• 現在のお知らせはありません。

2025年05月02日(金)本日の番組表

UXニュースNEWS

2025.04.15【柏崎刈羽原発】県民投票とは・・・再稼働の是非を問う県民投票条例案の審議は16日から【新潟】

【柏崎刈羽原発】県民投票とは・・・再稼働の是非を問う県民投票条例案の審議は16日から【新潟】
県民投票とは・・・16日から始まる再稼働の是非を問う県民投票条例案の審議 経緯を整理
柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案が、16日から3日間、臨時県議会で審議されます。再稼働をめぐり、残るプロセスは「地元の同意」のみとなっていますが、知事がその判断を下すのか、それとも県民もかかわるのか。今回問われることになりそうです。

審議を前に、これまでの経緯を整理しました。

住民投票とは住民が直接民意を示すことで、有権者が選挙を通じて政治家を選ぶ「議会制民主主義」を補う制度です。県単位では過去2回実施されました。いずれも沖縄県の米軍基地に関するものでした。

今回の県民投票条例案は、柏崎刈羽原発再稼働の是非を「賛成」「反対」の二択で問い、その結果を知事が「尊重」するよう求めています。住民団体は2024年10月から署名集めを開始。14万筆あまりの署名を集め、条例案を知事に直接請求しました。住民団体が引き合いに出すのは、知事選で花角知事が訴えた発言です。

■花角英世候補(当時)
「職責をもって確認させていただきたい。みなさんが納得しない限り(原発を)動かしません。リーダーとして、船長として答えを出し、みなさんの信を問う。」

「信を問う」タイミングについて、花角知事は「自分が判断した後」と主張してきました。

■「決める会」世話人 水内基成弁護士
「(知事に)お任せするのではなくて、地元の人間としてきちんと意思表示をしたという責任を持つ。私たち住民が一番利害関係があるので、声を出す権利はある。」

住民団体が指摘するのは「信を問う」手法です。初当選から7年たちますが、花角知事は明らかにしていません。

かつては-

■花角英世候補(当時)
「(県民の意思を)確認する方法は色々あると思う。巷間言われている住民投票も選択肢の一つ。解釈の可能性と言う意味では、議会の不信任とか、あるいは住民投票とか。」

現在、花角知事は「県民の意思を見極めている最中」とした上で、条例案について-

■花角英世知事
「二者択一という方法では、限定的な情報しか得られない。多様な意見を吸収するというところには、課題がある。」

そのうえで-

■花角英世知事
「普通、常識的に『信を問う』と言えば、みなさん想定するものがあるわけですよね。(Q.普通は選挙?)公職であれば選挙を想定するでしょう。」

■「決める会」世話人 水内基成弁護士
「いやいや、ちょっと待ってよ。自分たち『あれ、意見聞かれたっけ』と。聞く前に判断を示すんですか。」

平行線の両者。県議会も割れています。
最大会派の自民党は-

■与口善之県議
「再稼働を進めるという国策について、一人一人の理解が十分とは必ずしも言えない県民に対して、知事の判断について信を問うのはいかがなものか。」

■岩村良一幹事長
「国策だという話もある。国のエネルギー計画もありましょう。これから設置するものの立地を『どう思うか』とは違う。」

反対論が根強いのが現状です。
一方、野党系会派は-

■牧田正樹県議
「県民の意思確認の方法として、県民投票が最もふさわしい手法。」

■重川隆広代表
「県民の命と暮らしがかかっている大きな事案。県民の意思を明確に示すには、県民投票が一番正しい反映ができる。」

自治体間にも温度差があります。
反対を明言するのは、原発の地元・刈羽村の品田宏夫村長。

「懸案の直接請求による投票条例を公布します。」

2001年、刈羽村では使用済み核燃料をリサイクルする「プルサーマル計画」受け入れを問う住民投票を実施。反対が多数を占め、受け入れを進めた品田村長の政策は否定されました。
(投票率88.14%、賛成1533、反対1925、保留131、無効16)
この結果は、翌日の国会でも取り上げられました。

■小泉純一郎首相(当時)
「(住民投票の結果は)原子力に対する安全性・必要性、そういうはざまに揺れた結果ではないか。より一層の努力が必要だ。」

■品田宏夫村長
「賛成・反対という議論を大いにやるべきだと思うが、県民全体ではできない。県議会議員がいて、議会を構成している。その議会で何をどうすべきかということはちゃんと議して、結論出す。議会にはその責任がある。(県民)みんなで決めることではない。」

これに対し、原発から半径30km圏内の「避難準備区域」にある長岡市の磯田達伸市長は、県民投票に肯定的な発言をしています。先週もUXの取材に「多様な選択肢とする条例案に修正する道もあり得る」とのコメントを発表しました。県単位で原発再稼働の是非を問う条例案は東日本大震災以降、新潟県を含めて6都県で提案されましたが、いずれも否決されています。

2019年、東北電力女川原発の再稼働を問う宮城県の県民投票条例案では、知事が国策論を主張。県議会が否決した後、知事は再稼働に同意しました。首都圏の電源基地ともいわれる柏崎刈羽原発の再稼働。

今回の論点はどこにあるのか、全国の住民投票を研究している佛教大学の上田道明教授に聞きました。
住民投票とは-

■上田道明教授
「住民投票自体は、選挙ではなかなか表現されない民意を比較的忠実に表現できる強みを持つ。住民投票とは基本的に住民による自己決定、選択の制度。」

原発再稼働を問うことについては-

■上田道明教授
「純粋にエネルギー政策全般を問うということであれば、国策なので国民投票が理論的にはなじむ。だが、原子力発電所は地域社会に与える影響はものすごく大きい。残念ながら、私達はそれを福島第1原発の事故によって目の当たりにした。これは立派な地方自治の問題だ。」

選択肢が二択である点は-

■上田道明教授
「住民投票では、基本的に選択肢は二つまでが望ましい。三つ以上選択肢が出た場合は割れることもあるし、結果的に投票結果の扱い・理解・解釈が難しくなることがある。選択肢のあり方に問題があるのであれば、選択肢を吟味すればいいわけであって、直ちに住民投票を否定するロジックにはならない。二者択一だから駄目というのは、理由としては不適切。」


16日から始まる臨時県議会。
初日は花角知事による条例案の説明や、住民団体による意見陳述などがあります。17日は各会派による一般質問があり、18日に採決、結果が判明します。
ページのトップへ