2025.04.11【特集】なぜ“桜守”に?「この景色を次の世代にも」長野県から移住してきた29歳女性桜守の奮闘に密着【新潟】
長野県から移住してきた板倉美咲さん
2024年の夏、県外から上越地域へ移住してきた1人の女性が〝桜守(さくらもり)〟に就任。見知らぬ土地のサクラの管理をしてきましたが、慣れない作業やこの冬の大雪で悪戦苦闘が続きました。
サクラが満開を迎え、桜守の心境は-
奮闘の様子をカメラが追いました。
ソメイヨシノが春の上越を彩ります。高田城址公園とその周辺を合わせて約4000本。壮観に、そして可憐に、サクラの花が今年も花見客を出迎えました。
■長岡市から
「すごく綺麗だと聞いていた。(観桜会が)100回目なので。来てよかった。すごく綺麗。」
■新潟市から
「お城とサクラとライトアップが、なかなかない景色。」
特別な思いでサクラを見つめる女性がいます。
■桜守・板倉美咲さん
「(高田のサクラを見るのは)今年が初めて。これだけの本数があるから圧巻。」
板倉美咲さん(29)。高田城址公園のサクラを保全・育成する職人〝桜守〟として活動するため、2024年8月に長野県から移住してきました。
■桜守・板倉美咲さん
「本日はCエリアの保護柵の作成と、極楽橋の近くで斜面の木の伐採。」
高田城址公園のサクラは〝桜守〟の新人・板倉さんとベテラン・小山さんが中心となって管理しています。
■ベテラン桜守・小山秀さん
「(このサクラは)もう枯れてしまって、まったく芽が出なくなった。これでご臨終・・・。」
この日は樹齢が高く、花を咲かせなくなったサクラの伐採。着任したばかりの板倉さんは、小山さんから指導を仰いでいます。
■桜守・板倉美咲さん
「木は高さがあるので、数cmや数mmのズレが大きな差になって狂って倒れてしまう。」
悪戦苦闘の新米桜守。
板倉さんはこれまで長野県のワイナリーでブドウ栽培に携わっていましたが、なぜ〝桜守〟を志したのでしょうか?
■桜守・板倉美咲さん
「小さいころからすごいサクラが大好きで、お花見で1年の活力を得ているくらい大好き。(全国)どこもサクラが悲鳴を上げている状態だとわかった。」
一般的に寿命60年程度といわれるソメイヨシノ。全国各地でサクラの高齢化が進み、枝が折れやすく倒木のリスクが高まっています。高田城址公園でも、サクラの植樹が始まったのは明治42年。現在は、ほとんどのサクラが樹齢60年を超えています。
■桜守・板倉美咲さん
「長寿命化はすぐに結果が出るわけではないので、今やっていることが果たして正しいのか。これで元気になってくれるのか。勉強するのは楽しいし、毎日サクラのことを考えられるのは、すごくやりがいがある。」
この冬、県内を覆った寒波。
上越市高田では、約140cmの積雪を観測しました。
■桜守・板倉美咲さん
「雪の量がすごい。多すぎてちょっと…。初めて新潟に来たがビックリしている。」
高田城址公園では、雪の重みでサクラの枝が折れる被害が相次ぎました。
さらに、こんな被害も-
■桜守・板倉美咲さん
「今年は、除雪機かブルドーザーによる被害が多くて、樹皮がむけてしまっている木が…。形成層がえぐられている状態。腐朽菌が入って、そこから枯れが進行して。放置すると太枝も枯れてしまうので、早めの処置が大事。」
桜守になって半年-
これまでワイン用のブドウづくりで培った知識を生かしながら、サクラの状態を的確に分析し対応に当たりました。
■ベテラン桜守・小山秀さん
「わずか半年でここまでできるのは、正直(他に)いない。すごくセンスは抜群。」
■岩の原葡萄園 白井悠月さん
「こちらが岩の原葡萄園 創業者・川上善兵衛の資料室。」
この日は、つかの間の休日。市内のワイナリーを訪れました。
■桜守・板倉美咲さん
「ワイナリーの仕事は離れてしまったが、今でもブドウ栽培をやりたいくらい(ワインが)好き。」
岩の原葡萄園は“ワイナリーの聖地”とも呼ばれていて、念願だったツアーに初めて参加しました。
■桜守・板倉美咲さん
「(上越の)観光地は巡れていない。岩の原葡萄園が第1号。これから季節も良くなるので(色んな観光地に)行ってみたい。」
■エコ・グリーン 鈴木敏男さん
「10輪以上の開花を確認できたので、本日開花を発表いたします。」
去年より1日遅い、4月6日の開花です。
■新潟市から
「花びらがきらきらしてる。」
■上越市民
「サクラは生まれたときから一緒にいるような感じの良い花。」
板倉さんにとって、初めて目の当たりにする〝高田のサクラ〟。待望の瞬間でした。
■桜守・板倉美咲さん
「この時期はワクワクしている。毎日見られるのは、サクラ好きにとって幸せ。」
ベテラン桜守の小山さんは、胸の内をこう明かします。
■ベテラン桜守・小山秀さん
「誰かにバトンを渡さなければいけない。渡せれば大成功。」
■桜守・板倉美咲さん
「この景色を次の世代にも、50年後にも残せていけたら。」
この地で受け継がれる『サクラのバトン』。
満開の花は、明日も花見客を迎えてくれます。
板倉さんは今後、樹木医の資格取得を目指しながら桜守を続けていきたいそうです。