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2024.05.0220年前の震災・復興のシンボル「牛の角突き」高齢・担い手不足…それでも思い受け継ぐ人々【新潟】

20年前の震災・復興のシンボル「牛の角突き」高齢・担い手不足…それでも思い受け継ぐ人々【新潟】
地域の歴史と思い伝える牛の角突き(長岡市山古志)
長岡市山古志地域の伝統行事「牛の角突き」が4日に開幕します。山古志は20年前の中越地震から復興を果たしましたが、今は人口減少と高齢化で、再び危機に瀕しています。そんな中で「牛の角突き」の伝統を守り支えていこうとしている人たちがいます。

1000年以上の歴史を持つ、山古志の「牛の角突き」。鍛えた体を激しくぶつけ合いながらも、勝敗を付けず、その雄姿を讃え合う習わしには、山に生き、牛を愛する人々の、強さと優しさが込められています。

山古志闘牛会の会長を務める松井富栄さん。父・治二さんの後を受けて、8年前に就任しました。毎日、「牛飼い」のオーナーから委託された大切な牛の世話を続けています。

■山古志闘牛会 松井富栄会長
「やっと雪が解けて外に牛を出せて、初場所の5月4日を迎えるのが待ち遠しい。」

2004年10月23日に発生した中越地震。当時の山古志村は大きな被害を受け、全ての住民が村外に避難を余儀なくされました。
角突きも存続の危機に。牛舎が倒壊し、飼育していた牛の半数以上が犠牲となり、残された牛たちはヘリコプターで助け出されました。亡くなった富栄さんの父・治二さんを中心とした山古志の人々は、地域の再建と共に、角突きの復活にも取り組みます。翌年には仮設の闘牛場で再開。以来、復興のシンボルとして、そして地域の心のよりどころとして20年の月日を刻んできました。

■山古志闘牛会 松井富栄会長
「震災以降いろんな方々の応援で力をもらって、20年やってこられたという感謝の思いをもって今年1年務めたい。」

しかし、復興を果たした山古志は、再び衰退の危機に直面しています。地震の前に比べて、人口は3分の1に。これからを担う世代が離れ、高齢化率は5割を超えました。角突きにも影響が出ています。

■山古志闘牛会 松井富栄会長
「携わる人たちも少なくなってきて牛の頭数も減ってきたことが一つの課題。また飼料がかなり高騰して懸念材料の一つ。」

牛のえさ代などを負担するオーナーは徐々に減少。一方で、えさの価格は地震の前の2倍に高騰していて、角突きはまた、窮地に立たされているのです。

そんな中で、角突きを支えようと活動している人がいます。五十嵐明子さん。2017年に発足した「山古志角突き女子部」の部長を務めています。

■山古志角突き女子部 五十嵐明子部長
「闘牛場の中で意外に女性が多いと思って、こういうグッズがあったらいいということをみんな考えていて、仲間がいればできると思った。」

10年以上前に知り合った治二さんの勧めで角突きを見て、すぐにファンになったという五十嵐さん。8年前には、念願の牛のオーナーになり、休みの日には牛舎で世話をしています。牛の名前は「小豆丸」。鹿児島県徳之島生まれの14歳の雄牛です。

■山古志角突き女子部 五十嵐明子部長
「いい取り組みじゃなくても『すごいよかったよ』とお客さんから声をかけてもらうと、心配もあったけど出してよかったと思う。」

女子部は小学生から80代までの60人ほど。角突きを愛する女性たちが、SNSで牛舎内の様子を発信したり闘牛グッズを販売して魅力を広く伝えています。角突きの開幕を前に、闘牛場で開かれたプレイベントには県内外から350人が来場。女子部にとってもアピールの機会です。

■山古志角突き女子部 五十嵐明子部長
「闘牛に関する土産品をみんなで作っているのでそれを販売するのが一番大きい女子部の任務。」

市内の高校生と協力してオリジナルグッズを販売。女性が手に取りやすいデザインにこだわりました。
■山古志角突き女子部 五十嵐明子さん
「手作りバッグ。刺繍も手でやった。牛の角突きの焼き印をこの度作ったので、木のトレイに押しておうちに置いてさりげなく使える。」

参加したメンバーも、闘牛を愛してやまない人ばかりです。
■女子部メンバー
「牛に関わることがとにかく楽しくて、牛好きのみんなで話をしているのも楽しい。」
「売り上げは直接闘牛会にわたって牛の役に立つし、お客さんと直接話せるので楽しい。」

角突きが始まると、土俵では本番さながらの、稽古の様子が披露されました。牛の引き回しには、女子部の中学3年生 ・星野ことみさんが参加。2018年に、土俵の女人禁制が撤廃されたことで女性も引き回しができるようになりました。

■山古志角突き女子部 星野ことみさん
「男性だけでなく女性も盛り上げようという気持ちがあるのでうれしい。大人になったら自分の牛を持って世話できるようになりたい。」

地元の人と角突きファンが協力して開いたプレイベント。訪れた人の心も魅了したようです。
■東京から
「初めて見たけど楽しかった。」
■カナダから
「面白かったというか圧倒的な感じだった。」
■埼玉から
「20年前のひどい被害をテレビで見ていたので、昔からやっているイベントが今につながっているのは貴重なことだしいいこと。」

中越地震から20年目の角突きが4日、幕を開けます。

■山古志闘牛会 松井富栄会長
「大勢の人に支援、応援してもらってこの20年があるんだというのを皆さんに知ってもらって、多くの人と一緒に角突きを楽しんでもらってこの地域を知ってもらうことをやっていきたい。」
■山古志角突き女子部 五十嵐明子さん
「山古志はすごくいいものがあるのに外に自慢しないのでもったいないと思うので私がPRしていけたらいい。」

山古志闘牛場では4日午後1時から角突きの初場所が開催されます。また26日には、全国の闘牛関係者と牛が集う「全国闘牛サミット」が長岡市で開催されます。地域を愛し、牛を愛する心を新しい世代と共に受け継いでいきます。
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