圧巻!暮らしに溶け込む匠の技
越後平野の中央に位置する燕市。
全長9kmに及ぶ大河津分水はおよそ100年間、この地を洪水から守ってきました。
「トントントン」
「トントントン」
「トントントントントントントン!」
そんな燕市で江戸時代から発展してきた金属加工技術。
その産業の発信拠点で匠の技に触れました。
県内30市町村をめぐる、「チカポンの探県日和」。
今回は燕市を訪ねました。
チカポン「あなたのハート、いただきまちゅ♡」
伺ったのは、燕市産業史料館。
チカポン「おー、え、わーすごい!」
チカポン「いっぺ、いろんなスプーンがありますね!」
チカポン「これとか、ノーベル賞晩さん会用カトラリーですって。ひときわ輝きを放って…」
齋藤優介さん(燕市産業史料館)「すごいでしょ、チカポン」
チカポン「えっ!?」
背後から登場したのは学芸員の齋藤さんです。
チカポン「これ全部、メイドイン燕?」
齋藤さん「そうですね。燕のスプーンは国内総生産の95パーセント」
齋藤さん「とにかく皆さんが使っているスプーンは燕製です」
チカポン「えー!」
今や世界にとどろく燕ブランド。
そもそも、なぜ金属加工技術が発展したのでしょうか。
齋藤さん「非常に洪水が起こりやすくお米が取りにくかったというところから始まります」
齋藤さん「そしてこの和釘という釘作りから燕の金属産業が始まったと言われている」
鉄をたたく和釘作りの技術が、後にヤスリやキセルなどの製造へとつながり、
今では生活に欠かせない様々な金属製品の産地へと発展しました。
さらに、産業の発展に欠かせなかったのが、鎚起銅器。
一枚の銅板から茶器や花瓶をつくる伝統工芸です。
チカポン「なんじゃこりゃー。なんだ、この模様は!見入っちゃいますね」
齋藤さん「これは木目金という金属で作られています。木目に見えるから木目金」
齋藤さん「一言で言うと、すんごいめんどくさい技法」
種類の違う金属を重ね、まだら模様を作りだす木目金。
燕の人間国宝、玉川宣夫氏が確立した技法です。
齋藤さん「見れば見るほど幸せになれるような作品。それが玉川宣夫さんの木目金の花瓶だと僕は思います」
「トントントン」
私も職人技に触発されて、タンブラーの鎚目入れに挑戦。
チカポン「気持ちは今、人間国宝です」
齋藤さん「いいですねー」
銅はたたけばたたくほど、丈夫になっていくんですって。
チカポン「いぇーい!できましたー!」
チカポン「一瞬だけだったんですけど、大変さがすごく分かりましたね。今後、使う時もありがたみが増すんじゃないかなと」
齋藤さん「うれしいですね」
齋藤さん「じゃあ、ご褒美に釜めし行きますか!」
チカポン「かまめし?何で?」
昔から町工場が密集し、社長の多い燕市。
商談や祝いの席では必ず釜めしを食べてきたんだとか。
チカポン「オープン!うわー」
チカポン「おダシが利いてますね。具だくさんで、たまらないですね」
この釜めしが、金属加工産業を支えてきたんです。
遠藤賢太郎さん(釜めし 松月)
「工場の職人や社長さんが代をまたいで来てもらえるのはありがたい」
齋藤さん「燕の金属産業は全国でもめったに見られない産業。金属産業とそれを支えてきた食文化をみなさんに知っていただきたい」
燕市産業史料館
燕市大曲4330-1
0256-63-7666
釜めし 松月
燕市桜町227
0256-62-4075