2025.04.24【特集|豪雪地の絶景】残雪の中で咲く〝雪上桜〟で結ばれた移住者と住民【新潟・魚沼市】
ようやく開花〝雪上桜〟
雪原に咲く満開のサクラ。魚沼市の山あいの集落で〝雪上桜〟と呼ばれるサクラが咲き誇っています。このサクラを愛する移住者と住民の『心の交流』をカメラが追いました。
雪原と満開の桜。残雪の中で花を咲かせることから〝雪上桜〟と呼ばれています。雪の白と桜のピンクのコントラストが美しい豪雪地ならではの絶景です。
〝雪上桜〟を楽しめるのは、魚沼市にある「福山峠のふるさと広場」。キャンプ場でもあるこの施設を管理している田渕一平太さん。地域おこし協力隊をきっかけに埼玉から移住しました。移住して7年、60aの田んぼでコメ作りもしています。
■福山峠のふるさと広場管理人 田渕一平太さん
「自分が作ったものを食べられるということが、どれだけ凄いことなのか、最高のことだと思った。」
田渕さんが暮らす福山新田は魚沼市の北のはずれにあり、周囲を山々に囲まれた人口約100人の集落です。朝霧に覆われ幻想的な姿を見せる〝雪上桜〟。ようやく開花しました。
■東京から
「感動しました。雪の上に桜はすごい。」
■長岡市から
「(桜の写真を)年賀状にする。」
2024年から桜の開花にあわせ、『福山峠の雪上桜まつり』を開催しています。
キッチンカーの店主たちは、除雪や掃除など祭りの準備段階から力を貸してくれる大切な仲間です。移住者や住民も祭りを手伝います。田渕さんを中心に、多くの仲間が集まった手作りのイベントです。集落のお母さんたちも駆けつけてくれました。
■福山峠のふるさと広場管理人 田渕一平太さん
「おはようございます。」
■住民
「咲いてよかった、晴れてよかった。」
お母さんたちは、田渕さんを「一平太くん」と親しみを込めて名前で呼んでいます。
■住民
「一平太くんみたいな若い人が来て、(ふるさと広場)を管理してもらい活気が出た。」
■住民
「集落に家を建てて移住してくれた。すごくうれしい。」
新しく家が建ったのは20年ぶり。集落の将来に希望が持てるようになったといいます。
■福山峠のふるさと広場管理人 田渕一平太さん
「かわいがってもらって、うれしい。」
キッチンカーに並んで、花より団子を楽しみます。
仲間の力を借りてライトアップの準備です。住民に楽しんでもらいたいと、はじめての挑戦です。
田渕さんには、忘れられない出来事があります。それは、集落に来て2年目の秋の事です。稲を手で刈り取っているときにケガを負い、日没も近づき途方に暮れていると目の前に3人の男性が現れました。
■福山峠のふるさと広場管理人 田渕一平太さん
「何も言わずに鎌だけ持ってきて、何も言わずに刈り始めて『終わってよかったのお』と言って帰っていった。その後に号泣した。」
優しい住民が暮らす福山新田を大好きになりました。助けてくれたの中の1人が、区長の野村さんでした。
■福山新田区長 野村寿さん
「年寄り3人で一平太の稲刈りを手伝って『今日はこれくらいにしておきなよ』と、先輩と一緒に手伝ったのが付き合いのはじまり。」
今では『山暮らし支援会』を一緒に立ち上げて、約10年。
”移住1年目からコメ作りができる”をキャッチフレーズに、希望者10人を受け入れ、うち7人が集落に定着しています。
■福山新田区長 野村寿さん
「農業をしたい希望者に、トラクターとか田植え機とかコンバインとか、自分が使っていないときは自由に使っていいという取り組みをしている。」
区長と話しているのは、移住して3年目の河合さんです。苗づくりの相談をしています。河合さんはコメ作りをしながら、ドローンを使った『スマート農業』に挑戦しています。2024年から本格的にコメ作りを始めた高橋さんは、農業未経験でした。
■移住5年目 高橋壮太さん
「(コメ作りを)未経験ではじめた。機械から何から、何もない状態だった。集落の方や支援会に機械を借りながら、はじめられたのが大きい。」
感謝の気持ちを込めて〝雪上桜〟を照らします。
■福山峠のふるさと広場管理人 田渕一平太さん
「自分にとって最高の場所。自分らしく暮らせてよかった。」
もっともっと『福山新田』を明るくしたいと、一平太さんの挑戦は続きます。
魚沼市・福山峠の『雪上桜まつり』は、4月25日まで開催しています。それ以降は除雪のため、しばらくの間この場所に入ることはできないということです。