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2025.04.18【柏崎刈羽原発】県民の信を問う「手法」と「時期」に焦点 県民投票条例案は“否決”【新潟】

【柏崎刈羽原発】県民の信を問う「手法」と「時期」に焦点 県民投票条例案は“否決”【新潟】
臨時県議会後の花角知事を記者団が取材
県民投票実施の可能性はなくなりました。知事は今後どう「信を問う」のでしょうか。
柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる県民投票条例案は、自民党などの反対により県議会で“否決”されました。国が再稼働を求めるなか、今後は花角知事が訴えてきた「県民の信を問う」“手法”と“時期”に焦点が移ります。

臨時県議会・最終日。
午前に開かれた特別委員会では、採決直後に声を上げる傍聴人の姿が-

■特別委員会 尾身孝昭委員長
「不規則な発言がありました。傍聴人は退場してください。」

傍聴人は退場に応じず、議事が約1時間止まりました。

■岡拓哉アナウンサー
「混乱の特別委員会から1時間あまり、この後、本会議での採決です。多くの報道陣と200人を超える傍聴人が見つめる中、県民投票をするか否か決まります。」

午後1時、本会議が始まり、各党・会派が条例案への賛否を述べます。

■自民党 高橋直揮県議
「知事意見の指摘の通り、再稼働の是非は賛成・反対の二者択一の選択肢では、県民の多様な意見を把握できない。国家規模の課題と直結しているため、十分な知識・見識を持ち得ていない県民が直接民主制による県民投票で結論を出すのはふさわしくない。『反対』を表明します。」

■未来にいがた 大渕健県議
「住民投票は、間接民主主義を補完するものとして意義あるものと考える。今回、県民投票の直接請求が行われた大きな要因の一つは、知事が県民の意思を確認する『信を問う方法』を明らかにしないことにある。県民投票の実施を求める声はもっとも『妥当』と考える(賛成)。」

■真政にいがた 渡辺和光県議
「(原発は)国全体の発展のため国策として進められてきた経緯があり、高度な専門的知見を持つ国が一義的な責任を持つ二者択一の選択による結果では民主主義は深まらず、賛成・反対による対立と分断につながることも危惧される。『反対』との結論に至った。」

■リベラル新潟 小泉勝県議
「条例案に署名した14万3196人は本県有権者の8%、12人に1人に相当する。柏崎刈羽原発の再稼働に関する意思表明の場を求めるものだ。可決すべきものとし『賛成』する。」

■公明党 市村浩二県議
「県民の間でも多様な考えがあり、二者択一の選択肢である県民投票では極めて重要で複雑な原発再稼働にかかる多様な意見の把握の困難さや、県民世論が正しく反映されるかが懸念される。『反対』します。」

■無所属 馬場秀幸県議
「二者択一というのは危険な原発を自分たちの生活と共存させるかどうか、是とするか非とするかというきわめて単純・明快な問題だ。『賛成』の意見を皆さんに表明します。」

そして-

■皆川雄二議長
「起立少数、よって本案は〝否決〟しました。」

条例案に賛成したのは、未来にいがた9人とリベラル新潟6人、無所属議員1人の計16人。反対は、自民党31人と公明党2人、真政にいがた3人の計36人でした。


こうして幕を閉じた3日間の論戦。採決を終えた各会派の反応は様々でした。
県議会の過半数を占め、条例案の成否のカギを握っていた自民党。県民投票の課題の指摘に終始し、全員が『反対』しました。

■自民党 岩村良一幹事長
「過去の事案を研究し、きわめて深く、真剣に、慎重に質疑した中で結論が出たと思っている。」

再稼働の是非について、経済界などから上がる「県議会で判断してほしい」との声については-

■自民党 岩村良一幹事長
「議会に対して“請願”が上がってくる可能性もある。今の材料が出そろい(東電の)信頼が回復されるなどの状況になったときに、どういった形で議会での採決が行われるか、それはある。」


