2026.08.28【特集】冠水道路で車が停止・・・「命を守るには」県内で冠水が予測される道路は548カ所【新潟】
水につかった車でドアを開けることができるか記者が体験
この夏は、各地で大雨被害が相次いでいます。2週間前の千葉県の豪雨では、冠水した道路に車が浸かり動かなくなるトラブルが多発しました。県内もこの週末また雨が心配されますが、突然の大雨で車が冠水にはまったときにどう対応すべきなのでしょうか。命を守る方法を取材しました。
8月13日、関東地方南部を襲った豪雨。千葉市では1時間115mmにおよぶ猛烈な雨が降り、いたるところで道路の冠水が発生しました。冠水した道路を走る車。後輪が浮いてしまい、走行できない事態に。高齢の夫婦が救助されましたが、妻が死亡しました。千葉市内では約2500台の車が水没。今回の豪雨で亡くなった13人のうち、少なくとも4人は浸水した車に閉じ込められたことによるものとみられています。
県内でも、7月末の大雨では新潟市内で冠水に巻き込まれ停止した車が多くみられました。
長年、防災教育に携わってきた三条市水防学習館の五十嵐一浩さん。まずは冠水した道路に入らないことが重要だと話します。
■三条市水防学習館 五十嵐一浩さん
「できれば車は避けていただいたほうがいい。徒歩で逃げていただくのが理想。」
『冠水しやすい場所』を知っておくことも必要です。
こちらは、新潟市が公開している『浸水ハザードマップ』。排水能力を超えるほどの雨が降った場合を想定しています。
■柿木哲哉記者
「同じ地区でも場所により浸水の深さが異なっていて、新潟市内中心部は深いところで60~80cmほどの浸水が想定されています。」
新潟市中央区をみると、7月末の雨で冠水が発生した柳都大橋のたもとは10~30cm、中心市街地の万代は30~60cmほどの浸水が予測されていました。五十嵐さんは、ハザードマップの想定を超える場合もあることを認識してほしいと話します。
■三条市水防学習館 五十嵐一浩さん
「(ハザードマップは)あくまで参考で、絶対ではありません。それは千葉の豪雨である意味証明されていたので、思いもしないことが起こることを前提に最善の準備をすることが防災だと思う。」
北陸地方整備局によりますと、県内で大雨発生時に冠水が予測される道路は『548カ所』。そのうちのひとつが、JR長岡駅近くにある線路の下をくぐる〝アンダーパス〟です。
2年前の豪雨でも車が水没しました。アンダーパスにたまった水は、どう排水するのでしょうか。排水設備を取材することができました。
■長岡市道路管理課 平澤裕介さん
「こちらはアンダーボックスから水が流入する貯水ピットになります。」
大雨に備える『貯水ピット』。深さは6mあります。通常アンダーパスに流れ込んだ雨水は下水道管に流されますが、下水道管の処理能力を超えた場合、一時的に貯水ピットにためられます。内部には3本の排水管とモーター付きのポンプを備えています。
■長岡市道路管理課 平澤裕介さん
「水が集まってたまってきますので、外に排出するために低いところから(排水管のある)高いところに水を出さなければならない。そのためにポンプを使って圧送してやる。」
一定の量がたまるとポンプが作動。圧力をかけて排水管に水を押し上げ、下水道管や用水路に流す仕組みです。しかし、こうした設備を備えても2年前には冠水が発生しました。
■長岡市道路管理課 平澤裕介さん
「1時間42mmの雨に対応する設計になっているが、それ以上の雨が流入して冠水してしまったと考えている。」
当時、長岡市では排水基準の1時間当たり42mmを上回る、1時間雨量69mmの雨を観測していました。
■長岡市道路管理課 平澤裕介さん
「局地的に強い雨が降ることが多く対応がしづらい。対策として(大雨時は)ライトが点灯したり、電光表示板で危険だと示す施設もあるので、通行には気をつけてほしい。」
自動車はどの程度の水で止まってしまうのでしょうか?こちらは、JAFの実験映像です。
セダンタイプの車がボンネットよりも低い深さ60cmの道路を、時速10km/hで走行。ゆっくりと進んでいきますが・・・30mほどで止まってしまいました。
■JAF新潟支部 廣川尚樹さん
「空気の取り入れ口があります。ここから水が浸入して、何らかの形でエンジンに入ってしまって停止してしまうことにつながってしまう。」
ガソリン車は、外から取り込んだ空気とガソリンを混ぜ燃焼させることで動きます。また、走り続けるためには排気ガスを外に出すことが必要です。このため、雨水が空気の取り入れ口やマフラーから内部に入ると動かなくなってしまうのです。
千葉豪雨では、エンジンが止まる前に車輪が浮いてしまうケースもみられました。
■JAF新潟支部 廣川尚樹さん
「そうなってしまうと、ハンドル操作がきかない。もちろんエンジンも止まってしまう可能性も出てくる。そうなってしまった場合は早めに脱出していただきたい。」
しかし、冠水にはまった車からの脱出は、容易ではありません。水につかった車でドアを開けることができるか、記者が体験してみました。
■柿木哲哉記者
「まずは、座ったときに足元ぐらいの高さまで浸水が起こった場合です。まだ両手で押せばドアは開きます。」
その2倍、ひざの高さまで浸水すると・・・。
■柿木哲哉記者
「さっきよりもかなり力がいりました。まだ30cmほど開き、まだ降りれはしそうです。」
かなり力を入れてようやく開きました。
さらに深さが増し、胸の高さまでつかった場合は・・・。
■柿木哲哉記者
「だめですね、押してもこれしか開かないです。いま10cmぐらい、これはもう降りられません。」
窓を割って脱出するのも簡単ではありません。
■JAF新潟支部 廣川尚樹さん
「ヘッドレストをとって金具を使って割ったりとかJAFが実験を行ってみたが、それぞれ割ることができませんでした。脱出用のハンマーを用意いただきたい。」
『脱出用ハンマー』はどれほどの威力なのか。自動車用の窓ガラスを割ってみました。
■柿木哲哉記者
「ノックをする程度の力でたたいていたんですが、あっという間に割れガラスは粉々です。」
■JAF新潟支部 廣川尚樹さん
「真ん中というよりは、四隅を狙ってこのような形でつつくような形で割っていただくと割りやすい。」
運転中に冠水道路に出くわした場合、避難の目安があるそうです。
■JAF新潟支部 廣川尚樹さん
「縁石の高さまで水がつかっている、白線・横断歩道のマークが見えないとなると、冠水しているという判断を素早くとっていただいて無理に走行しつづけないことがポイントになってくる。」
予測外の事態を想定し、備えることが命を守ることにつながります。