2025.04.03【特集】“迷惑カラス”と長岡市との攻防戦:鳴き声やフン…20年以上続く被害【新潟】
なぜ、駅にすみつくように?
JR長岡駅周辺では、20年以上前からカラスのフンや大きな鳴き声で住民を悩ませてきました。そこで長岡市では最新の機械を導入し、対策の強化に乗り出すことに。人とカラスの攻防に密着しました。
■池川泰介記者
「踏切の近くの電線の上を見てみますと、黒い物体は〝カラス〟です。多くのカラスが並んで羽を休めています。」
JR長岡駅周辺をねぐらとする、カラスの大群。日中は、遠くのエサ場などに移動するため姿を消しますが、夕暮れ時になると一斉に戻ってきます。
駅周辺には約6000羽が住み着いていて、長岡市によると20年以上前からビルの屋上や街路樹・電線などに止まっています。長岡駅前で店を構える人たちは長年、カラスのフンなどの被害に悩まされています。
■田舎料理和だち 和田伸一代表
「(フンが)駅や線路の周辺の道路に落ちるから、頭に当たることがよくある。」
飲食店を営む男性が特に悩んできたのは、店の外に置くゴミを荒らされることです。
■田舎料理和だち 和田伸一代表
「ふたをしても全部開けられるから、ひもでしばり開けられないようにしている。」
住民の頭を悩ます長岡駅周辺の〝カラス問題〟。なぜ、駅にすみつくようになったのでしょうか。
■長岡市環境政策課 木村和哉課長補佐
「一説によると、長岡駅周辺は明かりが多いことと(天敵の)ワシやタカなどの猛禽類がいないため、カラスが増えたのではないか。」
じつは、周辺の鳥の問題は今に始まったことではありません。
こちらは2000年の長岡駅周辺の様子。当時は大量のムクドリがすみつき、路面はフンで大変なことに・・・。
2009年にはカラスが・・・。そこで対策に乗り出した長岡市。カラスの模型や悲鳴を使って追いはらう作戦を実施。カラスは一時姿を見せなくなりましたが、学習能力が高いためすぐに戻ってきてしまいました。
また、2023年からはレーザーを照射して追い払う作戦をスタート。
■ニューロンサニター 深田純社長
「2種類色が見えるが、実際は4種類出ていて(他の2種類は)人には見えない。それをカラスが見ることで危険と察知して移動する。」
加えて、カラスの天敵となるタカなどの声をタイマーで流す装置を駅前のビルなどに設置。この2つの対策が功を奏し、カラスの数はやや減少しているといいます。
しかし、その後も市民からの苦情は絶えませんでした。そこで、市では被害の完全な撲滅を目指そうと対策を強化。3月にカラスの嫌がるタカなどの声を流す装置の最新式を、駅前のビルの屋上などに5台設置しました。
■長岡市環境政策課 木村和哉課長補佐
「赤外線センサーでカラスの存在を感知して装置が動く仕掛けになっている。寝床に集まる前の集合場所に設置することで集まるのを防ぐ。」
決まった時間にしか作動しなかったこれまでのタイマー式に比べ、カラスが近づくと作動するため高い確率で追い払うことが期待できるということです。カラスなどの鳥が止まりにくくなるよう、商店街のアーケードやビルの屋上には防鳥ワイヤーを設置しました。
さらに、これまで冬だけだったレーザーの照射期間を9月から3月までに延長しました。
午後7時すぎ、ねぐらに戻ったカラスにレーザーを向けるとー
■池川泰介記者
「照射されたカラスは、すぐに飛び立っていきました。レーザーが嫌なんでしょうか。」
ビルの上にも-
3つの対策の強化で、カラスの数が減るなど効果も出始めています。
■飲食店勤務
「前よりすごく減った。前はすごかった。助かっている。」
■ホテル経営
「(以前は)電線の下に真っ白いフンが大変な数あったが、最近はなくなった。」
市の担当者は、長年のカラスとの攻防の経験から、さらなる対策も考える必要があると話します。
■長岡市環境政策課 木村和哉課長補佐
「一定程度(対策を)やると、カラスが慣れてくる弊害もある。JRや市民と連携しながら、市も前面に立って対策を行っていきたい。」
カラスは卵を産む春から夏にかけていったん山に戻り、秋ごろ里に戻ってくる習性があります。20年以上にわたって続く、長岡市とカラスの戦いに終止符は打たれるのでしょうか。