古町で43年続く中華料理店。長年多くのファンに愛され、昔懐かしい味を守り続ける夫婦の思いを取材しました。

響き渡るおいしそうな音。新潟市古町に開業から43年の長きに渡り、客のおなかと心を満たし続ける老舗があります。

■髙橋泉アナウンサー
「こちらが慶龍飯店。早速入ってみましょう、こんばんは。」

昔懐かしいレトロな雰囲気の『慶龍飯店(けいりゅうはんてん)』。カウンター10席だけの素朴な店構えで、新潟の歴史が息づく古町に根差した昔ながらの町中華です。

■慶龍飯店 別所健治さん
「芸妓さんの千社札。(Q.芸妓さんがお客さんとして来る？)このまま来て、急いでラーメンを食べていくこともある。」

店主の別所健治さん(74)と妻・初美さん(69)。夫婦二人三脚で店を切り盛りしてきました。
常連客が愛してやまない、店の代名詞とも言うべきメニューが「餃子」です。

■髙橋泉アナウンサー
「すごくジューシー。肉汁がじゅわ～ときてたまらない。にんにくもガツンときますね。」

肉汁が染み出す伝統の餡は、農家から直接仕入れたキャベツを使うなど素材本来の味にこだわります。

■慶龍飯店 別所健治さん
「ギョーザは作り置きしないで目の前で巻いている。素材のおいしさを食べてもらえるし、消化もいい。」

皮を巻くのは、注文が入ってから。これは開業以来のこだわりです。
皮を巻いたらサッとお湯に通します。こうすることで、皮の香りが引き立つそうです。その後焼き目をつけたら、ご飯もビールも進む絶品の「餃子」が完成。こだわりと伝統が詰まっています。

健治さんは、客との会話を欠かしません。

■慶龍飯店 別所健治さん
「お客さんの顔色とか飲み具合とか、しゃべっているとお客さんの(好みの)味を見抜ける。要望を聞き少しでも満足して帰ってもらえるように。」

世間話で好みや体調を見抜き、味付けなどを客に合わせて変えるというのです。

■慶龍飯店 別所健治さん
「(メニューにはない)お客さんの要望の料理。(Q.どこを意識した？)優しい顔をしているから(味付けを)優しくした。」

味の調整だけでなく、メニューにない料理も提供しています。こちらの常連客は麻婆豆腐を注文しました。

■1年通う常連
「ここは後味がスッと入ってきて、クセがなくて食べやすくておいしい。(Q.魅力は？)他の店にはない温かい感じ。」

営業時間は、午後5時から9時までです。

■慶龍飯店 別所健治さん
「最初の頃は、お酒を飲んだ人の終わった後の空腹を満たすための商売の時間だった。」

慶龍飯店を開業したのは1982年、当時は午後7時から深夜2時ごろまで営業していました。その後まもなくバブルを迎え、古町の夜は大いに賑わったと言います。

■慶龍飯店 別所健治さん
「20～30年前までは、バブルで人が肩をぶつけるような街中の動きがあった。」

バブルの流れをつかみ店が繁盛する一方、夜遅くまでの仕事で妻・初美さんに異変が起きました。

■慶龍飯店 別所初美さん
「倒れたというか働きすぎからきたのかな。体が資本だからこういう商売。」

初美さんの体調が回復するまで、健治さんは1人で営業を続けたといいます。

■慶龍飯店 別所健治さん
「(大変だったが)我慢してニコニコしていた。言ってもしょうがないし、耐えてやるしかないし、いらだちを出すと商品にも出てくるし。『普通の感じで』と切り替えていた。」

夫婦二人三脚で店を守り続けた43年。苦しいときに2人の支えになったのは、常連客の笑顔だったといいます。

■慶龍飯店 別所健治さん
「お客さんがいつ来ても『今日もおいしいね。今日も良かった』と気持ちが返ってきて。そのうれしさで、なおさら頑張ろうと思って現在も保っている。」

■20年以上通う常連
「(いつもは)もっと飲んで酔っぱらってくる。」
■妻・初美さん
「おしゃべり上手なんですよ。」

■約30年通う常連
「昔ながらのラーメンだから。」
「マスターとママが一番いい。愛想もいいし、ね、マスター？」
■慶龍飯店 別所健治さん
「ありがとうございます！」

この犬も大切な常連客です。

■2年通う常連
「ほとんど毎日(散歩にくる)。ギョーザはやみつきになる。(Q.2人の人柄も魅力？)もちろん。時間が合わず会えなかったら寂しい。」

健治さんは、古町のにぎわいが薄れていくことに寂しさを感じていると言いますが、これからも常連客との絆を大切に店を続けていきます。

■妻・初美さん
「私が倒れても、どっちかが倒れてもダメだから。2人で1人だから。お父さんが倒れるまで、一緒に手伝っていくと思っている。」

■慶龍飯店 別所健治さん
「ここまで来たら、せめて50年くらい。いかにも長くお客さんの顔を何度も見られるように頑張りたい。」


【中国料理 慶龍飯店】
営業時間：17時～21時
定休日：日曜日・祝日