2026.05.22【特集|県知事選挙】若者はなぜ首都圏に?どう食い止める:県政課題の実情を深掘り①「人口減少」【新潟】
なぜ首都圏を選ぶ若年層が多いのか
5月31日(日)に投開票を迎える県知事選挙も折り返しに入りました。次の〝新潟県のリーダー〟を決める上で、いま、新潟はどんな課題を抱えているのかシリーズで深掘りします。まずは、取材にあたっている神田記者に伝えてもらいます。
1回目は『人口減少問題』です。
■神田佳毅記者
「まずは、新潟県の人口の状況を見ていきます。人口の推移は、1998年の約249万人をピークに減少をはじめ、2024年には210万人を割りました。2026年4月の県の発表では約205万人なので、約30年間で44万人程度減っています。」
―――今後も、減っていく見通しなのか?
■神田佳毅記者
「最近は、年に2万8000人に迫るほどのペースで減少していて、このままですと1~2年で200万人を切る見込みです。1人の女性が一生に産む子どもの平均人数を示す合計特殊出生率が大幅に改善しない限り、約50年後の2075年ごろには100万人をきる見込みです。」
人口が減ると、例えば公共交通や地域医療の維持など私たちの生活に直結するサービスにも影響しかねません。この減少の背景には何があるんでしょうか。
■神田佳毅記者
「人口減少の背景には、生まれる子供の数が亡くなる人の数を下回る『自然減』と、県内に入ってくる人よりも県外に出る人が上回ってしまう『社会減』の2つがあります。県内でも2024年に生まれた子供の数が1万人をきるなど、自然減つまり〝少子高齢化〟も進んでいます。一方で、若者が県外、とくに首都圏に流出する社会減が深刻な課題となっています。」
若い人たちの流出は、県内で生まれる子供の数にも当然影響しそうです。なぜ首都圏を選ぶ若年層が多いのか・・・その背景を取材しました。
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小千谷市出身で東京都内の大学に通う西脇夏跡さん。大学4年生の西脇さんは現在、都内の区役所職員を第一希望に就職活動を行っています。
■小千谷市出身 西脇夏跡さん(22)
「東京で4年間過ごしてみて、やっぱり過ごしやすいと思っている。来年以降も東京で就職しようと考えている。」
小千谷市出身者のための学生寮に住む西脇さん。寮では、市の取り組みや魅力について説明を受ける機会もありましたが、現在のところ将来的に新潟に戻ることは考えていないと言います。
■小千谷市出身 西脇夏跡さん(22)
「新潟県とか小千谷市とかもちろん地元はすごい大好きだが、戻るとなると利便性や商業施設のサービス拡充を東京くらいにしてくれれば、地元でも働きたい。」
県が課題とする『若年層の県外流出』。
2025年10月までの1年間で、転出が転入を上回る転出超過の人数は4291人。このうち約7割が就職の時期を迎える20~24歳の若者でした。県の担当者は、『自然減』と『社会減』は絡み合っていると話します。
■県知事政策局 前田典明政策統括監
「自然減が進んだ一番大きな理由は、結婚数・婚姻する人が減っている。なぜ婚姻する方が減っているかは若い人、とくに女性が県外転出していることが要因。」
県外に出る男女の内訳をみると、全体・若年層ともに女性が男性を大きく上回っています。
■県知事政策局 前田典明政策統括監
「細かく分析していくと、転出自体は男性も女性も人数は変わらないが、転入でいうと圧倒的に男性の方が戻ってきて女性の転入が少ない。一回出ると戻ってこない状況。」
県が2025年に18~39歳までの県出身者を対象に実施した意識調査では、首都圏に移った理由として「希望する進学先や就職先がなかった」などのほかに、「地元を離れたかった」とする人もいました。
その理由として、男性は『給料面』『キャリアアップ』を挙げる一方、女性は『周囲の干渉』『多様な価値観を受け入れられない』などの理由が男性を上回りました。県は、「食事の準備やお茶くみは女性の仕事」といった固定的な意識や慣習が背景にあると見ています。
■県知事政策局 前田典明政策統括監
「職場だとアプロ―チしやすいが、地域や家庭内のジェンダーギャップの意識の問題はなかなか難しい。」
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湯沢町出身の南雲琴寧さん。この春、東京の大学院を出て自動車メーカーに就職し、車のデザインを担当しています。学生時代はモビリティーデザインの勉強に打ち込み、自分のやりたいことを優先するため県外で就職することを選びました。
■湯沢町出身 南雲琴寧さん(24)
「基本(仕事の)拠点は東京・埼玉。自動車メーカーに行きたかったということもあったので、その時点で新潟県に自動車メーカーの本社みたいなものはないので、選択肢に入ってきにくかった。」
その一方で、一緒に東京に出てそのまま首都圏に就職した友人の中には、地元では積極的に働きに出ようとする女性が少し居心地の悪さを感じるなど、閉塞(へいそく)感を口にする人もいたと言います。
■湯沢町出身 南雲琴寧さん(24)
「そういうところに関する不満みたいなことを聞いていて、実際に東京で一人暮らしをしてのびのびしている姿も見ている。そこは多少は背景としてあるのではないかと思う。」
南雲さんは、就職活動の経験から一度県外に出た人への〝さらなる情報発信〟があればと話します。
■湯沢町出身 南雲琴寧さん(24)
「新潟にも有名なデザイン会社があることを就職活動が終わった後に知った。県外に出てしまった私たちみたいな元新潟県の人たちにも、もう少し届くと選択肢が広がった人がいるのではと思う。」
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東京・銀座にある県のアンテナショップ『THE NIIGATA』。地下1階には、県が委託する東京に住む学生向けの就職相談窓口があります。2025年の相談者数は約300人。そのほとんどが県内就職を前提とする学生ですが、なかには県内への就職に対して不安を口にする学生もいると言います。
■にいがた暮らし・しごと支援センター 駒形仁美相談員
「やはり金額(給与)面で東京だと安心だったりとか、でも心のうちまで聞いていくとじつは新潟が好きなんですという方が、新潟にいずれは帰りたいという方の声は聞く。」
都内の大学などで就活に関するセミナーを開催したり県の企業情報を紹介するなどして、学生のU・Iターンに向けて取り組んでいます。
■にいがた暮らし・しごと支援センター 駒形仁美相談員
「ファーストキャリアは東京でと思っている学生へ、地方への就職を考えてもらう意識をもってもらうことが、まずは課題かなと思っています。」
その一方で、ファーストキャリアだけでなく、首都圏でキャリアを積んでUターンしたい人へのアプロ―チも必要なのではと話します。
■にいがた暮らし・しごと支援センター 駒形仁美相談員
「東京で少し自分が思い描いていた夢を追ってみたい気持ちはわかる。周りについていた余計な情報がそぎ落とされていくなかで、新潟のこういうところが安心すると気が付いたときがUターンのとき。」
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■神田佳毅記者
「県としても様々な取り組みを実施していますが、県の前田政策統括監は『すぐに結果がでるものではなく、地道にやっていくしかない』と話していました。」
とは言え、待ったなしの課題。どういう政策を打ち出して結果を出していくかが重要です。
■神田佳毅記者
「インタビューした2人の若者は『地元は好きだ』と話していました。ジェンダーギャップや賃金格差など課題解決とともに、県内出身者にいかに情報を届けるかも大事になってくるのではないでしょうか。」
県知事選の投開票は、5月31日(日)です。