2025.09.24新潟市と住民に溝「やらないための理屈をこねている」液状化対策の費用負担巡り議論が活発化【新潟】
新潟市はなぜ住民に負担を求めるのか?
新潟市が進める地域一帯の液状化対策について、費用の負担を巡り市と住民の溝が深まっています。
西区のときめき地区で開かれた市と住民の意見交換会。
■住民
「被害の復旧にプラスで金がかかるので、(住民負担を)ゼロにしていただきたい。」
新潟市は、液状化対策の工事費用については全額 国と市で負担するとしていますが、施設の維持管理費については住民にも負担を求めています。住民の負担額は30年間で1坪あたり5250円とされ、50坪の宅地の場合約26万円。
この負担を巡って、市と住民の意見が対立しています。
■住民
「住民負担がゼロになれば『さすが中原市長』『中原市長は大したものだ』となる。(中原市長には)住民に密接したことで、大きな仕事をしてほしい。」
熊本地震で被災した熊本市では、工事費用と維持管理費を全額公費で負担しました。
新潟市は、なぜ住民に負担を求めるのでしょうか?
■市の担当者
「この度、液状化した区域以外にも液状化しやすいエリアは広がっている。そういった地区との〝公平性という観点〟で負担してほしい。」
新潟市には、能登半島地震で被害がなかった地域にも液状化のリスクが高い場所がありますが、対策工事の対象は『被害が大きかった地域だけ』です。住民に維持管理費の負担を求めることで、対策対象外の地域との不公平感を払拭できるとの説明です。
しかし、対策工事に対する国の補助制度は被害があった地域だけが対象となるため、被害がなかった地域とは前提が異なります。住民たちは市の説明に納得しません。
■住民
「新潟市民全員に均等に(液状化の)危険性があって、偶然 黒埼地区などに被害が集中しただけ。不公平感を払拭するとか、維持管理費を負担させるとかの概念は当てはまらない。」
液状化対策を実施するには、一定の範囲に住む住民の合意が必要となります。熊本市では住民の80%が合意することが条件でしたが、新潟市は100%合意を求めていて住民たちはハードルが高すぎると主張しています。
■住民
「100合意がなければ対策工事はしないんですね?しないなら工事なんかできるはずない。」
■住民
「新潟市はやる気がない。やらないための理屈をこねているだけにしか聞こえない。」
住民と新潟市の深い溝・・・市議会でも議論が交わされています。
■立憲・西区選出 加藤大弥市議
「100%合意というのは本当にできると思うか。全員の合意がなければ、事業に着手できないということではできない。新潟市はやる気ないんだと市民にとらえられかねない状況。」
新潟市は今後、住民それぞれの事情をヒアリングして判断するとして、現時点では100%の合意を求める方針は変えないと答弁しました。
また、中原市長は住民に維持管理費を求める考えを変えるつもりはないとした上で、負担が困難な人についてはー
■新潟市 中原八一市長
「経済的な理由などで負担金の完全な支払いが困難な方がいると推察している。そうした際には、市としてどのような対応ができるのか検討する必要性がある。」
傍聴していた被災者はー
■天野中前川原自治会 増田進会長
「(維持管理費を)払うのが大変な世帯は検討していくという話を市長答弁で聞いたので、なんとかその方向で進んでもらいたい。」
25日、江南区天野地区で説明会が予定されています。