謝の一杯!味を胸と腹に刻む【新潟】
夫婦で駆け抜けてきた52年間
柏崎市の人気ラーメン店『そばよし』が、体力の衰えなどから2025年11月3日に52年の歴史に幕を下ろしました。多くのファンが訪れた最後の1日に密着しました。
花びらのように敷き詰められたチャーシュー。皿いっぱいに盛られたやきそば。
「かみしめているね。うめぇ。」
柏崎市で半世紀以上愛されてきたJR柏崎駅前にあるラーメン店『そばよし』。
普段も人が並ぶ人気ラーメン店ですが、閉店発表後はさらに長い行列ができ店内も大にぎわいです。
■常連客
「食べ納めで。」
■スタッフ
「(Q.昨日は何個切った?)数えてない。数えてられない。」
■そばよし店主・西村伯和さん
「想像もしていなかった。普段の日曜日に色を付けたくらいかなと思っていた。」
1973年に創業。店主の西村伯和さんが、妻・文子さんと始めました。
ボリューム満点のメニューが話題を呼び、柏崎を代表する人気店に。
■そばよし店主・西村伯和さん
「52年間、今月赤字だってこともなかった。壁にぶち当たったことは記憶にない。」
創業以来、鶏ガラと豚ガラをベースにバージョンアップさせてきたと語る〝スープ〟。
その中には-
■そばよし店主・西村伯和さん
「チャーシューになる肉を入れて、その肉汁が出てくる。それがプラスされて違うのかなと。」
スープを仕込んだ後は〝製麺〟。かんすいを使わない自家製麺にこだわってきました。
52年間、味を追求してきた伯和さんにはある秘密が-
■そばよし店主・西村伯和さん
「昔からラーメンは・・・好きじゃないですね。好きだったらどうしても自分の好みになっちゃう。かえって(好きじゃない方が)これがいいのかな、あれがいいのかなと思う。」
2024年、伯和さんは店を閉めることを考え始めたと言います。
■そばよし店主・西村伯和さん
「仕事をしながら体を壊すよりも、今この時期じゃないかと。」
■伯和さんの妻・文子さん
「もう年だからいいかなって感じで、去年あたりからね。」
■そばよし店主・西村伯和さん
「そう、去年の10月だね。」
その後、文子さんが体調をくずし半年ほど店に立てない時期があり、娘の和美さんが厨房に立ち乗り切りましたが、2人が80歳を迎える前に大きな決断をしました。
■伯和さんの娘・和美さん
「早い段階から聞いていたので、心の準備はできていた。」
■そばよし店主・西村伯和さん
「一代で終わりというのは10年前から(決めていた)。家庭を二の次にして客商売はしなくてはだめ。それで走ってきた私たちが、これはもう私たちの代だけでいいと。」
営業最終日はあいにくの雨。
それでも、開店2時間前にはすでに行列が-
■栃木県から(柏崎市出身)
「朝4時起きくらいで4時半にあっち(家を)出て、こっちまで来ました。チャーシュー麺の大盛が好きで、今日もそれを頼もうかと思って。」
40年以上通うという先頭の男性は、午前5時から並んでいました。
■新潟市から
「どうしても最後だし、食べなきゃならないから。絶対なくならないと思っていたし、ずっと我が人生とともにある店だと思っていた。一番好きな店なので残念でならない。とにかく残念。」
店内では、夫婦で普段通りの準備。
■そばよし店主・西村伯和さん
「月日は経ってみると早いんだね。正直言って最後という実感はない。現実的に今日が最後なので、今日は一日いいスープ・いい麺・いいつくりをして提供したい。」
■伯和さんの妻・文子さん
「最後これだけ人が来てくれるのはすごいなと思って。乗り切ります。頑張ります。」
従業員だけではなく親戚なども手伝いに来てくれました。
午前11時、最後の営業がスタート。
そばよしの代名詞ともいえる『チャーシュー麺』や『焼きそば』などが、長時間並んだ客の胃袋を満たしていきます。
■お客さん
「おいしい。」
■お客さん
「おいしいです。万人受けするあっさりとした味でおいしい。今日でもう食べられなくなるので、これは。」
午前5時から先頭で並んだ男性も-
■先頭で並んだお客さん
「最後です。うめぇ・・うめぇ・・かみしめているね。味をもう胸に刻みつけ、腹にも刻みつけ、これで寂しいですけど頑張れます。ラーメンといったら『そばよし』愛されているお店だと思う。柏崎の宝。」
こちらの客は5時間ほど並んで入店。高校時代の思い出の味だという焼きそばを注文しました。
■新潟市から
「ほかにはないです。よそでは食べられない。悔いはないですね。」
店の前に並んだ花束。
営業中、伯和さんたちにはたくさんの感謝が贈られます。
■花束を渡した客
「この子が世話になったので(花束を渡した)。」
■そばよし店主・西村伯和さん
「お客さんから『長い間ありがとうございました』と。『体に気をつけて』なんて言われると、涙もろい方なんですよ。目が潤んでくる。」
開店から5時間近くたち、店の営業も終盤に-
「最後来てみようかと思って。」
まもなく閉店というタイミングで、やってきたのは伯和さんの40年来の友人です。
■伯和さんの友人
「一緒に仕事が終わったあと、飲みに連れていってもらったり飲みにいったり楽しい思い出がある。」
休むことなくラーメンを作り続けた伯和さんをたたえます。
■伯和さんの友人
「本当に変わらない。昔と全然変わらない。よく50年間も頑張ったよね、本当にそう思う。」
午後5時半-
そばよしは、52年の歴史に幕を下ろしました。
■そばよし店主・西村伯和さん
「みんなから惜しまれて最後を飾られたというのは、感謝の気持ちでいっぱいでございます。」
■伯和さんの妻・文子さん
「52年間、今日が一番忙しかったかな。たくさんの方々にお花をいただいたりお菓子をいただいたり、本当にありがたい。」
夫婦で駆け抜けてきた52年間を振り返ります。
■そばよし店主・西村伯和さん
「『ご苦労さまでした』という一言です。街全体のラーメンをグレードアップしたいという気持ちは常に持っていた。2人とも健康体で体を壊すこともなくここまできた。周りのスタッフに非常に恵まれたというのが一番大きかった。」