2026.06.04【特集|シリーズ知事選】中道との関係に苦悩・・・大敗の背景を深掘り:検証②土田氏【新潟】
なぜここまでの大敗を喫したのか
県知事選で県政刷新を掲げ、現職に挑んだ土田竜吾さんは約32万票をつけられ敗れました。なぜここまでの大敗を喫したのか、その背景を検証します。
県知事選の投開票日-
投票が締め切られたタイミングに合わせ、報道各社が花角氏の当選を次々と報じました。この時点での当選が意味するのは・・・土田さんの『大敗』でした。
■土田竜吾氏
「結果につなげられず本当に悔しい思いでいっぱいです。大変申し訳ございませんでした。」
立憲側が今回の知事選への候補擁立に前向きな姿勢を示したのは、この5カ月ほど前。柏崎刈羽原発の再稼働を容認した花角知事の判断を県議会が認める直前でした。
■立憲民主党県連 西村智奈美代表(当時)
「『県知事候補』については、擁立を検討する責任がある。」
この時点で、立憲側は花角知事が主導した原発再稼働のプロセスの是非を争点に定め、知事選で全面対決する姿勢を示しました。
しかし、2026年1月-
強気の姿勢は高市早苗総理の決断で一変します。
■高市早苗総理
「私は本日、内閣総理大臣として1月23日に衆議院を解散する決断をいたしました。」
立憲は総理の解散に向けた動きに合わせ、公明党と新党・中道改革連合を結成。衆院議員の大多数が中道に合流しました。衆院選の結果は、中道の惨敗。新潟で5つの小選挙区すべての議席を独占していた立憲は、一転して全選挙区を自民に譲り渡しました。
ここから、立憲側の知事選への対応は迷走が始まります。
■中道改革連合 西村智奈美衆院議員
「『候補擁立を検討する責任はある』と申し上げてきたが、そのあと総選挙があって、結果が出て、ひとつだけ言えるとすればそのときから状況は変わった。」
しかし、県連で中心的な役割を果たしてきた立憲の衆院議員たちが落選したうえ中道に移ったことで、候補者選定のかじ取り役があいまいな状況が生じました。こうしたなかで存在感が高まったのが、森裕子参院議員でした。参院立憲は中道に合流しておらず、当選4回のベテラン・森さんが候補擁立を主導したのです。
知事選告示まで2カ月を切った3月27日-
立憲が擁立を決めたのは、森さんの元秘書・土田さんでした。
■未来にいがた 土田竜吾県議(当時)
「県議会議員の土田でございます。この度の新潟県知事選挙に立候補させていただく決意をさせていただきました。」
土田さんは県議1期目で、最大の課題は県内での〝知名度不足〟でした。本来であれば、立憲を母体とする中道が政党として全面支援するべき候補です。しかし頼みの中道は、もう一方の母体である公明党が相手候補の花角さんを支援する方針を早々と決定。中道は、公明への配慮から身動きが取れない状況に陥ります。
立憲関係者は、知事選告示前に起きたある出来事を明かしました。
■立憲関係者
「公明党側から中道と立憲に『公明が花角氏を支持するのに、中道という立場もありながら何で勝手に立憲が候補を擁立するんだ』と抗議が来た。」
また、中道は公明に配慮し、土田さんと国会議員の2連ポスターを作ることができないなど、立憲県連は中道との関係に苦悩します。
■立憲民主党県連代表代行 大渕健県議
「公明さんは公明さんで、自らのその方針のそのままに支持を出す。私たちも私たちで去年からその表明した流れのままで擁立をしたということでありますので、今回のことに関して齟齬(そご)はないと思います。(Q.中道への支援要請にあたり公明との関係がネックでは?)私たちはお願いしますと、最大限の力で中道改革連合の前職・現職・国会議員の皆さんに応援をしていただきたいとお願いをしていくのみだと思っています。」
国会議員も孤立の戦いを強いられました。
■中道改革連合 西村ちなみ衆院議員
「(.Q西村氏個人として応援していく?)私は土田氏を応援していきたいと思っています。」
中道からの支援をあてにできない土田陣営は、森さんが所属する小沢一郎さんのグループ『一清会』の人脈をたどって元国会議員や元秘書らを選対に投入してこ入れを図りましたが、力不足は明らかでした。長年にわたって築いてきた野党共闘の枠組みも今回は崩れました。
土田さんの推薦を表明した連合新潟の内部に、共産党を警戒する意見が根強かったためです。
■共産党県委員会 樋渡士自夫委員長
「今回は自主支援だから、組織としてまず支援するということです。候補者にあまり縛りをかけない、そういうふうな対応をすることにした。」
こうして、土田陣営は選対組織を十分に強化できないまま選挙戦に入ると、自民党から強力な支援を受けた花角陣営との地力の差が露呈しました。複数の自民党幹部が応援演説で新潟入りした花角陣営に対し、中道幹部の新潟入りはゼロ。衆院選で落選した小沢一郎さんが新潟入りこそしましたが、応援演説はありませんでした。
土田さんの知名度不足は・・・解消できないままでした。演説も迷走しました。
■土田竜吾氏
「『職を賭(と)して県民に信を問う』と述べていながら、県議会にその判断を委ねた。県民との約束を反故(ほご)にした。こんなことを許していいわけがありません。」
選挙戦前半の演説では、花角さんが主導した原発再稼働のプロセスの批判に多くの時間を割きましたが、後半になるにつれ少子高齢化や経済対策といった県政課題への言及を増やしました。
結果的に、土田陣営が当初狙っていた『原発再稼働プロセスの是非』の争点化に失敗しました。
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UXが行った出口調査の結果です。
自民支持層は9割近くが花角さんに投票したのに対し、立憲支持層で土田さんに投票した人は7割に届きませんでした。支持固めに差が出たことが分かります。また、花角さんの原発再稼働容認の判断について「妥当でない」と答えた人のうち、土田さんに投票した人は6割を下回りました。土田さんの訴えが浸透しなかったことがうかがえます。
県民は、32万票という大差をつけて花角さんに軍配を上げました。
■土田竜吾氏
「原発の再稼働のプロセスに対する問題提起の部分であったり、労働者目線の政策の部分であったり、花角県政に対する不満的なものが県民の皆様の中にそこまで大きくなかったことも大きな要因なのかもしれませんが。」
土田さん擁立を主導した森さんは、悔しさを隠しませんでした。
■立憲民主党 森ゆうこ参院議員
「色々な政治状況もあり、私たちの力が最大限発揮できたのか悔いが残るところであります。我々 新潟県内の野党勢力にとって本当に厳しいときだというふうに思います。」
知事経験者は、衆院選で中道が惨敗した影響が大きいと指摘します。
■中道改革連合 米山隆一前衆院議員
「衆院選の空気感をそのまま引きずっているわけですよ。そういう空気をひっくり返すためには、こっちはチャレンジャーなので、チャレンジャーとしてやるべきことはチャンピオン側よりもはるかに多いというところが、しきれなかったとは思います。」
今回の知事選は、2027年春の統一地方選挙に影響します。国政では中道・立憲・公明の3党合流の議論が続いていますが、新潟では公明と立憲が対決する従来の構図がいまも変わっていません。立憲側の対応は、現時点で見通しが立っていないのが実情です。
■立憲民主党県連代表代行 大渕健県議
「地方選にどう臨もうかということは知事選もありましたので、全然そういう いま話に至っていません。本県についてはこれからなのかな。立憲県連の地方議員がいますからね。一人一人の意向を聞いたりしながら、早急に対応していきたいなと思っています。」