2025.11.04絵本で学び継承していく 県北部豪雨「きせきの避難」制作協力した学生に感謝状【新潟】
絵本『小岩内のきせき』を通じて災害の教訓を描く
村上市や関川村で記録的な豪雨となった3年前の『県北部豪雨』。災害の教訓の継承に尽力したとして、新潟市の専門学生に感謝状が送られました。
2022年8月、村上市や関川村を襲った『県北部豪雨』。村上市の小岩内地区では土石流が発生し、流木や土砂が家屋を飲み込みました。住宅が大きな被害を受けた一方、死者はなし。
”きせき”と評された避難の様子が絵本に描かれています。
■消防団員
「早く起きろー!逃げるぞー!」
夜10時すぎ、消防団が地区の家をまわり避難を呼びかけ、住民たちは公会堂に集まりました。
その後も強く降り続く雨、道路は川のように・・・。
住民たちが不安な思いを抱くなか、区長の松本佐一さんが決断します。
■松本佐一さん(当時の区長)
「公会堂が危ない!土砂に飲み込まれてしまうぞ!」
当時のことを松本さんはこう振り返っています。
■小岩井地区 松本佐一さん(2022年・当時区長)
「午後11時ごろに危険を感じたので、公会堂は危ないから高台に避難しようと。」
この決断が〝住民たちの命〟を救いました。
暗闇のなか、消防団が高齢者や足が不自由な人を抱きかかえながら高台へと避難。この約2時間後、小岩内地区は土石流の飲まれました。
最初に避難した公会堂、土砂に押し流された住宅が直撃していました。松本さんは、1967年の羽越水害の経験から迅速に高台への避難を決断できたと言います。
過去の教訓を生かしたからこそ救われた〝住民たちの命〟。この絵本は、災害の記憶と教訓を継承するために村上市が企画しました。
■村上市 高橋邦芳市長
「あなたは絵本『小岩内のきせき』を通じて災害の教訓を描き、多くの人々の心に『防災』の大切さを刻みました。」
4日は、制作に協力した新潟デザイン専門学校の学生らに村上市の高橋邦芳市長から感謝状が送られました。
■新潟デザイン専門学校 佐藤晴さん(4年)
「最初は災害がこんなにひどかったんだとつらかったが、どうやって乗り越えていくのか、どうやって人が助け合っていくのかなどを地域の方々に学びながら制作できた。」
絵本は村上市内の保育園や小・中学校のほか、県内の県立図書館などに配布されています。