原案・修正案ともに全員が『賛成』した、未来にいがたの大渕健代表は-

■未来にいがた 大渕健県議
「県民投票や出直し選挙が行われるということであれば、それもまた良いと思っておりましたが、いずれも得られなかったのは残念。」


同じく、野党系のリベラル新潟も全員が『賛成』しました。

■リベラル新潟 小泉勝県議
「非常に残念だというところが一番。最終的なターゲットは“知事選”だろうとにらんでいます。」

■傍聴席
「主権者は県民だぞ。」
「県民をバカにするな。」

■県民投票で決める会 吉田裕史さん
「原発再稼働に関する意思表示の機会が奪われ、その思いを明らかにする有効な方策も示されなかったことは大変残念です。知事の言う「県民の意向を把握」「県民に信を問う」過程において、賢明な県民一人一人が意思表示できる機会が来ることを強く願います。」


原発周辺の自治体トップも注目していた、今回の臨時県議会。
再稼働を容認している柏崎市の桜井市長は〝否決〟について-

■柏崎市 桜井雅浩市長
「少なくとも原子力やエネルギーに関する問題に関しては、県民投票はふさわしくないと申し上げてきたので、今回の決定は“妥当”と思う。」

一方、臨時県議会でも知事が「信を問う手法」を明かさなかったことについて苦言を呈します。

■柏崎市 桜井雅浩市長
「きわめてむなしい議論だった。何年同じような問答を繰り返してきたのか、知事も条件がそろってきたと言っているので、(判断の)タイミングはとうの昔に過ぎている。」


県民投票に肯定的な考えも示していた長岡市の磯田市長は-

■長岡市 磯田達伸市長
「ある意味“残念”な思いもする。県民の思いを受け止めることは大切だと思う。課題の解決・県民理解を進めることに関係者で力を入れるべき。」


そして、18日の傍聴席には東京電力・新潟本社の橘田昌哉前代表の姿も-

■東電・新潟本社 橘田昌哉前代表
「(Q.受け止めを)・・・。」

東電・新潟本社は、条例案の〝否決〟を受けてコメントを発表。「県民投票条例案は一連のプロセスで決定されたもので、当社としてコメントする立場にない。安全性向上に全力を尽くし、住民に対して取り組みをしっかりと説明していく」としています。


今後は、「県民の信を問う」と繰り返して来た花角知事の動向に焦点が当たります。
7年前の知事選では-

■花角英世候補(当時)
「職責をもって、確認させていただきたい。みなさんが納得しない限り(原発を)動かしません。リーダーとして船長として答えを出し、みなさんの信を問う。それも考えている。その覚悟がある。」

今回、野党系会派から「信を問う」手法に質問が集中したものの、示さなかった花角知事。
臨時県議会を終えて-

■花角英世知事
「(Q.議論は深まったと思いますか?)議論は深まったと思いますよ。」
「(Q.特にこの点がというのは?)特にありません。」
「(Q.具体的にどのような県民の意見を問う?)今申し上げたじゃないですか。これから多様な意見を見極めて参りたい。」

■記者
「知事、立ち止まってもらえませんか。」

■花角英世知事
「『信を問う』という言葉は、みなさん想像できるものがありますよね。何度も申し上げている。『信』という言葉を使えば、それは信任・不信任ですよ。“存在をかける”ということ。」
「(Q.信を問う方法を言わないから条例案が出たとの声も)『信を問う』方法というのは、みなさん想像できるでしょ、日本語として。」
「(Q.それを言わないのはなぜ?)そこはまだ決めてない。最適な方法を、適切な方法を決められてないからです。」
「(Q.他の方法も考えている?)いやいや、ずっと私は7年間一貫して『信を問う』方法は最も責任の取り方として、明確で重いということは述べてきている。」
「(Q.今議会で収穫・新たな気づきは?)特にありません。」

県民投票の手法について「多様な県民の意思を把握できない」と否定した花角知事。
それでは、どのような手法が多様な意思を持つ県民に『信を問う』のに妥当なのか。国や経済界から再稼働の働きかけが強まる中で、知事の明確な答えを求める声が強まるのは必至です。
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