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2025.04.10【特集|空き物件をリノベーション】〝おかゆ〟でつなぐ「人の顔が見える街に」古町のこの先【新潟】

【特集|空き物件をリノベーション】〝おかゆ〟でつなぐ「人の顔が見える街に」古町のこの先【新潟】
シンプルなおかゆや、トマトを使った洋風おかゆなど6種類に決定
新潟市の古町エリアで、空き物件をリノベーションしてお店を開こうとしている男性がいます。男性が提供しようとしている商品、それは『おかゆ』です。おかゆの店を通じて、古町エリアに“にぎやかさ”を取り戻そうとする男性の挑戦を追いました。

萬代橋のすぐ近く、新潟市中央区花町にある空き店舗。荻野高弘さんはこの場所で、事業を始めようとしています。

■物件オーナー 平野和也さん
「おかゆやるんでしょ?」
■荻野高弘さん
「おかゆやります。」

始めるのは『おかゆ』を販売する店。8月頃のオープンを目指しています。

■荻野高弘さん
「事業計画を作ってたり内装を考えると、不安が期待に変わっていく。こういうことができたら楽しいなという、ワクワクに変わっていく。」

新潟市出身の荻野さんは、大学進学を機に上京。卒業後は、東京でコワーキングスペースなどを企画・運営する会社に就職しました。2023年7月、リモートワークの普及などをきっかけに家族で新潟に戻った荻野さんは、古町エリアの遊休不動産を使って新規事業を考える〝リノベーションスクール〟に参加します。

■荻野高弘さん
「全然事業をするつもりはなくて、新潟であんまり友達がいなくて友達を作りに行った。そこから考えているうちに、エンジンがかかってきた。」

新潟駅前や万代などと比べて、空き家や空き店舗が増えている『古町エリア』。
新潟市が主催するリノベーションスクールは、3チームに分かれた参加者が3日間かけて事業計画を練ります。最終日に荻野さんのチームが提案したのが、かつて理容室兼住宅だった物件で始める『おかゆの販売事業』でした。

■荻野高弘さん
「(物件が)川沿いのマンションとオフィス街を繋ぐ間くらいにある場所ということで、通勤とか通学とかそういう人を考えると〝食〟というテーマはいいんじゃないかと思って。健康に楽しく働いてもらいたいという思いもあって『おかゆ』がいいんじゃないのかなって。」

荻野さんの父は兼業農家。
「米を使った事業で地元に貢献したい」という思いも重なり、今の仕事を続けながら事業を実現させることを決意します。妻・はるかさんも後押しします。

■妻・はるかさん
「すごく燃えて帰ってきたので、私も今フリーランスで仕事をしていて仕事を調整しやすかったりもするので、一緒にやってみようかなと。」

物件の所有者の平野和也さん。準備の様子を見守っています。

■物件オーナー 平野和也さん
「あっち(新潟市)の人が面倒見て、荻野さんがやると思ったけどそうじゃないんだよね。それはちょっと大変だなと思って。最初『おかゆ』って言ったときにこれでいいのかなって一瞬思ったが、やってみないとわからないことで一生懸命やれと言ってました。」

3代続いた理容室は、数年前に閉業。建物の取り壊しも考えていましたが、熱意に動かされました。

■物件オーナー 平野和也さん
「俺も本当は取り壊したくないんですよ。何十年も過ごしてきたところなんで、これで荻野くんがバックアップじゃないけど、カバーしてうまくやっていけばここも残るかもしれないと思うんで、一生懸命やればいいかなと思ってます。」


1月、リノベーションスクールで知り合ったメンバーとのミーティング。

■荻野高弘さん
「状況共有は、『スクール後何をやっていたのか』みたいな話と『今の企画状況』と『今後について』この3本立てでいきたいなと思います。」

店の名前は〝米草堂〟に決定。
ワンカップサイズのおかゆを1階で販売し、2階はシェアオフィスを運営します。

■荻野高弘さん
「お米の可能性を広げるようなことができたらいいなと思う。」

事業を起こすのは初めて。メンバーが引き続きサポートします。
この日は売り上げの想定や、銀行からの融資額の見込みなど具体的な収支計画を共有して、意見交換をしました。

■メンバー
「(シェアオフィスで)時間貸し的なものが、もしあれば入りやすい。」
■荻野高弘さん
「新潟の街にどうやって還元できるのかみたいなところと、自分が主体として事業をしていく初めてのところ、そこが楽しい。本当にできるのかなみたいなところと、借金できるのかなというところが不安です。」


2週間後に開かれた『おかゆの試食会』。
メニュー開発は、リノベーションスクールで講師を務め、同じ花町でお弁当の販売をする花鶏(あとり)の天野千尋さんに依頼しました。

■天野千尋さん
「これが一番シンプルな価格が低いやつがいいかなと思っている。」

ベースとなる“おかゆのもと”を作り、そこからスープなどを加えのばすことで完成させます。

■天野千尋さん
「楽しい感じになるようにしたいと言われていたので、見た目から楽しんでいただけるように、いろんな食感だったり形や色が華やかになるように気をつけて作った。」

シンプルなおかゆや、トマトを使った洋風おかゆなど6種類が決まりました。

■荻野高弘さん
「実際食べてみるとこんなにバリエーションがあるのかと思って、自分たちの企画に自信を持った。1人あたりどれくらいの単価で出すか、次のステップでは考えていきたい。」


3月21日には事業を運営する『ニモウサク株式会社』を設立。5月中にも始まる予定のリノベーション工事に向けて、内装などを検討しています。

■荻野高弘さん
「閉ざされているんですけど、大きな窓ガラスでベンチも腰掛けられるような場所を作ろうかなと思って。ここで何か外とつながるような場所に。ここは場所はいいんですけど柾谷小路から一本入ったところなので、新しい人の流れを作らないといけない場所なのかなと思っている。この場所から外に染み出していくというのが大事なのかなと思っていて。」

リノベーションスクールを主催した新潟市は、荻野さんの事業が古町エリアにプラスの影響をもたらすことを期待しています。

■新潟市都市政策部 稲葉一樹係長
「荻野さんみたいな方がこれからどんどん増えてきて、もしかしたらお店だけじゃない大きいイベントを担うとかそういう動きにつながってくることを期待したい。」

新潟市は、空き物件を持つオーナーの意識の変化を求めています。

■新潟市都市政策部 稲葉一樹係長
「自分の物件を使うことによって街がよくなっていって、結果長い目で見るとエリアの価値を上げていって自分の(物件の)価値も上げていくことにつながるので、そういうオーナーさんがたくさん出てくると古町はどんどん変わっていくんじゃないかなと思ってます。」

高校時代によく古町に通い、大好きなエリアだと話す荻野さん。この場所に新しい価値を作り出そうとしています。

■荻野貴弘さん
「(古町の)昔の写真を見ると、本当にあふれんばかりの人。その状態を今からこの新潟でやるのは難しいと思うが、今例えばオフィスにいるとか自宅にいるとか、そういう時間をもう少し街で過ごせばもっと人の顔が見える街になってくる。そういう街を作っていきたい。そのきっかけになれば。」
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